Yahoo!ニュース

全世界での携帯電話の販売動向をグラフ化してみる(-2013年Q1)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ フィーチャーフォンやスマートフォンから成る携帯電話

世界規模でも伸びるスマートフォン、だが一般携帯もまだセールスは多い

今件はICT(情報通信技術)の調査やアドバイスを行う国際企業のガートナー(Gartner)社が四半期毎に発表している、各四半期単位の販売動向(各時点での利用されている台数全体、及びそれに占めるシェアではないことに注意)のデータを基にしている。直近データは2013年第1四半期(Q1)までのものだ。

↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(各四半期毎)(Gartner調べ)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(各四半期毎)(Gartner調べ)

2010年まではほぼ横ばいだったスマートフォン販売実績シェアだが、2011年からはほぼ同じペースで漸増している。直近では四半期単位での販売実績の、半数近くがスマートフォン。見方を変えれば、現時点でも一般携帯電話の市場需要はそれなりに大きい。日本国内の携帯電話市場とは異なる現状が確認できる。

「一般携帯からスマートフォンへ」「一般携帯もまだまだ奮闘」な現状が分かるのが、次のグラフ。四半期単位の実販売数を2009年第1四半期から順に図にしたもの。

↑ 全世界における携帯電話「販売」台数(万台)(Gartner調べ)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数(万台)(Gartner調べ)

スマートフォンへのスライド化以外の傾向としては、携帯電話全体としては「年末(Q4)によく売れる」「販売数は漸増を継続していたが、2011年以降はほぼ横ばいに移行」の動きがつかみ取れる。

アジア太平洋のモバイル加入者数や増加傾向をグラフ化してみるなどで記しているが、新興国で普及しつつある携帯電話の多くは、未だに非スマートフォンタイプ。それらが一般携帯電話の販売の多くを支えている。これには販売単価、ランニングコスト、インフラの問題などを起因としている。スマートフォンの導入コスト、ランニングコストの高さは世界共通の問題である。

スマートフォンのOS別に販売シェアを確認

成長著しいスマートフォンにおいて、良く話題に登るのがOSシェアの動向。各四半期毎の販売台数につき、OS別の動きを見たのが次のグラフ。OSシェア動向も激しい動きをしているのが分かる。

↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数シェア(OS別)(Gartner調べ
↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数シェア(OS別)(Gartner調べ

販売数シェア動向を確認すると、2009年当初はSymbianがトップで、次いでResearchInMotion(BlackBerry)。Appleは1割強、Androidは2%にも満たなかった。しかし両方共に漸増を続け、特に2010年以降は成長著しく、2011年第1四半期時点で、双方合わせて過半数の販売シェアを確保する。そして直近の2013年Q1では、ついにiOSとAndroidで92.6%の四半期単位での販売シェアを得るまでになった。かつてのトップを示していたSymbianは0.6%でしかない。

なお圧倒的な多数を占めるAndroidだが、「Androidは多数社の販売数を全部足している」ことに注意してほしい。一方で「iOSはApple社のみの提供」。「OS」括りでのものであり、「1企業=iOS」のApple社と、「多数企業の合計によるAndroid」とでは、単純比較をするのにはやや難があることを認知する必要がある。同時に、純粋にOSでの切り口に限定すれば、Androidの四半期販売シェアがiOSを圧倒的に凌駕しているのもまた事実である。

今後のスマートフォン市場の動向では、ブランド力を活かしつつ「iOS」のAppleが一定の販売台数・シェアを維持し、「Android」がさらに漸増していくものと思われる。ただし「Android」の伸びの分は、他のOS機の分を食いつぶしていくか、一般携帯電話の減少分で補てんされるものと考えられる。いずれにせよ、「スマートフォン全体の販売漸増」「OSではiOSは横ばいから漸増、Androidは漸増」という図式は、しばらく継続するに違いない。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事