【富田林市】空海が掘りインド由来の龍神が守る、清水大師堂に行ってきました。井戸水も汲めますよ
富田林の町中には昔ながらの井戸水がいくつかありますが、昔は使っていた形跡があっても、あまり現役で使われているところは少ない気がします。
しかし、若松町にある清水大師堂の井戸水は「沸騰させてから」という条件が付きますが、飲み水として利用できるとのこと。そこでどんな感じなのか見てきました。
地図で確認しましょう。近鉄富田林駅から東方向に歩いて行けばあります。ちなみに清水大師堂という名前自体は各地にあるようで、富田林市の近くでは堺市中区平井と貝塚市にも清水大師と呼ばれるスポットがあります。
こちらが清水大師堂の入口です。富田林の市街地にある多くの井戸は、野外で放置されているものが多く見受けられますが、清水大師堂の井戸は明らかに違い、近隣の人に守られている印象ですね。
弘法大師遺跡清水井とあります。調べるてみると、空海(弘法大師)が新堂本郷にあった大工村の住民のために掘った井戸とのこと。
井戸水とは関係ありませんが、横に小さな水路が流れていました。また現役で利用している井戸らしく、敷地内に動物を入れることを禁止する看板が印象的です。
ゲートをくぐると、右側が大師堂です。
左側にある建物。「清水大師の郷」という看板が付けられています。恐らくこの井戸を守っている近所の人たちの集会所でしょう。
正面に御堂があって、清水大師が祀られています。
清水大師と書かれた、扁額(へんがく)が立派ですね。
扉が閉じられているので、中の姿は解りませんでした。清水大師とあるので、空海の像が安置されているのでしょうか?
また横にも小さな祠が並んでいました。左側が清水不動尊で、右側が延命地蔵菩薩とあります。
また清水不動尊の隣には子安地蔵菩薩の祠、さらにとなりにもありますが、これは名前が書いていないのでわかりません。
清水大師の御堂の左側にもうひとつ、こちらは八大龍王神の扁額です。
北条氏の家紋がついていますね。少し気になりました。記録では幕末の新堂村は幕府領になっているようですが、江戸時代の一時期に現在の大阪狭山市を拠点としていた狭山藩北条氏がこの辺りを支配していた事があったのでしょうか?
あるいは狭山池の龍神と関係があって勧請(かんじょう:れいをわけてもらう)したのかもしれません。
ちなみに八大龍王とは仏教が流布する以前に古代インドで神様だったものが仏教に帰依し、仏法を守るようになったグループ「天龍八部衆」に所属している八つの龍王です。
本来はナーガというインド神話に登場する蛇神だったそうですが、中国や日本では龍の形になったものだとか。8つの竜王の名前は次の通りです。
- 難陀(ナンダ、なんだ - आनंद Ānanda)
- 跋難陀(ウパナンダ、ばつなんだ - उपनन्द Upananda)
- 娑伽羅(サーガラ、しゃがら - सागर Sāgara)
- 和修吉(ヴァースキ、わしゅきつ - वासुकि Vāsuki)
- 徳叉迦(タクシャカ、とくしゃか - तक्षक Takṣaka)
- 阿那婆達多(アナヴァタプタ、あなばだった - अनवतप्त Anavatapta)
- 摩那斯(マナスヴィン、まなし -मनस्विन Manasvin)
- 優鉢羅(ウッパラカ、うはつら - Utpalaka)
八大龍王は水中の主として、幾千万億の眷属(けんぞく)の龍達とともに釈迦の教えに耳を傾けたとあり、そのため水の神様として祀られています。実際にここでも、祀られているその下に井戸があり、水が汲めるようになっています。
ここに黄金の御神水と書いてあります。空海が掘り当てた井戸の水を仏法の守護である八大龍王が守っているということですね。
さらに八大龍王を祀ることにより、井戸水が枯れないように地元の人が願っていたのでしょう。
そのため現在でも利用されている現役の井戸水なんですね。
場所が富田林市内の町中にあるためか、一時は水質に問題があり、飲み水としては使えなかったこともあったようです。
しかし、令和2年の水質検査により水質が大幅に改善。沸騰させれば、飲み水として使用しても問題ないとのことです。
水質が改善したことは大変良いこと。地元の人は井戸の水を使えるようになったわけですね。
さらに、外の看板に次のようなポスターがありました。これは震災などが発生した時に生活用水として提供出来る井戸として大阪府に登録されているとのこと。
もちろんこのような状況になる災害が来ないのがいちばんですが、近隣の人にとっても安心のひとつであることには間違いはありません。
清水大師堂
住所:大阪府富田林市若松町3丁目8-20
アクセス:近鉄富田林駅から徒歩10分
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