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海外では死者も。SNSきっかけに起きる若者の激辛ポテトチップスチャレンジの危険性 #専門家のまとめ

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
「ワン・チップ・チャレンジ」を生み出したポテトチップス(写真:Shutterstock/アフロ)

 東京、大田区にある都立六郷工科高校で、市販されている激辛のポテトチップスを食べた高校生33名のうち14名が救急搬送されるという事故が起きて話題となりました。なかには車椅子で搬送された生徒もいたそうです。

 幸いにも命に別状はなかったということですが、じつは海外ではこうした激辛ポテトチップスを食べる「ワン・チップ・チャレンジ」で死者も出ています。

ココがポイント

▼アメリカで生まれた「ワン・チップ・チャレンジ」は、元々は激辛チップスメーカーによる販促キャンペーンだった。

One Chip Challenge(Wikipedia)

▼2022年1月、ワン・チップ・チャレンジに挑戦した高校生3名が入院する事故が発生。校則で禁止する学校も現れ始める。

‘One chip challenge’ sends 3 CA high schoolers to hospital(Sacramento Bee)

▼2023年9月、SNS用に同チャレンジに挑戦した14才の少年が死亡する事故が発生。メーカーは店頭から激辛チップスを自主回収。

Maker of the spicy 'One Chip Challenge' pulls product from store shelves(NPR)

▼2024年5月、少年が死亡したのは「高濃度のカプサイシンを含む食品を摂取したことによる心肺停止」との検死結果。

Harris Wolobah, Worcester teen, died from eating spicy chip in One Chip Challenge(NBC Boston)

エキスパートの補足・見解

 上記でまとめた入院した高校生たちや亡くなった少年は、好きな味だからという理由で激辛ポテトチップスを食べたのではなく、SNSチャレンジ用に「ワン・チップ・チャレンジ」に挑戦したと報じられています。

 もちろん今回の事故は(今のところ)そうした話ではなく、単純に高校生が持ち込んだ激辛ポテトチップスをみんなで食べたものだと伝えられていますが、世の中には「みんなが食べているから大丈夫」そうに見えて危険なモノが売られています。しかも食べ物として。

 事故が起きた激辛ポテトチップスには、パッケージの裏面に「18禁!辛すぎますので、18歳未満の方は食べないでください」との注意書きがありました。そして、死亡した少年が食べた激辛ポテトチップスにも同じように裏面に「子どもの手が届かないところに保管して」、「成人向け」との注意書きがありました。

 しかし、結果としてどうでしょうか。そのような注意書きがあるからと言っても、子どもたちは守っていませんし、販売側も売ってしまっています。なぜなら法的に守らなければいけない辛さによる年齢制限なんてありませんし、TikTokやYouTubeショートでみんながチャレンジしているからです。

 激辛食品を食べるという挑戦は、面白コンテンツのひとつとしてSNSで人気です。しかし、そうした行為にまだ体ができていない若者が挑戦すると、今回のような事故が起こりえます。親御さんは、お子さんにスマホを持たせるときに「みんながやっていること」の危険性のひとつとして十分に言い聞かせることをおすすめします。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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