小学生はパソコンで何ができるのか(2020年公開版)
子供のパソコン離れが危機感とともに叫ばれる中、実情で子供達はどれほどのことをパソコンでできるのだろうか。小学生の実情について、学研教育総合研究所が公開している「小学生の日常生活・学習に関する調査」(※)の結果から確認する。
次に示すのは回答者の小学生がパソコンでできることについて答えてもらったもの。家庭内でパソコンが使える人だけでなく全員を対象としているのは、学校や図書館、パソコン教室など家庭外でもパソコンを使える・使い方を学ぶ機会はあるため。
もっとも多くの小学生ができると答えたのはマウス操作で63.0%。見方を変えれば37.0%の小学生はマウス操作を正しくできないことになる。次いで多いのは指定されたキーを押せるで49.9%。半数強はキーボードを指定された通りに押せない。
次いでウェブページの閲覧が37.3%、キーボードでの文字入力が36.5%、検索をして目的のページに到達できるのが22.1%。インターネットの利用に慣れ親しんだ大人から見ればごく当たり前の話ではあるが、小学生にしてみれば難しい、さらには未知との遭遇であるケースも多々あろう。
一方で動画編集やエクセルで関数を使いこなしたり、さらにはソースコードでプログラムを組める小学生もいるが、ごく少数でしかない。
上位陣について属性別で区分して実情を確認したのが次のグラフ。
上位陣の項目はおおよそ低学年ほど低く、学年が上になるに従って高い値となる。小学6年生では8割近くがマウス操作ができ、ウェブページの閲覧も2/3近くが可能、メール送信も15.5%ができるようになっている。単純にデジタル機器やインターネットの構造・概念への理解度が深まるだけでなく、具体的に機器に触れ学ぶ機会が増えるからだろう。ただ見方を変えると、小学6年生でも8割以上はメール送信ができず、5割強は検索して目的のページに到達することができないのも事実ではある。
男女別では際立った違いはない。敢えて言えばウェブページの閲覧関係の値がいくぶん男子の方が高い気がする。
今調査項目では「パソコンを触ったことがない」との項目がある。これは家庭内だけでなく学校や図書館、パソコン塾なども合わせてのこと。ただしパソコンに限定されたもので、スマートフォンやタブレット型端末のような他のインターネットとアクセスできる機器に触ったこともないというわけではない。むしろそちらに注力して、パソコンに触れる必要性がないと考えている人もいるだろう。
小学生全体では3割近く、男女を問わずおおよそ低学年ほど高い値を示し、一部では半数を超える結果が出ている。小学6年生でも1割近くがパソコンを触ったことがないと回答している。
いわゆる「若者のパソコン離れ」を防ぐなのら、家庭や学校の授業内におけるパソコンに触れる機会を、積極的に増やす手立てを考えるべきだろう。もっとも子供側が意図する形でスマートフォンやタブレット型端末にシフトしているのなら、仕方がない面もあるのだが。
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※小学生の日常生活・学習に関する調査
2019年8月27日から30日にかけてインターネット経由で、小学生の子供がいる保護者を対象として、保護者付き添いの下で小学生本人に答えてもらったもので、有効回答数は1200人。男女別・学年別で均等割り当て。調査協力会社はクロス・マーケティング。
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