内川聖一入団の効果は?“低迷”大分B-リングスは生まれ変われるか=九州アジアリーグ
NPB3球団で通算2186安打をマークした名打者・前ヤクルトの内川聖一内野手(40)が今月3日、独立リーグ「ヤマエグループ九州アジアリーグ」の大分B-リングスに入団することを表明した。
内川は今年9月28日に会見を開いた際に今季限りで“NPBでの現役生活を終える”という趣旨の言葉を残しており、舞台を移して現役を続行するのではないかとの見方もあった中で、生まれ故郷である大分の独立リーグ球団を選択した。
連続最下位に沈むチームの救世主
大分は今年が創設2年目だった九州アジアリーグで2季連続最下位と低迷。1年目の勝率.281に比べて今季は勝率.389と改善したが、優勝した火の国サラマンダーズには10ゲーム差と引き離されて優勝争いには全く絡めなかった。
投打ともに課題はあるものの、攻撃力強化は来季に向けた大きなテーマだった。
チーム打率は福岡北九州フェニックス(来季より北九州下関フェニックス)が.292でトップに立ち、2番目の火の国が.269。大分は.242と物足りない数字に終わっていた。
独立リーガーの生きた教材に
にもかかわらず、今オフには主力野手がごっそりとチームを抜けた。薮怜汰捕手・外野手(72試合、打率.292、5本塁打、46打点)が北九州に移籍。さらにチーム屈指の長距離砲で今季はリーグ全体でも4位タイの7本塁打、チーム2位の50打点をマークした山下海星外野手が引退。チームトップの51打点を挙げた奥野祥生外野手は自由契約となった。また、NPB経験者の白崎浩之内野手兼コーチ(元DeNA、オリックス)も引退、広畑塁捕手(元巨人)も自由契約となっていた。
内川は近年の一軍出場は減らしていたが、今季もイースタン・リーグでは60試合で打率.335、4本塁打と技術が錆びついていないところを示していた。これほどの「生きた教材」が加入することは若い独立リーガーに大きなプラスとなるのは間違いない。
魅力向上、球団スポンサー増への期待
また、大分は野球熱が高い土地柄ではあるものの観客動員数でも苦戦している。球団設立当初に1試合平均で800人を目標にスタートしたが、初年度の2021年は342人、そして今季2022年は248人と目標に及ばないどころか数字を下げてしまった。コロナ禍の影響があるのは否めないが、チームの魅力そのものが大分県民になかなか届いていなかったと考えられる。
内川入団は球団知名度アップや魅力度向上につながることは間違いない。また、「内川聖一選手を応援したい」というスポンサーが現れる可能性にも大いに期待したいところ。こちらも大苦戦中の球団経営面に絶大なプラス効果を与えるだろう。
内川は「故郷に恩返しをしたい」という深い郷土愛から、地元大分を現役最後の地に選んだ。その思いに球団フロント・スタッフがいかにして応えていくのか、その手腕が問われるところだ。
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新入団13名をさらに発表
大分は6日、球団SNSで2023年度の新入団選手を以下のとおり発表した。
越智遼人投手、木戸敬士投手、猿渡大輝投手、平野仁志投手、森本将太郎投手兼外野手、中島愛喜捕手、青木匠捕手、本田凪汐内野手、土屋剛内野手、中野駿介内野手、羽立和輝内野手、川原雄大内野手、小田啓介外野手。
猿渡、中島、中野の3選手は今オフに火の国サラマンダーズを自由契約となっており、同一リーグ内の移籍となった。
また、次の4選手の背番号変更も発表された。辻興聖投手(背番号11へ変更)、川上理偉内野手(背番号6へ変更)、中川真兵内野手(背番号23へ変更)新太郎外野(背番号8へ変更)。