【誤用】「役不足」の意味を日本人の半数以上が勘違い?正しい使い方は?【ビジネスシーンでよく使う言葉】
この記事では、誤用されやすい「役不足」という言葉について紹介します。ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですが、あなたは正しい意味を知っていますか?
「私では役不足です」と言う人は謙虚?
たとえば、部下に大きな仕事を任せようとしたら、自信がなさそうに「私では役不足なので」と断られたとします。ここで「謙虚なヤツだな」と思った人は要注意!実は「役不足」の正しい意味は、本人の力量に対して役目が軽すぎること。もともとの「俳優などが割り当てられた役に不満を抱くこと」という意味が転じてこの意味になったといわれています。
正しくは、「そんな簡単な仕事をあの優秀な人に振るのは役不足だ」といったように使います。「力不足」とは違うので要注意。したがって、この例の部下がもしも正しい意味を知って使っていたとしたら、「私の実力に対して仕事が軽すぎるので断ります」と言っていることになります。謙虚どころか、なかなか自信家でたのもしい部下ですよね。
正しい意味で使っている人は約4割
しかし文化庁が発表したデータによると、本来の意味である「本人の力量に対して役目が軽すぎること」と答えた人が約4割(41.6%)であるのに対し、本来の意味ではない「本人の力量に対して役目が重すぎること」と答えた人はなんと半数以上(51.0%)。間違った意味の方が広まっていることがわかりました(参考:文化庁 平成24年度「国語に関する世論調査」の結果の概要)。ただし、誤用すると真逆の意味になってしまう言葉なので、今日から正しい意味で使うようにしましょう。
「与えられた役目が重すぎること」を正しく伝えるには?
重すぎる役目を与えられて「自信がない」「重荷だ」と伝えたくて「役不足」と言ったら、「おや、余裕がありそうだな」「なかなか自信家だな」と思われてしまった――そんなコントのようなすれ違いが起きないよう、意味を正しく伝えるための言い回しを紹介します。今まで「役不足」を誤用していた人は、ぜひ言い換えの参考にしてくださいね。
■力不足
与えられた役目を果たすだけの力量がないこと。
参考:力不足(ちからぶそく)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書
■荷が重い
力量にくらべて、負担や責任が大き過ぎる。
参考:荷が重い(にがおもい)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書
<使用例>
・「そんな大きな仕事を任すには、新人の彼は力不足だと思います」
・「私がリーダーなんて荷が重いですよ」
おわりに
「役不足」の正しい意味は覚えられましたか?「どうしても正しい意味がどっちかわからなくなる」という人は、「力不足」と真逆の意味だと覚えてしまうとわかりやすいですよ。または、誰でもいいので好きな俳優が「なんで自分がこの役!?」と割り当てられた役に不満そうなようすをイメージしてみると覚えやすいかも♪
特に「役不足」はビジネスシーンでもよく使う言葉です。意図を正しく伝えて相手とのコミュニケーションがスムーズに進むよう、これからも日本語の誤用には気を付けていきましょう!