パラパラ漫画ブレイクの鉄拳、収入は上がらず!?
感動を呼ぶパラパラ漫画で再ブレイク中のピン芸人・鉄拳が10日、「第42回日本漫画家協会賞」の特別賞に選ばれた。
昨年、制作され、動画サイト・YouTubeで300万回以上再生されたパラパラ漫画「振り子」が評価されての受賞となった。
白黒のシンプルなタッチで描いた夫婦の物語が「涙が止まらない」と話題になり、オファーが殺到。現在11~12本の仕事を掛け持ちしている状態で、放送中のNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」でもパラパラ漫画が採用されるまでになった。
当然もうかっているはず!
当然、収入もうなぎのぼりかと思いきや、本人いわく「パラパラ漫画を始める前と変わっていない」という。
理由を尋ねると、「パラパラ漫画は、とにかく手間がかかるんです。制作に時間がかかるので、芸人としてステージに立つヒマがなく、今は漫画の仕事一本で食べている状態。以前、こまめに芸人の仕事をしていた時の収入が、1本の漫画でドンと入るという違いだけで、トータルのギャラとしてはほぼ同じなんです」。
4分半の作品「振り子」で描いたイラストは1500枚以上。すなわち、1秒間をつなぐのに5~6枚を描く必要がある。集中して、集中して、描いても、1時間で10枚描き上げるのが限度。パラパラ漫画ならではの、紙を重ねて絵柄を数ミリずつずらして描くという工程も神経をすり減らし、作業が思うに任せない時も多々ある。
ただ、それでも、ここまでヒットすれば「もうかっているはず」と思うのが、世の常人の常。実際、7日に大阪市内で行われた、なんばグランド花月夜興行PRイベントでも、取材陣からは収入に関する質問が殺到した。
衣装をよく見てみると…
その流れを見事にピタリと止めたのが、イベント司会を務めたお笑いコンビ「テンダラー」の白川悟実の一言。
「芸人って、本当にもうかっていたら、衣装が新しくなったり、豪華になったりするものなんです。でも、彼の衣装を見てみると、かなり使い込んだままなので、これは本当にもらってません」。
実際、かつての例を見ると、「フォー!!」で一世を風靡したレイザーラモンHGのレザーコスチュームも、音楽ネタでブレイクした「テツandトモ」のジャージも、タレント・たむらけんじの獅子舞も、漫才コンビ「銀シャリ」の青スーツも、ブレイクとともにグレードアップしてきた。
そこで鉄拳の衣装をよく見てみると、いたるところに、
ひび割れやくすみ、ホツレなどが…。
「(鉄拳が所属する)吉本興業は売れてもすぐにはギャラは上がらないんです。最低でも1年、普通なら2年は売れ続けないと、本人に入ってくるギャラはアップしない。だから、鉄拳さんも今のペースで仕事を続けていけば、来年には、収入が格段に上がっているはずです」(関西を拠点に活動する放送作家)。
まだ見ぬパラパラ漫画が人々の心を揺さぶり、コスチュームのひび割れをふさいでいく日が待ち遠しい。