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大人が憧れる大人なシンガー・鈴木雅之 溢れるロックンロールスピリットで響かせ続けるグッドミュージック

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ソニー・ミュージックダイレクト

鈴木雅之名義としては32年ぶりとなる、アナログ7インチ盤「Ultra Chu Chu Medley」

アナログ7インチ盤「Ultra Chu Chu Medley」(7月15日発売)
アナログ7インチ盤「Ultra Chu Chu Medley」(7月15日発売)

ヴォーカリスト・鈴木雅之の完全生産限定のアナログ7インチ盤「Ultra Chu Chu Medley」が7月15日に発売され、注目を集めている。鈴木雅之名義での7インチEP盤は、4thシングル「DRY・DRY」(1988年)以来32年ぶりだ。4月15日に発売されたデビュー40周年記念アルバム『ALL TIME ROCK'N' ROLL』のオープニングナンバー「Ultra Chu Chu Medley」がA面に、そしてB面には鈴木の原点でもあるドゥーワップの名曲「Tears On My Pillow」のカヴァーが収録されている。プロデュースは小西康陽。まず「Ultra Chu Chu Medley」は、小西がDJミックスした「ハリケーン」「街角トワイライト」「憧れのスレンダー・ガール」「週末ダイナマイト」という80年代のシャネルズのシングルメドレーで、心躍る大人のパーティーチューンに仕上がっている。ご機嫌なトラックに乗せ、鈴木が「40周年だからね、あえて当時の歌い方に寄せてみたんだ」と、新たにヴォーカルをレコーディングし、スタンダードナンバー達が小西のセンスと、鈴木のワザにより新たな息吹を吹き込まれ、瑞々しく聴こえてくる。

“原点”の一曲、ドゥーワップの名曲「Tears On My Pillow」を小西康陽プロデュースでカヴァー

小西康陽
小西康陽

B面は、リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズが1958年の発表したドゥーワップの名曲「Tears On My Pillow」をカヴァー。この曲は鈴木が1977年に出場したアマチュアコンテストで歌ったという、まさに“原点”の一曲だ。鈴木と小西の関係は、鈴木の前作『Funky Flag』(2019年)に、小西が「Sugar Pie Honey Bunch Marching Band」を作詞・曲、プロデュースで参加したところから始まっている。その際、鈴木と音楽談議に花が咲き、特に60年代末から70年代にかけて活躍し、シャネルズの原点ともなったアメリカのオールディーズバンド・シャ・ナ・ナの音源はロックンロールのバイブルという点で意気投合したという。今回は「シャ・ナ・ナのヴァージョンを意識して」(鈴木)、盟友・佐藤善雄、鈴木のライヴのコーラスには欠かせない高尾直樹、DAISUKEが参加し、演奏は少林兄弟と、男性だけでバックを固めメロウかつクールなドゥーワップを聴かせてくれている。こだわりと遊び心が詰まったこの7インチは、もちろん音質も追求し、名匠バーニー・グランドマンによるカッティングで最高の音を楽しむことができる。

『ALL TIME ROCK ’N’ ROLL』(4月15日発売)
『ALL TIME ROCK ’N’ ROLL』(4月15日発売)

“ラヴソングの王様”鈴木雅之はデビュー40周年を迎え、その動きが活発化し、至るところから鈴木の歌が聴こえてくる。まず4月15日にニュー・アルバム『ALL TIME ROCK ’N’ ROLL』をリリース。この作品は、シャネルズの1stアルバム『Mr.ブラック』(1980年)がオリジナル曲と、鈴木のルーツミュージックであるドゥーワップやロックンロールの洋楽のカヴァーで構成されていたことから、その続編を作ろうというコンセプトで制作された。小西康陽、黒沢 薫(ゴスペラーズ)、川畑 要(CHEMISTRY)、大石昌良、アンジェラ・アキ、綾小路翔(気志團)、岡崎体育等豪華アーティスト&クリエイターが参加し、“これまで”と“これから”を大いに感じさせてくれる3枚組作品になっている。

「DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理」(4月15日発売)
「DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理」(4月15日発売)

アルバムとの同発シングルで、TVアニメ『かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~』のOPテーマ「DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理」のMVは、YouTubeでの再生回数が、公開から約3ヵ月で1400万回超え(7月23日現在)と大きな注目を集めている。昨年、キャリア初のアニメ主題歌「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」を発表し、アニソンフェス『Animelo Summer Live 2019-STORY-』にも出演するなど“アニソン界の大型新人”として話題を集めた鈴木だが、第2弾の「DADDY!~」も、しっかりと音楽好き、アニメファン両方の心に響いた。2曲共いきものがかりの水野良樹が作詞・曲、アレンジを音楽プロデューサー・本間昭光が手がけ、鈴木の新しい部分と変わらない”芯”になっている部分を、絶妙なバランスで引き出し、鈴木もそれに応えるように新たな世界観を構築することに成功した。

音楽P・本間昭光が語る、ヴォーカリスト・鈴木雅之の凄さとは

本間はヴォーカリスト鈴木雅之の“凄み”を、こう語ってくれた。「鈴木雅之さんとのセッションを重ねる度に感じるのは、“圧倒的な声の力”が持つ魅力です。それは音程とかタイミングとか、そんな細かい話を遙かに凌駕した上での“存在感”の話になります。どんなトラックメイクをしても、マーチンさんの声が乗った瞬間に“鈴木雅之の作品”にアップデイトされて、そして、全ての歌詞とその描かれた情景がリスナーそれぞれの心に深く飛び込んできます。これってスーパーヴォーカリストにしか為し得ないワザです。「DADDY !~」「ラブ・ドラマティック~」のフィーチャリング作品に2作連続で関わらせて頂きましたが、どちらの作品についても言えるのが“女性ヴォーカリストに寄り添いつつ引き立てて、そして引き上げるマーチンさんならではのダンディズム”を感じられることです。余裕の為せるワザと言いますか、本当の意味で“オトナが憧れるオトナなヴォーカリスト”だと思います。プロデューサーとしてマーチンさんの作品創りに関わる中で、都度都度の楽曲の進化に至福の喜びを感じています」。

鈴木雅之の歴史はコラボの歴史。一曲一曲に存在する「縁」とストーリー

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鈴木のキャリアを振り返ってみると、本当に多種多様の歌を表現してきた。ラッツ&スター時代は大瀧詠一、そしてソロデビュー曲「ガラス越しに消えた夏」を大沢誉志幸が手がけ、以降山下達郎、小田和正、ポール・ヤング、槇原敬之、さだまさし、斉藤和義など数多くの日本の音楽シーンを牽引するアーティストとコラボレーションを重ねてきた。さらに前述したアルバム『Funky Flag』では小西康陽、高見沢俊彦(THE ALFEE)、富田恵一、ギタリスト鳥山雄司、西寺郷太(NONA REEVES)、萩原健太、布袋寅泰、本間昭光、松尾 潔という9人をプロデューサーを迎えて作り上げるなど、これまでコラボレーションという名の化学反応を楽しみ、歌い続けることで進化してきた。最新アルバムも然りだ。もちろんその一曲一曲には「縁」とストーリーが存在する。その縁に感謝しながら、唯一無二の世界をロックな精神で道を切り拓いてきた。だから音楽の神様に祝福され、40年間第一線で歌い続けていることができている。ブラックミュージックからスタートした鈴木の音楽への興味は、グループサウンズ、フォーク、多感な時期にはハードロックにも傾倒し、ロックンロール、ドゥーワップ、様々な音楽が血となり肉となり、鈴木雅之が歌うソウルミュージックができあがった。そしてそれを日本語のラヴソングとして歌い続けている。そこにヴォーカリスト・鈴木雅之のプライドが眩いほどの光を放っている

ドラマ『ハケンの品格』の主題歌「Motivation」が話題

今、鈴木が歌い話題になっている、篠原涼子主演の人気ドラマ『ハケンの品格』(日本テレビ系)の主題歌で、より豊かな明日に向けて進んでいこうという意味も込められた、ファンクテイストの踊れるラヴソング「Motivation(モチベーション)」は、先が見えないコロナ禍の中での生活に精神的にも疲弊している多くの人が、今必要としているキーワードになっているのではないだろうか。40年間のキャリアで培ってきた力、そして熱い思いが込められたこの歌で、全ての人の背中を押し、モチベーションを上げてくれる。MVでは現在流行中の 、咀嚼音や囁き声、耳かきの音など、身体がゾクゾクッとする心地いい音=ASMRを導入し、ASMR用のマイクを使用した撮影を敢行。冒頭のシーンで、耳元で囁くような鈴木の声が、視覚だけでなく聴覚も刺激してくる。

鈴木は来年、ソロ35周年を迎える。ますますその歌が深く“深化”していく。

鈴木雅之 オフィシャルサイト

otonano 鈴木雅之「Ultra Chu Chu Medley」スペシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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