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来週はまるで梅雨のような長雨に、その原因は?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
大雨(写真:イメージマート)

早すぎる梅雨のような天気

16日間予報、降水確率と予報の信頼度、Aが高く、Eが低い(ウェザーマップ)
16日間予報、降水確率と予報の信頼度、Aが高く、Eが低い(ウェザーマップ)

上図はウェザーマップによる最新の16日間予報です。

一目瞭然ですが、今週末の24日(日)から来週にかけて、本州付近では雨の降りやすい梅雨のような天気が続く見込みです。

特に鹿児島や福岡には雷マークも付いており、雷を伴った激しい雨が降り、この時期としては、かなり雨量が増える心配があります。

また5月に入ると晴れマークもみられますが、全般に曇り時々晴れで、西日本ほど雨の降る可能性がある黒雲マークとなっており、予報の信頼度もかなり低いDかEがほとんどですから、今後晴れマークが雨マークに変わる可能性も十分にある予報といえます。

一方、一番下の那覇の予報をみると、24日(日)以降、雲は多いながらもずっと晴れ間が広がる予報で、本州付近では本格的な梅雨、沖縄では夏空というまるで6月後半の本格的な梅雨の時期を彷彿させるような予報となっています。

そして気圧配置をみても、まるで6月後半のような梅雨時のパターンが予想されています。

強まる太平洋高気圧が長雨をもたらす

太平洋高気圧と降水域(ウェザーマップ)
太平洋高気圧と降水域(ウェザーマップ)

上図は南から張り出す太平洋高気圧と前線などによる降水域の予想を表したもので、まず何といっても注目は南の太平洋高気圧です。

この時期の太平洋高気圧は強まってもフィリピンの東から沖縄の南あたりに少し姿が見えるのが通常モードですが、来週にかけては沖縄付近まで大きく拡大する見込みで、一時的とはいえ、この時期にここまで勢力を強めるのはかなり珍しいことと言えるでしょう。

太平洋高気圧の強まりに伴い、この北側の中国大陸南部から本州付近へ長々と前線に伴う雨雲が発生し、特に湿った暖かな空気が流れ込みやすい西日本ほど活発な雨雲が発生する見込みです。

まだ季節は4月ということもあり、東シナ海の海水温は20度から25度くらいで、本格的な梅雨時ほど水蒸気量は多くありませんが、それでも1時間に30ミリ以上の激しい雨を降らせるような暖湿気は多分に流れ込む予想で、季節外れの大雨となるおそれもあり、注意、警戒が必要です。

まるで梅雨時のような太平洋高気圧

上空の高度と気温の平年値(ウェザーマップ)
上空の高度と気温の平年値(ウェザーマップ)

上述した太平洋高気圧の強さですが、平年値をみると、来週にかけて、季節外れに強まる姿が確認できます。

上図で5880という数字で囲まれた範囲が太平洋高気圧に相当するものですが、ちょうど来週あたりの4月25日の平年図(左図)をみると、フィリピンの東に少しだけ姿がある程度となっています。

一方、ちょうど2か月後で、本州付近に本格的な梅雨がやってきている6月25日の平年図(右図)をみると、太平洋高気圧が強まり、日本の南海上から沖縄付近まで張り出してくるのが分かります。

来週の太平洋高気圧の強さは、まさにこの6月25日と同じような感じで、季節外れに強まる太平洋高気圧が季節外れに早すぎる梅雨のような天気を本州付近にもたらすことになりそうです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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