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満塁で本塁打-満塁で二塁打=4対3の惜敗 阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
新しいピッチングフォームで臨んだ鶴投手。かなりのイメチェンです。

きのう29日、3年ぶりに訪れた福岡市東区の雁の巣球場。JRの最寄り駅は“雁ノ巣”で、バス停は“雁の巣”なので時刻検索するときにややこしい…という話はどうでもいいですね。3年前とグラウンドは変わっていませんが、ネット裏下の部屋に壁ができて、いくつかの部屋に分かれていました。前はアコーディオンカーテンで仕切ってあったんですよね。あとは駐車場がすごくきれいになったこと。そのせいかチームバスの停車位置が近くなり、選手に話を聞く距離が短くなりました。私は歩く分量が減って助かっています。

試合は鶴投手と山田投手の先発で始まり、ソフトバンクが5回に満塁ホームランで先制。直後の6回に阪神も満塁にして清水が走者一掃の二塁打!しかし互いに得点はこれだけでした。対戦成績は8勝17敗です。あと1試合、勝って帰りたいところ。その最終戦、先発は藤原投手と川原投手で、朝から雨が降っていましたが試合は行われそうです。

《ウエスタン公式戦》9月29日

ソフトバンク-阪神 25回戦 (雁の巣)

阪神 000 003 000 = 3

ソフ 000 040 00X = 4 

◆バッテリー

【阪神】●鶴(1勝5敗)-岩貞-建山-山本-筒井 / 清水-岡崎(6回~)

【ソフ】○山田(8勝1敗)(5回)-帆足(1回)-飯田(1回)-巽(1回)-S金無英(1敗5S)(1回) / 山下-拓也(8回~)

◆本塁打 李杜軒7号満塁(鶴)

◆二塁打 黒瀬、清水 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:柴田  (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0) .257

2]二:黒瀬  (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .261

3]一:原口  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .274

4]指:狩野  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .280

5]三:陽川  (3-1-0 / 2-1 / 0 / 0) .244

6]捕:清水  (3-1-3 / 0-0 / 0 / 0) .222

〃捕:岡崎  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .244

7]右:中谷  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .189

〃打:森田  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .271

8]遊:西田  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .230

9]左:一二三 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .182

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

鶴   5回 84球 (6-2-2 / 4-4 / 4.17)

岩貞 0.2回 13球 (0-0-1 / 0-0 / 0.68)

建山 0.1回 3球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00)

山本  1回 20球 (0-1-1 / 0-0 / 2.03)

筒井  1回 11球 (0-1-0 / 0-0 / 2.93)

満塁弾を浴びた鶴、3点取り返した清水

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満塁ホームランを浴びてうなだれる鶴投手。このあとスパイクの紐を結び直します。
満塁ホームランを浴びてうなだれる鶴投手。このあとスパイクの紐を結び直します。

マウンドに上がった鶴のフォームに「あれ?」と思われた方は多かったはず。これが鳴尾浜だったら「えっ!?」「ええっ!?」「えええーっ!?」というくらいのリアクションに違いない。そう思いながら写真を撮りました。わかりにくいとは思いますが、上げた左足を下ろす時にグッと伸ばし、さらにつま先の向きを変えてから踏み出す感じです。19日の紅白戦では普通だったような気がするので、そのあと変えたんでしょうね。

その鶴が1回は三者凡退。2回は2死から連打を許すも無失点。3回は先頭の真砂に内野安打(ショート西田が深い位置で捕り、素晴らしいジャンピングスロー!しかし判定はセーフ。惜しい~)で出しますが、次の牧原は“レフトゴロ”で1死一塁。そのあと盗塁や四球などで2死二塁となったものの0点に抑え、4回は三者凡退でした。ところが5回、1死から真砂と牧原に連打され、2死後に塚田を歩かせて満塁。4番の李にレフトへ運ばれました。

打線は山田の前に5回まで3安打無得点。しかし満塁ホームランを浴びた直後の6回、柴田が四球を選びボークで二塁へ。黒瀬の内野安打と狩野の左前打などで2死満塁となり、清水が左中間へ走者一掃のタイムリー二塁打!その裏は岩貞がプロ初のリリーフ登板。いきなりボールスリーとして驚きましたが、内野ゴロで2死。続く山下への2球目がヘルメットのつばを直撃して危険球退場となります。山下が2歩ほどマウンドへ行きかけたものの、騒動にはならず。代わった建山が真砂を抑えて無失点です。

7回は山本が先頭に四球を出しながら後続を断ち、8回は筒井が三者凡退。こちらの打線も1点差に追い上げたあとは7回に柴田が四球を選んだだけ。飯田、巽、金の前にノーヒットで試合終了。

攻めきれなかった打線に監督は

きょうもまずは平田監督の話です。「鶴はフォームを変えて初めての実戦やったからね。足の上げ方から間を取って、ためをつくるフォーム。まずまずかな。岩貞は初リリーフで、あえて左バッターに投げさせたけど経験がまだないからね。ストライクの取り方、入り方、難しい。1軍ではそういうことを求められるんやからクリアしていかんとあかんわな。(先頭に)よう四球を出さんかったよ。まあ初めてだし、これから」

「清水はよう打ったけど、陽川、原口がね。陽川はとにかく三振が多い。確率が悪すぎる。追い込まれたら工夫しないと。フェニックスリーグでどう克服するか。課題の多い1年目だったが、陽川にとって逆にいい結果なんじゃない?なまじちょっこっと打つより。北條は打つやん。だから1軍に行くやん。去年に比べて成長してるやん。ルーキーで1軍に行ってないのは陽川と横田だけやろ?ことしは。横田の、ここへ来ての離脱も残念だよなあ。フェニックスでしっかりやらないと」

現時点ではよし、新フォームの鶴

鶴投手は8月31日の1軍・ヤクルト戦(甲子園)で岩貞投手をリリーフして以来、約1ヶ月ぶりの対外試合。しかも先発で5回を投げたとあって、かなり疲れたかもしれません。「久々の登板だったけど、感じはよかったです。フォークもいっぱい投げたし。もっとピッチングスタイルを確立するためにフォークも使えるとわかったので、それを多投できる体力をつけないと」。フォームを変えたことについては「突っ込むくせがあって、相手バッターとの距離があまりなかったので、その改善のために始めた」と言います。感触はよかったものの、これが“着地点”ではなさそうですね。まだ変わるかもしれないと話しています。

満塁弾の直後、タイムリー二塁打で3点を返した清水選手ですが「打ったのは別にねえ」とコメントなし。それよりも「鶴は1軍で結果を出さなきゃいけないピッチャーなので、自分は何でもいいからしてあげたい、しないといけなかった」と、新しいフォームで挑んだ鶴投手をリードして打たれたことを猛省する清水選手です。「きょうはフォークをたくさん投げようと初めに言っていたんです。抑えたのもフォーク、打たれたのもフォーク」と清水選手。満塁で李杜軒選手に打たれたのは落ちきらず甘く入ってしまったフォークでした。

岩貞「建山さんに迷惑をかけた」

そして、2戦目の先発予定から“CSを視野に入れた連投”という指令により、急きょ中継ぎに回った岩貞投手。いきなりボールスリーって珍しいですねえ。「あれ(ストライク)入ってたでしょ?」と少し笑って続けます。「でも打ち取れたのでよかった。初球のワンバウンドとか、自分でしっかり調整して試合に入っていくようにしないと。甘くなって打たれたら悔いが残る」。そういえばファームでのプロ初登板も先発だったし、リリーフは初体験でした。「やりにくというのは特にありませんね。先発もまだ多くはないので、そこまでの違いはないかと。大学で結構しました。もう1人のピッチャーと、そいつが先発の時は中で投げていたので」

危険球となった山下選手への死球は「インハイの真っすぐ。ボール要求だったのが、ちょっとアバウトになってしまって…建山さんに迷惑をかけたのが申し訳ないです」と岩貞投手。きょう連投するかどうか平田監督は明言していませんが、おそらく登板するでしょう。本人もそのつもりのように見えました。

アウトにできず悔しがる西田

最後に西田選手の話です。ヒットはありませんが、自ら「あれ見ました?よかったでしょ?」と言うように、3回の守備で目の覚めるような動き。「アウトですよねえ~。あんなん年に一度あるかないかやのに~」と笑っています。そうなの?「嘘です、あれは得意のプレーなんです。だから、あれはアウトにせなあかん」。まあタイミング的にはアウトとも取れるくらいだった。「審判がセーフって言うたらセーフですから」。悔しいんでしょうね。

オマケで、きのう29日が誕生日だった一二三選手の写真を載せておきます。撮ったのは試合前の打撃練習中です。なお試合では1打席目に左前打を放っています。

一二三慎太選手、22歳になりました。
一二三慎太選手、22歳になりました。
フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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