韓国の日本人コーチが2週間の隔離生活で困ったこととは? 全球団が韓国国内でキャンプイン
韓国KBOリーグもNPB同様、2月1日に春季キャンプがスタートする。例年であればアメリカ、日本、台湾などで練習を行うが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大によりチームでの出国が困難となり、全10球団が韓国国内でキャンプを実施する。
2月1日のキャンプインを前に、今季KBOリーグで活動する日本人指導者たちは1月中旬に日本を離れた。2週間の自主隔離があるからだ。海外から入国した者はPCR検査を行い、陰性を確認後、自宅またはホテルで隔離。その期間はGPSで管理され外出は出来ず、部屋から出ると管理担当者から連絡がくる。また、専用アプリへの1日2回(または3回)の体温の入力が毎日義務付けられている。
2週間の隔離終了前日にPCR検査を受けるため外出し、陰性が確認されると隔離生活が終了するという流れだ。
昨年までLGでコーチを務め、今季10年ぶりにSKに復帰した芹澤裕二バッテリーコーチ(元中日など)はソウル市郊外のインチョン(仁川)市の自宅で隔離生活を過ごした。
「1月14日の夜に入国して、空港から通訳が運転する車で自宅に入りました。ずっと家の中にいるので曜日の感覚がなくなります。時間が過ぎるのが遅いですね。部屋では掃除をしたり、チームの映像を見て球団にレポート提出もしました」
食事は通訳がフードデリバリーサービスで注文したものと、自治体から届けられたキットの中に入っているレトルト食品が中心だ。人と対面してはいけないので、出前で届けられたものは自宅玄関の外に置かれる。
芹澤コーチの隔離期間中にSKは球団の売却を発表。芹澤コーチ他、球団関係者は大きな衝撃を受けた。
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サムスンの落合英二2軍監督も、韓国東南部のテグ(大邱)市の自宅で同様の日々を過ごした。落合2軍監督はサムスンでの指導者生活が通算7年目。そのため連日、選手や関係者から肉やキムチなどの差し入れが玄関前に届いたという。
「隔離については従うしかないので辛いとかキツいとかはありません。韓国内で決めたことですしその国にいるのですから当たり前だと思っています。サポートをしっかりしてもらっていて、球団をはじめ2軍マネージャーや選手にも差し入れしてもらっているので感謝しかありません」
落合2軍監督も部屋の掃除と換気をこまめに行い、時折、昨年のチーム資料を眺めて気になる点があれば書き留めているという。
隔離生活の中で困ることについて芹澤コーチは「ごみ処理」を挙げた。
「部屋から出てはいけないのでごみが捨てられません。出前の容器が溜まっていくので洗っていますが、やはり臭いが気になりますね。部屋の中でも換気扇の近くに置いています」
さらに芹澤コーチは「僕と落合は自宅だからいいですけど、ホテルの部屋で2週間出られない状態だったら、精神的にキツかったかもしれないです」
KBOリーグには芹澤、落合両氏の他、今季から元オリックスコーチの鈴木郁洋氏がKTの2軍バッテリーコーチに就任。鈴木コーチは今回初めて韓国球団と契約したこともあって、ビザの手続きに時間を要した。そのため出国が遅れ、2週間の隔離が1月中には終わらずキャンプには途中からの合流となる。
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2月の韓国は寒い。KT、SK、ハンファは韓国南部に練習拠点を求めたが、それ以外の7球団は本拠地球場や2軍の施設で練習を行う。その中でキウムだけはドーム球場(コチョクスカイドーム)を本拠地としているため、気候の影響を受けない。午前中は2軍、午後に1軍がドームを使用するスケジュールになっている。
(映像・音声:ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(沖縄・FMコザ)リスナーからの韓国球団のキャンプに関する質問に回答。日本人コーチの練習メニューも。1月27日放送分)
昨季のKBOリーグは開幕を38日遅れの5月5日にスタート。無観客、観客数制限はあったが公式戦の試合数を減らすことなく全144試合を行った。今季は4月3日の開幕を予定している。
⇒ 2020年KBOリーグ順位表(ストライク・ゾーン)