行政書士試験 締切り迫る!~「コロナ後」「定年後」に自分を活かせる資格
令和2年度の行政書士試験の締め切りが迫ってきました。インターネットの申し込みは8月25日(火)午後5時まで、郵送は8月28日(金)消印有効です。
「コロナ後」や「定年後」に不安を抱えている方も少なくないと思います。実は、行政書士は、会社などで培った「実績」を「仕事」にするための武器となる資格です。
そこで、行政書士とはどのような性質の資格なのか、そしてその活用方法について提言したいと思います。
行政書士制度の2つの「目的」
まず、行政書士制度の目的を見てみましょう。行政書士制度の目的は2つあります。一つは「行政に関する手続の円滑な実施に寄与する」こと、そしてもうひとつは「国民の利便に資すること」です(行政書士法1条)。
行政書士法1条(目的)
この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的とする。
行政書士の「業務」
行政書士は、前記の2つの目的を達成するために、「官公署に提出する書類」と「権利義務または事実証明に関する書類」の作成(注)および相談に関する業務を行っています。ただし、これらの業務であっても他の法律において制限されている訴訟や登記、税務に関する業務などについては、その業務を行うことはできません(行政書士法1条の2・1条の3)。
(注)「権利義務に関する書類」とは、意思表示その他手続行為等によって権利・義務を発生・変更・消滅させる法効果にかかわる書類であって、財産関係や身分関係の民事書類を含む。具体的には、売買・賃借・抵当権設定・請負、雇用・身元保証、示談などの各種契約書や遺産分割協議書や建築工事紛争予防協議書など複数間の協議書等が挙げられます。
また、「事実証明に関する書類」とは、社会的に証明を要する事項について自己を含む適任者が自ら証明するために作成する文書(証明書の類)を指します。
「官公署に提出する書類」に関する業務
「官公署に提出する書類」に関する業務の一例をご紹介します。
- 「建設業」に関するもの
- 「運輸業」に関するもの
- 外国人の「入国管理」に関するもの
- 「産廃業」に関するもの
- 「風俗営業」に関するもの
「権利義務または事実証明に関する書類」に関する業務
「権利義務または事実証明に関する書類」に関する業務の一例をご紹介します。
- 「遺言書作成」業務
- 「相続手続」業務
- 「契約書作成」業務
自らの「実績」を活かせる資格
冒頭に述べましたが、「コロナ後」や「定年後」に不安を抱えている方も少なくないと思います。そこで、行政書士業務である「権利義務または事実証明に関する書類に関する業務」を活用して、会社生活などで培った「実績」をコンサルティング等で「行政書士業務」として成立させるという方法があります。 たとえば、次のようなことが可能です。
- 広報部門での実績を活かした広報関連の業務
- 人事部門での実績を活かした人事・人材関連の業務
- 営業部門での実績を活かした営業関連の業務
- システム部門での実績を活かしたIT関連の業務
- 法務部門での実績を活かした法務関連の業務
などなど
自分が培ってきた実績を求めている会社や人はいても、いきなり「私にはこういう実績があるので買ってください」と売り込まれても、前向きに考える相手はそうはいないと思います。そこで、「実績」に「法律系の国家資格者」という信用を付加して訴求力を高めるという発想です。
たとえば、一般のコンサルタントと比べて、行政書士は行政書士法という法律に基づいて業を行うので、たとえば「守秘義務」が課せられるなど「法の縛り」があります(行政書士法12条・22条)。その縛りが暗黙的に信用につながるのです。
行政書士法12条(秘密を守る義務)
行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。
行政書士法22条(罰則)
1.第12条又は第19条の3の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2.前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
「実績」を活かせば、開業直後からその道の「第一人者」となることも可能です。
今からでも「合格」を目指せる
令和2年度の試験は11月8日(日)です。残すところ3か月余りですが、行政書士試験は「受からない試験」ではありません。「難問は捨てる」などの最短合格の戦略を立てれば、今からでも合格は可能です。
以上ご紹介したとおり、行政書士は、あなたが培ってきた「実績」を「仕事」に変えることができる資格です。
行政書士試験は、年齢、学歴、国籍等に関係なくどなたでも受験できます。「おもしろそうだな」と感じた方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
行政書士制度および行政書士試験につて詳しくは、日本行政書士会連合会と一般財団法人行政書士試験研究センターのホームページをご覧ください。
参考文献
『99日で受かる!行政書士試験最短合格術』(遠田誠貴 著、税務経理協会)、『新10版 行政書士法コンメンタール』(兼子仁 著、北樹出版)、『詳解 行政書士法 第4次改訂版』(地方自治制度研究会 編集、ぎょうせい)