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元ソフトバンクのイ・ボムホがキャンプ中にKIA監督に急遽就任 前監督は収賄疑惑で先月解任

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表/KBO取材記者
2019年の引退試合会見でのイ・ボムホ(写真:ストライク・ゾーン)

韓国KBOリーグのKIAタイガースは旧正月連休が明けた13日、元ソフトバンクのイ・ボムホ(李★浩、42)打撃コーチの新監督就任を発表した。春季キャンプ期間中の監督決定という異例の事態だ。

KIAはキャンプイン直前の1月29日、キム・ジョングク前監督を解任。キム前監督に球団とスポンサー契約を結ぶ企業から金品を受け取った背任収賄の疑いが持たれ、ソウル中央地検から逮捕状が請求されたことにより決定した。翌30日ソウル中央地裁はキム前監督が証拠隠滅、逃亡のおそれがないとして逮捕状請求を棄却している。

KIAは2月1日から始まったオーストラリア・キャンベラでのキャンプのさなか、新監督の人選に着手。複数名の面談などを経て、打撃コーチを務めるイ・ボムホの内部昇格を決めた。

1981年生まれのイ・ボムホは、現役時代に勝負強い打撃が特長の三塁手として活躍。KBOリーグ19年間で通算329本塁打(歴代9位)を記録し、満塁ホームラン17本は歴代トップを誇る。

2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では田中将大(東北楽天)からセンターバックスクリーンにホームラン。また日本との決勝戦では日本が1点リードの9回裏2死一、二塁で、日本の3番手・ダルビッシュ有(当時カブス)から三遊間を破る同点タイムリーを放ち、土壇場で延長戦へと持ち込んだ。

2009WBC決勝戦の9回に同点打を放ったイ・ボムホ
2009WBC決勝戦の9回に同点打を放ったイ・ボムホ写真:ロイター/アフロ

もしイ・ボムホが凡退していたら、その時点で日本の優勝が決定。延長10回表のイチロー(当時マリナーズ)の劇的な決勝打はなかった。

WBCでの活躍を引っ下げて2010年に在籍したソフトバンクでは松田宣浩、ホセ・オーティズとのポジション争いもあり48試合、打率2割2分6厘、4本塁打、8打点という成績で翌2011年に韓国球界に復帰した。

2010年のソフトバンク春季キャンプ。松田宣浩、ホセ・オーティズと守備練習をするイ・ボムホ(写真:ストライク・ゾーン)
2010年のソフトバンク春季キャンプ。松田宣浩、ホセ・オーティズと守備練習をするイ・ボムホ(写真:ストライク・ゾーン)

KBOリーグでは古巣のハンファイーグルスではなくFAでKIA入りし、2019年に現役を引退。引退後もKIAで指導者生活を送ってきた。

同い年の川﨑宗則とは帰国後も交流があり、川﨑はイ・ボムホの引退試合に韓国語でビデオメッセージを寄せた(写真:ストライク・ゾーン)
同い年の川﨑宗則とは帰国後も交流があり、川﨑はイ・ボムホの引退試合に韓国語でビデオメッセージを寄せた(写真:ストライク・ゾーン)

KIAはイ・ボムホ新監督について「過去にフューチャーズ(2軍)監督を経験し、現在1軍打撃コーチを務めていることでチーム全体への理解度が高く、チームを一つにできるリーダーシップと卓越したコミュニケーション能力がある。今のチーム状態をいち早く整えられる最適任者として判断した」としている。

またイ・ボムホ新監督は「チームが厳しい状況で突然監督を任されることになって心配もあるが、重責を担ってしっかりとチームを切り盛りしていきたい。選手と分け隔てなく意思疎通を図り、グラウンドで思いっきり自分たちの野球をできる舞台を作れる指導者になります。球団とファンの期待するところはわかっています。『新人監督』ではなく『KIAタイガースの監督』として任期内に必ず上位争いをします」と球団を通してコメントした。

KIAの2次キャンプは2月23日から沖縄県の金武町ベースボールスタジアムで行われる。

※★は木へんに凡

⇒ KIAタイガース紹介(ストライク・ゾーン)

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韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表/KBO取材記者

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FM那覇)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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