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親子関係をよくすればしつけも勉強もうまくいく

親野智可等教育評論家
筆者提供

しつけに厳しいある父親の話です。その人は、「食事のマナーが悪い」「言葉づかいが悪い」「挨拶ができない」などの理由で息子をよく叱っていました。

「食べるときはこぼさずに食べなきゃダメだ。もっと行儀よく食べろ。何度言ったらわかるんだ」「近所の人に会ったらちゃんと挨拶しなきゃダメだろ。いつになったらできるんだ」などという感じです。

しょっちゅう叱られていた息子は、すっかり父親のことが嫌いになってしまいました。そして、6年生くらいから猛烈に反抗するようになりました。

父親は父親で「子どもに負けてたまるか」という気持ちで、それまで以上に強権的な態度で臨むようになりました。

親子なのに他人以上に冷え切った関係になってしまった

母親は、父親には何を言ってもムダという感じで諦めている様子でした。息子は母親とはまあまあよい関係だったのですが、父親との人間関係は完全に崩壊してしまいました。

そして、親子なのに他人以上に冷え切った関係になってしまったのです。こういう例は世間にたくさんあります。

親子なのだから本当は最高によい人間関係になれたはずです。でもそうなれなかったのはなぜでしょう?

その理由は多くの場合、叱りすぎ、しつけや勉強にこだわりすぎ、期待のかけすぎ、価値観の押しつけ、過干渉と強制、強圧的言動、共感の不足などです。

こうした親の言動が子どもの反発を招いて親子関係が悪化することが多いようです。もちろん親としての愛情はあるのですが、それが空回りしている例が本当に多いです。

しつけや勉強より親子関係を最優先しよう

みなさんの愛情は空回りしていませんか?しつけや勉強が優先になっている人は要注意です。しつけや勉強よりも、とにかく親子関係をよくすることを最優先にしましょう。

そうすれば、子どもの自己肯定感が上がり他者信頼感も育ちます。この2つがあれば、人生をしっかり生きていくことができます。

そして、もし冒頭の父親のように、食事のマナー・言葉づかい・挨拶についてしつけたいと思うなら次の2つのことを大切にするといいと思います。

1つめは、しつこくいいますが、親子関係をよくすることです。そして、2つめは親自身がよい食事のマナー・言葉づかい・挨拶に心がけることです。

なぜなら、人間には好感を持っている人の行動・言葉・価値観を自然に真似するという本能があるからです。

親子関係がよければ子どもは大好きな親の真似をしたくなる

ですから、親子関係がよければ、子どもは無意識のうちに大好きな親の真似をしたいという気持ちになります。その結果、マナーや言葉づかいなども自然に親と同じ程度のものは身につきます。

もちろんすぐにそうなるとは限りません。でも、長い目で見ていれば必ずよい方向に向かっていきます。

反対に親子関係が悪いと、子どもは反発心から無意識のうちに親と逆のことをするようになります。その結果、親の願うものは身につかないことになります。

勉強についてもこの2つは同じです。親子関係をよくして、親自身が勉強や知的なインプット・アウトプットをしていれば、子どもも勉強するようになる可能性が高まります。

このようなわけで、しつけや勉強を優先して叱っているのは全くの逆効果です。とにかく親子関係をよくすることを最優先にすることを強くお勧めします。

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教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、Twitter、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。お問い合わせは親野智可等の公式サイトから

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