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ゲイリー・オールドマンにスコセッシ。結婚大好きタイプはちょっと意外な顔ぶれ

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
ゲイリー・オールドマンと5度目の妻ジゼル・シュミット(写真:ロイター/アフロ)

 新婚生活は、やっぱり最高?今、ゲイリー・オールドマンにそう聞いたら、答はきっとイエスのはずだ。59歳にして、彼がまたもや結婚したそうなのである。

  お相手は、キュレーターのジゼル・シュミット。ゴールドマンは写真が趣味で、アートを通して彼女と知り合ったとのことだ。結婚式は、トロント映画祭直前に、ゴールドマンのマネージャー宅で密かに行われたという。ゴールドマンの最新作「Darkest Hour」のトロントでの上映で、シュミットがゴールドマンの横に並んでレッドカーペットに立った時には、それがゴールドマンの新しい妻であると、ほとんど誰も知らなかった。

 オールドマンにとって、シュミットは5度目の妻。色恋ネタには事欠かないハリウッドでも、5回というのは、相当多い方に入る。結婚離婚を繰り返しているイメージのあるジェニファー・ロペスでも、3度。トム・クルーズ、ニコラス・ケイジ、デミ・ムーア、ドリュー・バリモアも、やはり3回だ。

 イケメンのモテ男ジョージ・クルーニーやブラッドリー・クーパーも、離婚歴は1度だけ。つきあった女性を数えるには他人の両手も借りないといけないようなウォーレン・ベイティにしても、結婚したのは、25年経つ今も連れ添っているアネット・ベニングのみである。若いモデルをとっかえひっかえしているレオナルド・ディカプリオも、42歳にして、まだ一度も結婚していない。

 彼らのように、できるだけ長く遊ぼうと思う男性がいる一方、結婚という形を好む人たちもいる。そして、ゴールドマンもそうだが、その多くは、決して一見プレイボーイタイプではない。

 たとえば、マーティン・スコセッシ。初めての結婚は1965年。現在も続いている5度目の妻と結婚したのは、99年だ。3度目の妻であるイザベラ・ロッセリーニは、その後、オールドマンと婚約していたこともある。ほかに、ジェームズ・キャメロンとデニス・ホッパーも、結婚歴5回組。ホッパーは、2010年に亡くなる時、5度目の妻とも離婚しようとしていた。

 ビリー・ボブ・ソーントンはさらにうわ手で、結婚歴6回。彼が5度目の妻アンジェリーナ・ジョリーとラスベガスで電撃結婚式を挙げたというヒュースは、当時ソーントンと同棲していたローラ・ダーンにとって、寝耳に水だったそうだ。報道番組やまじめなトーク番組で知られるラリー・キングは、2度結婚した女性ひとりを含め、8度結婚している。伝説的コメディアンの故ミッキー・ルーニーも8度。8人の女性のひとりは結婚中に不倫相手の男に殺され、その後ルーニーは彼女の親友と結婚するも数ヶ月しか続かなかったなど、8回もあると、 なかなかドラマチックな状況も経験しているようである。

離婚は高くつくとわかっていても、結婚したいロマンチストたち

 カリフォルニアでは、離婚の時、どちらが有責かは関係なく、基本的には稼ぎが多い方が少ない方に対して払い、結婚中に得た収入や資産は二分割される。離婚時の経済的ダメージを少しでも抑えるよう、結婚前に離婚した場合の条件について契約を交わすのがセレブの常識なのだが、それでも、金持ちの離婚は高くつく。

 ジェームズ・キャメロンとリンダ・ハミルトンは、実際に結婚していたのは8ヶ月だったのに、その間に「タイタニック」が公開されたことから、ハミルトンは離婚で5,000万ドル(約56億円)を受け取った。ゴールドマン(イギリス人だがL.A.在住)が4度目の妻で19歳年下のジャズシンガーと別れる時、彼女は、「ハリー・ポッター」や「ダークナイト」シリーズでたっぷり稼いだ元夫から330万ドル(約3億7,000万円)と 、不動産の一部および車をもらっている。

 それがわかっていても、彼らはまたもや結婚という道を選ぶのだ。8度目の結婚式を、自分が心臓手術を受ける数日前に病院で行ったキングなどはまさに、結婚というコンセプトを愛するロマンチストなのだろう。一方で、人生で唯一の結婚相手と今も仲良し夫婦を続けているマット・デイモンは、「結婚って、狂ったコンセプトだよね。この女性とじゃなかったら、僕は絶対やらないよ。僕は、結婚しているのが好きなのではなく、この女性と結婚しているのが好きなんだ」と語っている 。ソーントンはというと、ジョリーと離婚してまもない頃、 自分が何度も結婚しては離婚したことについて、「だって、女性って、結婚したがるじゃないか」と、ケロリとした表情で語っていた。だが、ジョリーとの離婚から次の結婚までは、12年も開いている。しかも今度のお相手は、その間ずっとつきあってきた女性だ。ソーントンの個人記録は、ここで打ち止めになりそうな気がする。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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