市場メシ『しゅうまいライス』はソースで食べるのが築地流。至福の朝ごはん。
2018年に老朽化や施設が手狭となったことを理由に、豊洲に移転した築地市場。今も残る築地場外市場は、以前にも増して賑わっている。外国人観光客や若者の食べ歩き人気スポットとなり、朝から大勢の人が押し寄せる激アツの東京観光地となった。東京でホットな場所の一つだ。
築地と言えば新鮮な海鮮を思い浮かべる人がほとんどだと思う。立ち食い寿司や海鮮丼、店先で焼かれる海鮮などが思い浮かぶ。若者に人気のホルモン丼や串焼き屋、玉子焼き店にも朝から長蛇の列ができている。
築地場外市場の中でおすすめしたいのが、市場人に長らく愛されている昭和25年創業の町中華『築地幸軒』だ。築地には他にも町中華があった。『やじ満』や『ふぢの』は市場が移転する際に豊洲に移った。今も築地に残って、働く人々の胃袋を満たしているのが築地幸軒だ。朝早くから営業し、今も勢いのある町中華である。
築地名物のジャンボしゅうまい
築地幸軒と言えばまずは築地名物のジャンボしゅうまい。来店客のほとんどが注文している。1個200円から注文でき、いつでも蒸し立ての熱々が提供されている。通常の倍以上のサイズはある大きなしゅうまいは、お店の手作りだ。
築地の定番朝食と言えば『しゅうまいライス』。忙しい市場人に時間をかけず提供でき、それをさっと食べて店を出られるのが市場メシ。しゅうまいと厚切りのチャーシューの盛り合わせライスも贅沢で至福の朝ごはん。
ソースで食べるのが築地流?
カウンターには醤油や酢も置いているが、お店が推奨しているのがウスターソース。幸軒のしゅうまいは肉が多く、ねっとりとした食感で玉ねぎなどの甘味を感じる。お店の方に伺うと「うちはずっとソースだよ」肉が多いのでソースが合うそうだ。
このしゅうまいにソースをかけるルーツを探りたかったのだが詳しいことは分からなかった。戦後に関西から浸透していった醤油と酢を原料とした洋風醤油である国産ウスターソースが、東京の台所で定着したようだ。市場メシ『しゅうまいライス』はソースで食べるのが築地流だ。
戦後の食文化でカレーやポテトサラダにウスターソースをかけることがあったと聞いたことがある。当時の人が好んだ味だったのかもしれない。幸軒も戦後すぐの昭和25年創業だ。
崎陽軒がシウマイ弁当に醤油をつけて売り出したところ、しゅうまいには醤油が定番の調味料となった説もある。
大きく厚切りのチャーシューをごはんと一緒にかきこむのが最高だ。チャーシューもしゅうまいと並んで人気。
昔ながらの醤油ラーメン
生姜が香るあっさりスープの昔ながらの醤油ラーメンは、お店自慢の大きなチャーシューが2枚のっている。柔らかく大きなチャーシューが絶品。朝からスルスルっと食べられる中太のストレート麺が特徴。
女将さんが鍋を振るチャーハン
築地幸軒で鍋を振るのは3代目の女将さん。女将さんが鍋を振るチャーハンは、玉子をたっぷり使い、ふんわり仕上げられた隠れた人気メニュー。豪快にざっくりと刻まれた具材を次々と鍋に投入していく。じっとり熱々のラードチャーハンだか、優しい味わいなところに女性らしさを感じる。
夏季限定の冷やし中華
4月中旬から夏季限定の冷やし中華も始まった。玉子焼きは築地の名店、『丸武』のものを使用している。甘い玉子焼きとチャーシューに、酸味が控えめで辛子が混ぜてある醤油スープが合う。添えられている辛子は食べてみてから調整して欲しいそうだ。温かいスープとセットで提供されるのも嬉しい。
豊洲移転前は市場で見かける働く車『ターレ』を横付きして通う常連客もいたそうだ。今も築地で愛される町中華で早くてうまい市場メシの文化を体験して欲しい。
幸軒ではアルコールも提供されているが、さっと飲んで食べて店を出るのが市場の町中華の粋な楽しみ方だと思う。
【店舗情報】
築地幸軒
営業時間6:00〜13:00
水曜日、日曜祝日定休
東京都中央区築地4丁目10−5
03-3545-5602