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ゴルフ界のレジェンド、G・ノーマンの謎は深まるばかり。今度は「今年の全英オープンにエントリー」!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

 グレッグ・ノーマンの動きが、ますます、かまびすしい。

 と言っても、今回はサウジアラビアのオイルマネーを見せびらかしながら、トッププレーヤーたちを勧誘する話ではない。

 米フォックス・スポーツによると、ノーマンは67歳にして、今年7月にセント・アンドリュースで開催される全英オープンに出場する意思を示し、「今、エントリーフォームに記入しているところだ。出るつもりでいる」と語ったそうだ。

 オーストラリア出身、米国在住のノーマンは、現役時代には世界ランキング1位にも輝いたトッププレーヤーだった。

 メジャー初優勝はなかなか叶わず、3日目に首位に立っては最終日に敗れることを繰り返したが、それでも1986年の全英オープンを制してメジャー初優勝を挙げると、1993年の全英オープンでも勝利を挙げ、全英2勝、メジャー2勝のツワモノとなった。

 しかし、その後もメジャー最終日での惜敗は続き、悲願だったマスターズ優勝はついに果たせなかった。

 それゆえ、ノーマンの背中には、いつも「惜敗」や「無念」の二文字を背負っているイメージが漂っていると言われてきた。

 そんなノーマンが1993年ごろに続き、現在になって再びPGAツアーに対抗する新ツアー創設構想を打ち出して、世界のゴルフ界を揺らしていることは、「そうした無念の裏返しではないか」と見ている向きが米欧のゴルフ界には多分にある。

 新ツアーの話はこの際、無関係だとしても、67歳にして、再び全英オープンにプレーヤーとして出場しようとしているのは、一体なぜなのか。

 純粋に「戦いたい」という想いによるエントリーなのか、それとも何か下心や目論見があってのことなのか。ゴルフ関係者は半信半疑で、コトの成り行きを見守ろうとしている。

 ノーマンは全英オープン2勝を挙げてはいるが、同大会には過去の優勝者に対しても年齢制限を設けており、かつては「65歳まで」とされていたが、2007年に「60歳まで」へ引き下げられた。

 いずれにしても67歳のノーマンは年齢制限にひっかかり、過去の優勝者のカテゴリーでは出場は叶わない。

 大会主催者であるR&Aから特別招待を授かるか、それが無理なら地区予選を勝ち抜いて自力で出場権を獲得する以外に道はない。

 しかし、ノーマンは今年の全英オープンが創立150周年を迎える記念大会であることに目を付け、「きっと自分は特別招待されると信じている」とフォックス・スポーツは報じている。

 だが、ノーマンが主導してる一連の新ツアー創設の動きに関しては、米国のPGAツアーと欧州のDPワールドツアー、USGAやR&A、オーガスタ・ナショナルといった既存団体が「反ノーマン」体制を見せていることは事実。

 そんな状況下で、R&Aがノーマンに全英オープンへの特別招待をオファーするとは少々考えにくいことも事実だ。

 それでも「エントリーする」と強気で言い切るノーマンの胸の中、頭の中には、一体どんな絵が描かれているのか。

 謎は深まるばかりだ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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