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世帯年収別にパソコンなどの普及率の現状をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ パソコンの普及率はよく話題に上るが、世帯年収別では?(写真:アフロ)

インターネットへのアクセスの窓口はパソコンからスマートフォンやタブレット型端末へとシフトしつつある。若年層のインターネットの利用の仕方をはじめ、何かと注目されるそれらの端末の、世帯ベースでの普及率の実情を、内閣府の消費動向調査(※)の結果から世帯年収別に確認していく。

今回は二人以上世帯のみを確認の対象とする。世帯の構成種類となる単身世帯と二人以上世帯では世帯年収の意味合いが大きく異なるのに加え、主に若年層、とりわけ未成年者のパソコンやスマートフォンの利用機会に関する動向を確認するのが今回の目的であり、他方で未成年者の単身世帯というケースは想定しにくいからである。つまり今回は二人以上世帯において、子供=未成年者や成人の若年層が構成員として存在しているケースを想定している。二人以上世帯全部がそれに当てはまるわけでは無いが、今調査の結果では子供がいる・いない別の区分が無いため、もっとも近い値を精査できる二人以上世帯を対象とした次第である。

次に示すのは直近の2020年における、世帯年収別パソコン、スマートフォン、タブレット型端末の普及率。一世帯に何台保有していても、あるか無いかのみでの回答なので、100%を超えることは無い。なおグラフの表記上、一部の属性では「以上」を省略している。例えば「300~400万円未満」は「300万円以上400万円未満」を意味する。

↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末普及率(二人以上世帯、世帯年収別)(2020年)
↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末普及率(二人以上世帯、世帯年収別)(2020年)

全種類ともおおよそ高世帯年収ほど高普及率を示している。一方でスマートフォンは550~750万円未満、パソコンとタブレット型端末は750~950万円未満で普及率がほぼ頭打ちとなる。この動きは上限に近付いたためのものと考えられる。見方を変えるとスマートフォンとパソコンは9割強、タブレット型端末は6割強が世帯普及率の上限と見てよいかもしれない。

いずれにせよ、上限値はあるものの、パソコンやスマートフォンの普及率は世帯年収で確実に違ってくる。もっともパソコンとスマートフォンの普及世帯がだぶっていることは多分にありえるため、「スマートフォンがパソコンの代替として用いられている」などの立証は、今件データだけでは不可能。

保有世帯における平均保有台数を確認すると、普及率とは異なり天井感を見せずに、世帯年収が上になるに連れて台数が増加しているのが分かる。

↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末保有世帯あたり平均保有台数(二人以上世帯、世帯年収別、台)(2020年)
↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末保有世帯あたり平均保有台数(二人以上世帯、世帯年収別、台)(2020年)

世帯年収とともに上昇する普及率は一定額で頭打ちになるが、それより上の世帯年収でも複数持ちが増え、平均保有台数は増えていく。パソコン保有世帯に絞っても、世帯年収が300万円未満では1.42台なのに対し、1200万円以上では1.99台となり、0.57台分の差が出ている次第である。世帯人数までの区分は元のデータでもされておらず精査は不可能だが、世帯台数が多ければ各世帯構成員がパソコンに触れる機会は増え、子供専用のパソコンが用意されている可能性も高くなる。

これらの数字を見るに、「パソコン、さらにはスマートフォンやタブレット型端末は世帯年収が高額になるほど普及率は高く、保有世帯における保有台数も多くなる」ことは確定事項と見なしてよい。一方で「パソコンを持てない低所得世帯が、その代替端末としてスマートフォンを取得するようになった」との仮説を裏付けるまでには至らない。

ただし、これまでパソコンを所有していなかった世帯が、スマートフォンの所有ではじめてインターネットへのアクセス機会を得る事例は多分に考えられる。何しろ世帯年収区分で最低額の層でも2/3近くの世帯がスマートフォンを持っているのだから。

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※内閣府の消費動向調査

今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することで、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。

毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の普及・保有状況」を今件精査では用いている。これは「回答者の世帯において対象品目を回答時点(直近分の場合は2020年3月末時点)で持っているか否か」「持っている場合は保有数量はどれほどか」を尋ねた結果。具体的な利用状況は尋ねていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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