2016年は「CtoC(個人間)」元年?→Airbnb(家)、Anyca(車)、Uber(タクシー)
個人間車貸し借りサービス”Anyca”
2015年の夏から本格的に始まったAnycaというサービスがあります。
これは、企業や自治体が運営するカーシェアリングサービスや、レンタカーといった、これまでの車貸しサービスとは異なり、なんと見知らぬ個人間での車の貸し借りを可能にしてしまう画期的なサービスです。
普通の車はもちろんのこと、オーナー自慢の個性的な改造車まで、レンタカーやカーシェアリングに比べて低料金で借りることができるとあって、いま、注目を集めています。
近年、このような個人の消費者同士をつなげた様々なサービスが次々と登場していて、これらは“CtoC”型のサービスと呼ばれ、新たな消費のトレンドとなりつつあります。
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CtoCとは?
BtoCやBtoBといった言葉は、どこかで聞いたことがあるかも知れません。
これらは主にビジネスの現場で用いられる言葉で、BはBusiness(企業)、CはCustomer(消費者)を意味し、例えばBtoCであれば、企業(B)が消費者(C)にモノやサービスを販売する、最も普通のビジネスの形を表したものになります。BtoBは、企業同士の商取引のことですね。
従って、CtoCとは消費者(C)が消費者(C)にモノやサービスを提供する、まさにAnycaのようなサービスのこと。こうした消費者同士がつながる新たな消費は、もちろんインターネットによって実現したもの。Anycaの他にも、たくさんのサービスが話題となっています。
旅行に革命を起こす“Airbnb”
まずはAirbnb。
これは「エアービーアンドビー」と読み、個人の住居を旅行者に貸し出しをするという海外発のサービス。日本でも若者を中心に利用者を増やしていて、筆者の知人女性もつい最近このサービスを利用し、繁忙期でなかなかホテルが取れない沖縄で、コテージ風の宿を格安でレンタルすることが出来たと大満足の様子でした。
調べてみると、東京、京都といった外国人観光客に人気のスポットを中心に実に沢山の貸し宿が紹介されているようで、これからオリンピックに向けて宿不足が心配される東京で、より一層の利用者が見込まれます。
タクシー業界に再編をもたらす“Uber”
次にUber。
これは「ウーバー」と読み、このサービスに登録した一般ドライバーが、サービス利用者のアプリなどからの配車要請に応じてタクシー行為を行うというもの。知人の女性は「便利そうだけど、ちょっと怖い」と感想をもらしていました。
このよく似た両サービス、世界的に大成功を収めていて、UberとAirbnbの評価額はそれぞれ410億ドルと240億ドルにのぼるのだとか。
トラブル、規制、反発……
こうした、近年登場した個人間の貸借サービスは、あくまで消費者同士のやりとりなため、法的にグレーな部分も多く、また、消費者が思わぬ犯罪に巻き込まれてしまう可能性もあります。
国や自治体は、野放しにするわけにはいかないので規制を強めますし、ホテル業やタクシー業界などのいわゆる「本業」は、当然反発。素人に商圏を荒らされては困る、というのが本音でしょう。
しかし最近では、外国人観光客が激増するであろう東京五輪を見すえて、安倍首相が一般ドライバーによる自家用車での有償送迎規制を緩和するように指示したり、「民泊」の要件緩和を認定するなど、徐々にCtoCへの追い風も吹き始めています。
このように、いままさに様々な業界において、CtoC型のサービスが生まれては問題視され、しかしメリットを強調する消費者の声によって市民権を獲得していくというサイクルができあがりつつあります。
誰もがビジネスの当事者に
と、ここまで書いて、私自身にとってもこれは他人事ではないことに気づかされます。
個人間で本を貸し借りするサービス、個人間でコラムやニュースのまとめをクリッピングするサービス、セミナーや研修の内容をまとめて教える家庭教師的なサービスなどなど、私の仕事に関わるようなビジネスを考え始めたらキリがありません(著作権などの権利関係のことは、一旦置くとして)。
いっぽうで、身の回りの友人の中には、所有する部屋をAirbnbで貸すことにより、普通の賃貸よりも手軽に儲けている人もいます。
2016年はCtoC元年
こう考えると、なるほど、現代では、誰もがビジネスを始められる(というとおおげさなら、小遣い稼ぎができる)し、そのハードルは低くなるいっぽうで、みんながみんなでモノを貸し借りするような世界は、意外ともうすぐそこまで来ているのかも、と思わされます。
あなたの仕事・会社・ビジネスも、もしかしたら個人同士のビジネスにとって代わられるかもしれない。そのことをワクワクととらえるか、恐怖ととらえるか……。
2016年はまさに、「CtoC(個人間)サービス元年」となるかもしれません。
(五百田 達成)