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【杉並区】知られざる出土品の数々。弥生時代の杉並に想いを馳せてみよう!

酔街草エディター・ライター(東京都杉並区)

JR荻窪駅北口から青梅街道を渡り、天沼八幡通りを10分ほど歩くと、住宅地に囲まれるように佇む「天沼弁天池公園」に到着する。

近隣住民の憩いの場となっている小さな公園で、「杉並区立郷土博物館分館」は、その一角に位置している。

すでに本展が2月から始まっていたのは知っていたのだが、通年より遅めの満開となった桜に誘われて、ようやく『発掘された弥生時代』展に足を運んだ。

正直、酔街草も旧石器時代や縄文時代に比べ、弥生時代はやや地味なイメージに囚われていたのだが、展示品を眼の前にした瞬間、刮目相待せざるを得なかった。

現在、東京都にある遺跡の数は6000を超えているそうだが、江戸時代から現在に至るまで政治の中心地となって多くの建物が建造されたため、遺跡の多くが削られ無くなったと言われている。

杉並区内からも160以上の遺跡が発見されているものの、その多くは旧石器時代や縄文時代の遺跡で、弥生時代についてはあまり注目されていなかったそうだ。

しかし、近年の発掘調査により、集落の周囲に大きな溝を巡らせた「環濠集落」や、埋葬施設を方形の溝で囲った「方形周溝墓」など、弥生時代の遺構が明るみに出るにつれて関心が寄せられてきた。

本展では、「大宮遺跡」、「鎌倉橋上遺跡」、「方南町峰遺跡群」などの発掘調査をもとに、知られざる弥生人の生活や葬送について紹介している。

しばし、古(いにしえ)の杉並に想いを馳せてみるのも悪くない。

弥生時代は、日本列島における時代区分の一つであり、「日本で食糧生産が始まってから前方後円墳が出現するまでの時代」とされる。年代としては紀元前10世紀から紀元後3世紀中頃までにあたる。採集経済の縄文時代の後、水稲農耕を主とした生産経済の時代である。                  
「ウィキペディア」より

弥生時代、農耕定住のために不可欠だったのが水の存在。杉並区では、神田川や善福寺川の周辺が重要な場所であったのも納得できる。

展示は「郷土博物館分館」の西棟2階で行われていた。

小規模な展示ではあるが、随所に歴史の重みと深みが感じられて、誰しもが厳粛な気持ちになれるはず・・・。

「大宮遺跡方形周溝墓」からの出土品。杉並区の指定文化財にも指定されている。この壺の底には穴が開いており、当時の葬送品だったと考えられている。

杉並区の方形周溝墓から出土した遺物が一堂に揃うのは、発掘調査以来、何と54年ぶりなのだそう。

「本陣山遺跡」から発掘された、杉並区内では最大サイズの壺。外面のみならず内面にも熱を加えた痕跡から、遺跡は墓であったと考えられている。

他の出土品の中でも一際大きいその姿を目の当たりにすると、驚きとともに圧倒されてしまうはずだ。

ふと、展示品の中に園山俊二さん(1935-1993)の漫画を発見!

”マンモス肉”でお馴染みの旧石器時代ではなく、弥生時代のほのぼのとした暮らしがユーモラスなタッチで描かれているではないか。

調べてみると、園山さんは生前、杉並区内に住んでおり、『はじめ人間ギャートルズ』を想像で描くのではなく、学術的観点から描きたいという願いから、昭和43年(1968年)頃に杉並区内の発掘現場へ何度か足を運んでいたそうだ。

観覧後にアンケートに答えると、先着1000名にオリジナルの遺跡カードがプレゼント(1人1枚)される!

5月11日(土)には学芸員による展示解説が開催されるので、興味のある方はぜひ参加してみてはいかがだろう。

①午後2時〜2時30分②午後3時〜3時30分の2回が予定されており、予約は不要とのことだ。

企画展 「発掘された弥生時代」

会期:2024年2月23日(金)〜5月12日(日)まで
会場:杉並区立郷土博物館分館(天沼弁天池公園内)
住所:東京都杉並区天沼3−23−1
電話番号:03ー5347−9801
アクセス: JR中央線・東京メトロ丸ノ内線荻窪駅北口より徒歩10分
開館時間:9時〜17時
休館日:月曜日、第3木曜日、4月29日、5月6日は開館、翌日休館
観覧料:無料
杉並区立郷土博物館分館

エディター・ライター(東京都杉並区)

中央線沿線の街並みとお酒をこよなく愛する、元・雑誌編集者です。長年に渡って杉並区の荻窪に在住。居酒屋、グルメに関する話題・スポットをはじめ、季節のイベントなどを中心に、皆さんの役に立つ情報を発信して行きます。

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