Yahoo!ニュース

NY原油25日:調整売りが継続も、低ボラティリティに

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.57ドル安

始値 60.22ドル

高値 60.46ドル

安値 59.43ドル

終値 59.70ドル

前日の米週間需給統計を手掛かりに上値を試すことに失敗する中、続落した。

特に目新しい材料は見当たらなかったが、前日に米原油やガソリン在庫の減少を手掛かりに上値を試すとのシナリオが実現しなかったことが、失望売りを促している。積極的に売り込むような動きまでは見られなかったが、60ドル台から更に買い進むのは難しいとの評価から、買い玉整理の動きが優勢になっている。米国内需給要因で買い進むことができなければ、石油輸出国機構(OPEC)の大量増産で緩んだ国際原油需給が、原油相場の上値を圧迫することになる。

完全な膠着相場と化しており、シカゴの原油ボラティリティ指数は昨年11月7日以来の低水準に落ち込んでいる。5月末時点では33.74だったのが、本日は29.60まで低下している。60ドルの節目からブレイクできない状況が続いていることが再確認できる。

国際原油需給に関しては緩和状態が続くとの評価が確立する中、米石油在庫の減少傾向という数少ないポジティブ材料を消化できれば、改めて下値切り下げ傾向が強まろう。「国際原油需給の緩和見通し」と「米原油在庫の減少傾向」の強弱材料について、前者を重視する動きがやや優勢になり始めている。ただ本格的な値下がりにはドル安傾向に歯止めが掛かることが必要不可欠であり、60ドル水準のボックスを下抜けできるのか否かは、ドル相場の動向に依存することになろう。ギリシャ債務問題、そして来週の米雇用統計発表などを受けて、ドル高圧力の再開が見られるか否かが、原油相場のボラティリティ回復の有無を決定付ける見通し。

画像
マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

小菅努の最近の記事