部下の心を一瞬でシャットアウトさせる「いや」という上司の一言
上司に悪気はなくとも、部下はその一言で心を閉ざしてしまうこともあります。「いや」という言葉は口癖になっており、何気なく言ってしまっているケースも多くあります。部下のやる気を低下させないように気をつけてみましょう。
「いや」は部下の意見を封じる否定の言葉
部下から意見や提案をされた時、即座に「いや、それは◯◯だよ」と返していないでしょうか。上司としては「いや」は口癖になってしまっていて、特に否定の意味はないかもしれません。
しかし、部下としては、自分の考えを否定された気分になります。それでも部下は、特に言い返すことはしないでしょう。そして、どうなるでしょうか。「この上司には言ってもムダ」とばかり、意見を言わなくなってしまうのです。
自分の考えだけを押し付けていては、部下との人間関係を損なってしまいます。伝える言葉は、相手の気持ちを考えて選びましょう。
「いや」は「NO」と同じ、否定の言葉。相手の意見に対して否定から入ると人間関係が悪くなると心得ておきましょう。
自分の意見を絶対通そうとする上司
自分の考えと異なる意見を聞いたとき、「いや、それはね」と否定から入る上司は、部下の考えを取り入れる気がなく、「自分の考えこそが必ず正しいのだ」と確信しているのでしょう。
でも、せっかく一生懸命に考えて会議で提案したのに、「いや、実現は難しいね」と上司から却下されてしまったら、部下はそこで心の扉を閉めてしまい、次の会議から意見を言わなくなってしまいます。
活発な意見が出てこない会議は、実は往々にして「進行役の上司が、部下の意見を聞かない会議」であることが多いものです。そんな会議では、結局上司自身の意見が通ってしまいます。部下は「この会議をする意味はあったのかな?」と疑問を持ちます。
口癖は、実は「心のクセ」でもあります。「いや」という否定の言葉をついつい使ってしまう人は、日頃から人の意見を受け入れず、良くない点ばかりを指摘しがちなタイプであることが多いのです。
「自分が仕切りたい」「上に立ちたい」という気持ちから、「いや」という言葉を使っているケースもあります。
謙虚な「いや」にも要注意
人から賞賛された時、「いやいや、そんなことはないですよ」という謙遜の意味で「いや」を使う人もいます。こんな「いや」からは、謙虚な人柄が伝わります。
ところが、毎回「いや、私なんて」と多用していると、自信がないように感じられてしまいます。
「伊藤さんのリーダーシップのおかげです」と褒められたら、「ありがとうございます」と返した方が好印象を与えられます。
「いや」という口癖を直すには
①自分が「いや」と言っていると自覚する
②まずは部下の考えを受け入れる習慣をつける
③返答を「いや」から「なるほど」にする
「いや」をなくし、言い方を少しだけ変えてみることで、相手に対する印象を良くできます。
具体的な例でお伝えします。
上司であるあなたは、新作の商品を「商品A」にしたいと思っています。ところが、部下が「商品Bの方がいいのではないでしょうか」と異なる意見を言ってきました。そんな時、言ってしまいがちな返事と望ましい返事は、次の通りです。
×「いや、新作の商品は商品Aがいいよ」
〇「なるほど、新作の商品は商品Bがいいと思うんだね。私は商品Aがいいと思っていたけど、商品Bがいい理由を教えてくれるかな」
上記のように、まず「なるほど」から入って、部下の意見を聴くようにすると、人間関係がたちどころに良くなります。
まとめ
上司が「いや」と部下の意見をバッサリと切ってしまっては、部下自身が考えて行動する機会をつぶしてしまうことにもなりかねません。部下の自主性を伸ばしたいと思うなら、その意見を受け入れてみることも大切です。
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太田 章代