安倍首相とICAN事務局長が会えなかった理由の中身をなぜマスコミは伝えないのか?
ノーベル平和賞を受賞した国際NGO『核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)』の事務局長が来日中に安倍晋三首相への面会を希望したが、断られたとして安倍首相に対して「なぜ会わないのか」との批判が起きています。
私としても「会った方が良い」とは思いますが、状況を調べていくうちに今回は本当に会えなかったのではないかとの考えに至りました。
報道時、安倍首相は外遊中
そもそも1月15日に時事通信が「日程の都合を理由に安倍首相がICAN局長の面会を断った」と最初に伝えたとき、安倍首相はバルト3国を中心としたヨーロッパ外遊中でした。
日本にいないのですから、安倍首相が会えるわけがありません。
ICANの面会申し入れはヨーロッパ訪問日程の決定後
ただ、なかには「ICANがくるから安倍首相はヨーロッパ外遊を決めたのでは?」と疑う人もいることでしょう。
しかし、事実としては政府がバルト3国訪問の調整に入ったのは12月14日です。
これに対してICANの面会申し入れは12月下旬です。
先方の政府に対して「1月12~18日の日程」ですでに調整を申し込んでいるわけですから、ここに後から「やっぱりICANの事務局長と会うからナシで」とは言えません。
ついでに言うとこの外遊のために国会の日程すら調整しているわけです。
今回の件ではICAN側の申し入れが遅かったと言えます。
17日帰国後に豪首相との会談が控えていた
とは言え上記で引用した朝日新聞の報道にあるように、安倍首相は17日に日本に帰国する予定でした。
ICAN事務局長のベアトリス・フィン氏は18日まで東京に滞在しているわけですから、会える可能性があったとも言えます。しかし、実際には会えていません。
そこで私がチェックしたのは17日、18日の首相動静です。それぞれの日の動きを見ると、会えた可能性があったのは17日しかありません。
というのも翌18日はオーストラリアのターンブル首相が訪日されることが決定しており、安倍首相は朝からターンブル首相を出迎えているからです。
対して17日は16時9分に日本に帰国し、16時43分に皇居で帰国の記帳。その後、17時2分から東京・二番町の表千家東京稽古場着の初釜式に出席、会食しています。つまり、面会するのであればここしかありませんでした。
ただ、上述の通り18日は訪日される豪ターンブル首相を出迎えなければいけません。普通に考えると会談のための準備が必要ですし、安倍首相は外遊の疲れについても語っています。
外遊で疲れた翌日に豪ターンブル首相との会談が控えているなかで、ICANとの面会をねじこむ必要性はあるでしょうか? どちらが大事かと考えると、私はターンブル首相との会談に力を入れて欲しいです。
また、安倍首相は面会できませんでしたが、ICAN事務局長との討論会に自民党からは佐藤正久外務副大臣や武見敬三参院政審会長が出席しています。
この状況で「安倍首相が逃げている」と批判されているのはあんまりではないかと思います。
マスコミはもちろんこのような状況を把握しているでしょうから、面会申し入れから断った理由まできっちりと読者に伝えて欲しいものです。伝えるべきことを伝えない「報道しない自由」には賛同できません。
ICAN面会申し入れから断りまでの一連の流れ
- 12月14日:1月12~18日の日程で欧州訪問調整
- 12月下旬:ICANが16~18日で面会申し入れ
- 1月10日:政府が欧州訪問期間が12~17日の日程になると発表
- 1月12日:1月18日に豪ターンブル首相の訪日発表
- 1月14日までのどこか:外務省経由でICANに面会できないとの回答