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【高校野球】宮城ピックアップチームが石川・奥能登選抜、仙台六大学1年生選抜と交流戦 3、4日に石巻で

高橋昌江フリーライター
今年の宮城県ピックアップチームのメンバーたち(筆者撮影)

 2022年からはじまり、今年で3回目となる宮城県の高校3年生によるピックアップチーム。今年は8月3日(土)と4日(日)の2日間にわたり、石巻市民球場で試合を行う。対戦するのは、今年1月1日の能登半島地震で甚大な被害を受けた奥能登の高校5校の3年生による選抜チームと、仙台六大学野球連盟の1年生で編成されたチーム。入場は無料。会場では能登半島地震への義援金を募る。対戦は次の通り。

【8月3日(土)】

10:00 宮城県高野連選抜 VS 石川県高野連奥能登選抜

【8月4日(日)】

09:00 石川県高野連奥能登選抜 VS 仙台六大学野球連盟選抜(1年生)

13:00 宮城県高野連選抜 VS 仙台六大学野球連盟選抜(1年生)

■“3度目の正直”で石川の高校生が来県

 宮城県のピックアップチームは2年前から始まった。当初は、2011年に発生した東日本大震災以降、支援を続けてくれた石川県の選抜チームと交流試合をする予定だったが、コロナ禍で中止になった。そのため、仙台六大学野球連盟の1、2年生との交流試合に変更した。

 昨年も石川県選抜チームとの交流戦を目指したが、やはりコロナ禍で断念。仙台六大学の1年生選抜チームと対戦した。

 今回、“3度目の正直”でやっと石川県との交流試合が実現する。宮城県高野連の松本嘉次理事長は「石川県高野連には、東日本大震災の発生当時からずっと支援していただいていたので、どんな形であれ、交流したいなと思っていました。ようやく実現するので、楽しみです。震災交流も含め、いい形にしたいなと思っています」と感慨深げだ。石川県のメンバーは能登半島地震の被災地域である奥能登の5校(穴水、門前、輪島、能登、飯田)の3年生で編成されている。3日の試合後には、両チームで震災遺構の旧石巻市立大川小学校を見学し、その後、場所を移して震災交流会も行う。

 震災交流会では、石巻工が2012年のセンバツ大会に21世紀枠で出場した時の主将で、現在、仙台一で部長を務める阿部翔人先生と、石巻商出身で現在は東北生活文化大高の部長を務める佐藤光也先生が講話を行う。2人は東日本大震災発生時に高校1年生で、ともに主将となった2年秋には県大会準決勝で対決した仲。教員となった当時の高校生が、いまの高校生にどんなことを語りかけるのか。

 石巻の街の様子なども含め、松本理事長は「復興の様子を見てもらい、『みんなのところもいずれはこうなるよ』と希望を持ってもらえれば」と話す。

2018年8月、旧石巻市立大川小学校を見学する白鴎大足利の選手たち。10回続いた「復興試合」で筆者は数年にわたり、高校や社会人の複数のチームを震災遺構に案内してきた(筆者撮影)
2018年8月、旧石巻市立大川小学校を見学する白鴎大足利の選手たち。10回続いた「復興試合」で筆者は数年にわたり、高校や社会人の複数のチームを震災遺構に案内してきた(筆者撮影)

■宮城県ピックアップチームは大学生と初のオープン戦

 今回で3回目となる宮城県のピックアップチームは奥能登選抜、仙六選抜との対戦に向けて準備万端だ。

 聖和学園が初優勝を飾った宮城大会決勝から2日後の7月25日にセレクションが行われ、選抜された選手たちで27日から活動を開始した。その後、練習や練習試合を実施。今年は、初めて大学生とのオープン戦も組まれ、本番までに大学生の力量を体感している。宮城県高野連強化育成部の平塚誠委員長(角田高監督)は「すでにレベルの高い選手たちですので、練習よりも試合を経験して連携を深めていってもらえればなと思いました。去年のピックアップチームと大学生の試合を観戦した選手もいますが、実際に大学生のスピードやパワーを感じ、大学生がどのくらいの力があるのかを分かったところもあると思います」という。ちなみに、大学3校、高校1校と対戦して4連勝。大学生からの初勝利に勢いづく。

3回目の今年は初めて大学生との練習試合も行い、本番に備えている(筆者撮影)
3回目の今年は初めて大学生との練習試合も行い、本番に備えている(筆者撮影)

 宮城県のピックアップチームの選手は22人(マネージャー2人)。1回目から指揮を執る小原仁史監督(泉松陵高副部長)は「投手は例年通り、特徴のある選手が集まっており、失点の計算はある程度できるのではないかと思っています」と、投手力に自信をのぞかせる。一方、攻撃に関しては「去年もそうでしたが、大学生の強いボールに慣れるのが大変。どうやって点数を取るか。そういう意味では、今年は大学生とのオープン戦があるので感覚を持って本番に臨めればなと思います」と話した。選手の気質も「毎年そうですが、みんな、楽しくやってくれています」と言い、「代表の選抜チームだという、いい意味でのプライドを持って、行動も含めてしっかりとやってくれれば」と期待する。

今年も明るい選手たちがそろっており、毎回の活動が楽しそうだ(筆者撮影)
今年も明るい選手たちがそろっており、毎回の活動が楽しそうだ(筆者撮影)

■宮城県、仙六のメンバーは?

 宮城県ピックアップチームと、仙台六大学野球連盟選抜(1年生)のメンバーは下記の通り。

【宮城県ピックアップチーム】

背番号/氏名/高校(地区)/投打/身長・体重/出身中学

〈投手〉

7/熊谷太雅/東陵(東部)/左左/185センチ・64キロ/石越

10/石川恭祐/仙台三(中部)/右右/173センチ・73キロ/七北田

11/小塚光貴/仙台城南(南部)/右右/179センチ・69キロ/山田

18/藤田大和/柴田(南部)/右右/176センチ・62キロ/角田

19/赤間洸太/東北学院(中部)/右右/172センチ・70キロ/東北学院

20/新沼櫂我/日本ウェルネス宮城(東部)/右右/174センチ・71キロ/大船渡一(岩手)

〈捕手〉

2/庄司智哉/名取北(南部)/右右/175センチ・74キロ/北角田

12/相澤純之介/仙台(中部)/右右/171センチ・72キロ/八木山

22/千葉虎太朗/石巻(東部)/右右/170センチ・78キロ/稲井

〈内野手〉

4/杉山翔栄/東陵(東部)/右右/172センチ・60キロ/将監

5/郷家璃久/仙台商(中部)/右右/178センチ・83キロ/将監 ※主将

6/鶉橋樹/柴田(南部)/右左/176センチ・68キロ/大和

9/菊地佳亮/古川工(北部)/右左/175センチ・68キロ/三本木

14/石堂颯也/石巻工(東部)/右右/167センチ・65キロ/渡波

15/川脇優有/東北学院榴ケ岡(北部)/右右/172センチ・67キロ/成田

16/平間悠雅/東北学院(中部)/右右/162センチ・66キロ/名取一

21/熱海裕大/日本ウェルネス宮城(東部)/左左/169センチ・91キロ/塩釜一

〈外野手〉

1/西城雄世/東北(中部)/右右/173センチ・67キロ/高砂 ※副主将

3/青沼佑眞/古川学園(北部)/右右/176センチ・74キロ/古川東

8/布川碧/東北(中部)/右左/183センチ・78キロ/八木山

13/柿崎創/仙台城南(南部)/右左/169センチ・65キロ/名取二

17/熊坂勇星/仙台商(中部)/右左/164センチ・65キロ/宮城野

〈主務〉

阿部くるみ/名取北(南部)/みどり台

飯田雛子/富谷(北部)/高森

〈スタッフ〉

強化委員長/平塚誠/角田(南部)

監督/小原仁史/泉松陵(中部)

コーチ/阿部克彦/登米(東部)

コーチ/榊良輔/名取北(南部)

コーチ/阿部翔人/仙台一(中部)

責任教師/穀田長彦/宮城広瀬(中部)

宮城県ピックアップチームの3期生となる今年の選手たち。この日は東陵・熊谷が欠席(筆者撮影)
宮城県ピックアップチームの3期生となる今年の選手たち。この日は東陵・熊谷が欠席(筆者撮影)

【仙台六大学野球連盟選抜(1年生)】

氏名(大学)/投打/出身高校

☆は昨年の宮城県ピックアップチームメンバー

〈投手〉

石井稜久(東北福祉大)/左左/盛岡大付(岩手)

☆前田直哉(仙台大)/左左/東陵

☆今野一成(仙台大)/右左/古川学園

下村暁達(東北大)/右左/栄東(埼玉)

山田悠太郎(宮城教育大)/左左/東北学院

近藤龍毅(宮城教育大)/右右/仙台三

☆岩本樹(東北学院大)/右左/古川学園

木村春人(東北工大)/右右/仙台育英

内田陸斗(東北工大)/左左/仙台育英

今井勇成(東北工大)/右右/仙台

〈捕手〉

小竹森尋(東北工大)/右左/東陵

熊谷海惺(東北福祉大)/右右/登米総産

小笠原愛輝(仙台大)/右右/盛岡中央(岩手)

西谷拓真(東北学院大)/右右/東奥義塾(青森)

〈内野手〉

服部泰河(仙台大)/右右/福島商(福島)

小野洋一郎(東北学院大)/右左/東北

稲葉聡(東北大)/右右/仙台一

松山拓未(東北福祉大)/右右/学法石川(福島)

橋本拓樹(宮城教育大)/右左/盛岡三(岩手)

山田翔琶(東北工大)/左左/東北 ※主将

八鳥煌紀(東北福祉大)/右左/龍谷大平安(京都)

大久保蓮(東北学院大)/右左/聖和学園

〈外野手〉

伊藤達哉(東北学院大)/右左/仙台育英

岩槻翔太(東北工大)/右左/仙台一

佐藤玲磨(東北工大)/右右/東北

下山健太(仙台大)/右右/仙台育英

三上颯太(仙台大)/右右/山村学園(埼玉)

長谷陸翔(東北福祉大)/右左/八戸学院光星(青森)

照井陽太(東北工大)/右右/八戸学院光星(青森)

松橋日々生(東北福祉大)/右左/ノースアジア大明桜(秋田)

〈スタッフ〉

部長/駒場彰/仙台六大学野球連盟理事長

監督/目黒裕二/東北工大監督

コーチ/星孝典/東北学院大監督

コーチ/高橋顕法/宮城教育大監督

昨年の宮城県ピックアップチーム。活動を終えての1枚(筆者撮影)
昨年の宮城県ピックアップチーム。活動を終えての1枚(筆者撮影)

※2022年、1回目のセレクションの様子はこちら

※2023年、2回目の実施に関してはこちら

フリーライター

1987年3月7日生まれ。宮城県栗原市(旧若柳町)出身。大学卒業後、仙台市在住のフリーライターとなり、東北地方のベースボール型競技(野球・ソフトボール)を中心にスポーツを取材。専門誌やWebサイト、地域スポーツ誌などに寄稿している。中学、高校、大学とソフトボール部に所属。大学では2度のインカレ優勝を経験し、ベンチ外で日本一を目指す過程を体験したことが原点。大学3年から新聞部と兼部し、学生記者として取材経験も積んだ。ポジションは捕手。右投右打。

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