グルメ雑誌のデスクも愛した新丸子の水餃子の名店・瓦奉店が二十二年の歴史に幕 「また、戻ってきたい」
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「出会いと別れの春」です。
特に、3月は別れの方が多い季節ですね。 この3月に、新丸子でひとつの名店がその歴史に幕を下ろしました。
本格水餃子専門店 瓦奉店
それは、本格水餃子専門店の瓦奉店(がぼうてん)さんです。
水餃子の専門店、という非常に珍しいお店で、この作り込まれた世界観から、逆にちょっと入りにくかった、という方もいらしたかもしれません。
この入り口に、お店からの「閉店のお知らせ」が掲示されたのは、今年に入ってからで、新丸子界隈の美味しい物好きの人の間では、あちこちで惜しむ声があがっていました。
わたしも、そのお知らせをSNSで見かけてすぐに立ち寄ったのですが、その時はちょっと夜遅かったこともあり「完売のお知らせ」が店頭にかかっていました。
まだ、時間はあったので、再来を誓ってこの日はお店を後に。
ビルの建て替えのため
そして3月頭、ひとつ仕事が落ち着いたので、子ども連れで来店したら、運良く入ることができました。
お店の中の掲示には、閉店の理由までがきちんと記されていました。
ビルの建て替えが理由なんですね。
注目すべきは「また新丸子でお店を再開させたい」と書いてあったことです。よかった! インスタをフォローして続報を待ちたいです。
数々のグルメ雑誌に取り上げられた名店
店頭にも貼ってありましたが、こちらのお店は過去にさまざまなグルメ雑誌に取り上げられており、新丸子以外の場所から、この味を求めてやってくるお客様もたくさんいます。
メニューは主に餃子
水餃子専門店ではありますが、焼き餃子や揚げ餃子などもメニューにあります。
メニューと共に卓上にも説明書きがあるのですが、餃子はもともと中国東北部の郷土料理。餃子といえば水餃子のことを指し、もっちりとコシのある厚めの皮で包むので主食にもなる食べ応え。野菜のうまみを生かすためににんにくは使用していません。
見るからにボリュームがあるんですが、一口食べるとつるりと喉越しが良くて、いくつでも食べられてしまうんです!
店主のユリさんは、その昔お祖父様が満州鉄道で駅長をしていたため、物心ついた時から、この水餃子が食卓にあり、家族の味として慣れ親しんで育ったのだそう。
お祖母様が現地の方に教わったという餃子の作り方を、しっかりと踏襲して、本場の味を新丸子で提供してくれていました。
私も、大学時代には中国語を専攻していたのですが、中国人の先生のお宅に招かれた時、みんなで一緒に餃子を作ったことを思い出します。手作りの厚めの皮にひとつひとつ餡を包んでいく、この過程も、中国の人たちの「団らん」の大切な部分なのだな、と感じました。
瓦奉店さんは、焼き餃子が好きな日本人のために、焼き餃子も用意してくれていますが、すべて一度茹でたものを、焼いているのだそうです。
焼くとまた、香ばしさが加わって… カリッ、もちっと別の食べ物。
いろいろな楽しみ方ができますね。
小学生が「チャーハン食べたい」というので薬膳豆豉炒飯も頼みました。
「うちのチャーハンは辛いのよ、大丈夫?」とユリさんが辛さ抑えめで作ってくれました。
実は空太郎は辛いものが好きなのですが、このときはユリママのご厚意をありがたく受け取って美味しくいただきました。
五臓発汗、疲労回復と書いてありましたが、本当にその通り!
めちゃくちゃ辛いわけではないのに、体がポカポカしてきます。 そして後をひくうまさ!! スパイスの配合は「秘密」だそうです。
大満足! ですが、閉店してしまう前に、この日品切れだった海老餃子と、揚げ餃子、それにランチ限定のヒスイ餃子も食べたい!!
…と、いうわけで「またきます!」と言って店を後にしました。
ランチで再訪
やってきました。
3月半ばのランチタイム。 稽古と稽古の合間ですが、移動中に新丸子で下車して瓦奉店へ!
運良く、一席だけ空いていたところに滑り込みました。
念願の薬膳ヒスイ水餃子!!
みどりがかっているのは、中に青菜が入っているからで、それがヒスイ餃子の名前の由来です。この日は小松菜だと、ユリさんが教えてくれました。
あずきと生姜の薬膳がゆがセットになっています。
これはもうめちゃくちゃ身体が喜ぶ味でした。 美味しいのに身体にいいって、本当に最高。中国はほんとうに、医食同源の国ですね。
この日、私の隣に座っていた方はなんと、有名グルメ雑誌の編集長だったそうで、どうりで、聞こえてくる話題がとても食通っぽかった〜。
「来週も来るね」とやっぱり会計時には再訪の予定を立てていらっしゃいました。
「遠くからいらしてくださって、応援してくださって。 本当に感謝です」とユリママ。
このお店を開いたばかりの頃は、ママも小さなお子さんを抱えながらだったのだそう。「昼の営業と夜の営業の間に家に戻って、子どもたちをお風呂に入れるのよ。夜の営業の間は、友達に来てもらったり。いろいろな人に助けてもらわなければとてもできなかった」と振り返ります。
ママの、子供を見るあたたかい眼差しは、ご自分のそういう経験からくるものだったのですね。
この日ランチにひとりで行ったことが空太郎にばれ、オレももう一回連れていけー! という恨み節と、懇願の眼差しで訴えられたので、わたしももう一度いかねば、と心に誓いました。
そして海老餃子と対面
お店の開いているのは残り1週間、となったある夜。
奇跡的にふたりとも予定があき「今でしょ!」と… 最後にもう一度来ることができました。
ついに海老餃子と対面です♪
もちろん揚げ餃子も!
食べられるうちに食べたい、もっと辛いバージョンも食べたい、ということで、豆豉チャーハンもリピ!
確かに辛いのですが、やっぱりこれは後を引きます。
毎週でも食べたいなあ…。
薬膳スープ餃子
そして、この時点で結構お腹がいっぱいだったのですが、もうひとつ、食べたことがないメニューがあるのを発見。
薬膳スープ餃子… これがおそろしく私好みの品でした!!!
食べられてよかった!!
白キクラゲのプリプリした食感もたまらないです。
最後は、スープにご飯をINして食べるのが流儀(?)だそう。
完食しました!! 本当にお腹が大満足です。
たくさん食べているうちに、この日最後のお客様になってしまいました。
おかげでママとたくさんお話ができたのがうれしかったです。
中国に来ているようなトリップ感が味わえる、このお店の外観や内装は、映画関係の仕事をしている旦那様のご協力で、しっかりと作り込んだ世界観となったのだそう。
どうりで、本当に中国映画に出てきそうな、すてきな空間だったのですね。
「22年のあいだ、一緒に頑張ってきたお店とお別れするのは寂しいけど、またこのあたりでお店がやれたらと思ってるんですよ。でも、お店をやりながら新しい場所を探すのは無理なので、とにかく一度終わらせようと思って」と、ユリママ。
ママのその言葉に私たちも希望をもって、また新丸子でこの味を楽しめる日を、心待ちにしたいと思います。
映像業界の方からも熱い取材依頼があったそうなのですが、テレビに出ると、一気に混んでしまって、ワンオペのユリさんのお店は回らなくなってしまいます。「それで、ずっとお断りしてきたんです」とおっしゃっていました。
わたしも、ゆっくりママの餃子と名残をおしみたい常連のみなさまに迷惑をかけないように、記事の掲載は閉店後にすることをママと約束して、お店を後にしました。
瓦奉店の餃子をまだ食べていなかった読者の皆様には、閉店前に知らせて欲しかった!というお声がでることも理解しておりましたが… どうかご容赦くださいね。
ユリママのインスタをフォローして、続報を待ってみてください。
私も、きっとまた新丸子でユリママの絶品水餃子がいただける日が来ると信じています。
長い間おつかれさまでした! しばらくゆっくりおやすみしてくださいね。
再開の日を心待ちにしています♪
瓦奉店(GABOUTEN)
2024年3月24日閉店
公式インスタグラム:gabouten