商標法4条1項8号改正:友近さん、「西尾一男」を商標登録するチャンスです
昨日の記事では、「他人の氏名を含む商標は(その他人の承諾がない限り)登録できない」という商標法4条1項8号の改正(条件緩和)により、以前は登録できなかった商標が2024年4月1日以降に出願すれば登録可能になった(少なくとも4条1項8号で拒絶されることはなくなった)件について書きました。
これにより、"YOHJI YAMAMOTO"等、過去に4条1項8号によって拒絶されていた商標を再出願するケースが見られます。
過去に4条1項8号によって拒絶されていたケースとしては、友近さんの別ペルソナのネタである「水谷千重子」(ベテラン演歌歌手)と「西尾一男」(ピザ屋のバイトのおっさん)もあります。いずれも、本人による出願がされていましたが、4条1項8号による拒絶理由通知が出て、「水谷千重子」については登録、「西尾一男」は拒絶になっています(関連過去記事)。前者については(特許庁が認識している)同姓同名者の承諾書が得られ、後者については得られなかった(出願人代理人から「住所・氏名がわからないので承諾の取りようがないが何とかならないか」との上申がされています)ようです。
しかし、今、出願すれば、「西尾一男」という氏名の著名人はいないと思われますし、友近さんは「西尾一男」を芸名とした活動を続けていますし、もちろん不正目的の出願ではありませんので、4条1項8号で拒絶されることはないでしょう。ということで、出願するなら今がチャンスです(老婆心)。
ちなみに、この4条1項8号改正による恩恵を受けられるのは、デザイナーブランドや飲食店や芸能人に限った話ではありません。たとえば、創造した架空のキャラクターの名前(今適当に考えましたが、たとえば、「綾小路ゆりか」)を商標登録出願した際に、たまたま同姓同名の人物が実在して(その人の承諾書をもらわない限り)登録できない(あるいは、登録後に同姓同名者の存在が明らかになり無効にされる)といった事態が生じなくなったのは安心できます。また、昨日の記事にも書きましたが、カルビーの「南実のかぼちゃ」という商標が、南実(みなみ みのる)さんの承諾を得ないと登録できないというちょっと馬鹿げたケースもなくなります。
なお、友近さん(あるいは友近さんのマネジメント事務所)以外の人が「西尾一男」を抜け駆け的に出願しても、不正目的、あるいは、他人の業務と混同を招くという理由により拒絶になり、費用を無駄にするだけですので、念のため。