【車のプロが解説!】ダイハツ不正行為について感じたこと3選!
この記事では車のプロの目線からみるダイハツの不正行為で感じたことを解説していきます。
この記事は車系Instagramアカウントでフォロワー7,600人超え、ブログ「やっさん車好きの味方」を運営する生粋の車好きの私が、ダイハツで起きた不正行為についてプロの目線から解説していきます。
1.車のプロ目線で見るこの問題の原因を解説
ダイハツの不正行為は何が原因で起きたのでしょうか?
車の現場で働く私の目線で見ると、以下3つの課題が挙げられます。
- 開発スケジュールの過密性
- 外から見えにくい職場環境
- 現場と管理職側での検査体制の不備
があると考えます。
開発スケジュールの過密性
仕事を行う上で、予備日を設けるのは大切でしょう。期日までの余力を持たせることで仕事に心の余裕を生むからです。
ダイハツではその余裕を持ったスケジュールが組みにくい会社風土が育っていたように感じます。
開発工程から販売に至るまで、短期開発での販売を他社との差別化要因として重視していた会社風土が開発に携わるものに『認証試験に必ず合格しなくてはならない』というプレッシャーを与えたのでしょう。
その結果、認証試験でのデータの改ざん、安全性の確認の不備につながったのだと私は考えます。
失敗が許されないという会社風土は、現場の人間にとってプレッシャーにしかならないのではないでしょうか。
外から見えにくい職場環境(試験環境)
認証試験の担当者は、認証試験の合格に対して過度のプレッシャーを感じながら業務を行っていました。
業務の専門性の高さから外部からのチェックも行き届きづらく、不正やごまかす行為があっても周りが見つけることができない環境を作り出していたのだと考えます。
過密なスケジュールも相まって、相談する相手もいない環境だと現状を乗り切るために認証試験での不正行為に及んだのだと私は思います。
現場と管理職側での検査体制の不備
ダイハツでの認証試験では、現場での判断に一任されるなど検査体制が不十分でした。管理職側が認証試験及び現場での状況を確認することは行われておらず、現場の課題と管理職側での状況の把握について大きなズレがあったと考えられます。
専門性の高い領域での意志の疎通が行われなかったことで現場の人間をさらに孤立させたのではないかと私は感じました。
今回の不正について記者会見でも管理職側に問題があると第三者委員会は指摘していましたが、私も同意見です。
現場をないがしろにした管理体制が行われていたのは現場環境のずさんさを見た時にいえるのではないかと思います。
2.考えられる自動車業界への影響
ダイハツの不正問題は自動車業界へどのような影響を与えるでしょうか。
軽自動車の販売シェアで国内事業No.1なのがダイハツです。
2022年度では国内シェアの33.4%、軽自動車販売シェアランキングでも2006年〜2022年度の17年間、不動の第1位。
軽自動車国内事業のシェアからも今後の影響として以下の3つが考えられるでしょう。
- 軽自動車販売のひっ迫
- 中古車市場の相場が高騰
- 取引先、部品メーカーへの打撃
引用:ダイハツ公式HP『データで見るダイハツ』より
車のプロ目線で解説していきます。
軽自動車販売のひっ迫
軽自動車販売において、ダイハツは『巨人』です。
全国軽自動車協会連合会によると、2022年度のダイハツの国内販売数は56万台強に登り、国内の3割以上がダイハツの車であることが分かります。
3割以上の生産が止まるとなると日本市場に出回る車は大きく後退せざるおえません。
今後、ダイハツでの生産再開までは新車で軽自動車を手に入れるのが困難になることが予想できるでしょう。
予約しても自動車メーカーから入荷を待つ状況が続くかもしれません。
中古車市場の相場が高騰
新車だけが車を手に入れる方法ではありません。
中古車市場においても影響は避けられないでしょう。
今回の不正行為でダイハツの関連する車はブランド価値を落とすことになると思います。
そして、その他の自動車メーカーの車の需要が増して価格が上昇するのではないかと考えます。
命を預ける乗り物である以上、安全性を重視するユーザーからの信頼回復までダイハツのブランド価値は影響を受け続けるでしょう。
取引先、部品メーカーへの打撃
帝国データバンクによると、ダイハツ工業に関わるサプライチェーン企業は8136社にも及びます。サプライチェーン企業とは、売上高の1%以上を依存している企業のこと。ダイハツのために製造・卸を行っている企業群になります。
サプライチェーン企業のすべてに影響を与えるのが確実なので日本経済に与える影響もすさまじく、その経済損失は2兆2000億以上になると予想されます。
取引先、部品メーカーや末端でダイハツを支えてきた人たちの生活の維持が今後難しくなるでしょう。
3.今後のダイハツの展望
今回の不正行為に対して、ダイハツでは軽自動車の販売及び出荷を停止しています。
現時点ではいつ販売が開始されるかは見通しが立っておらず、その間は工場での生産も中止せざる負えません。
事業規模が大きい分、地域経済に与える影響は重大です。
提携を組んでいる親会社の『トヨタ自動車』、『SUBARU』、『マツダ』の販売計画にも影響を与えるでしょう。
ダイハツで起きた不正行為については問題の解決及び今後不正が起きないような事業内部の改革が急務です。幹部職と現場の人間の連携、開発計画の見直し、風通しの良い組織作りが体制として整えられることを望みます。
4.まとめ
今回の記事では、ダイハツの不正行為について自動車のプロの目線を交えて解説していきました。
ダイハツのもつブランド力は、軽自動車産業の中で絶大なものでした。その屋台骨がきしむ出来事であった分、今後の自動車産業のゆくえも不透明なものになったと言わざる負えません。今回の件で自動車産業にクリーンな風が吹いて、働きやすい環境が整い、自動車産業全体で盛り上がっていくことを望みます。
ダイハツの自動車も大好きな私としては、ダイハツがこの困難を乗り越えて新たな形で復活をしてくれることを心より応援しています。