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パリ五輪40トン余剰食料をフードバンクへ提供 なぜ東京五輪では9億以上無駄にした? #専門家のまとめ

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
2024年 パリ五輪 プレビュー 選手村で提供される料理公開(写真:ロイター/アフロ)

2024年8月8日付AP通信によれば、パリ五輪では食品ロス削減に努め、3つの団体と協定を結び、食べきれなかった食品を回収して再配分した。3つのうち2つの団体には合わせて40トン近くが集まったという。

東京五輪ではボランティア向け弁当160万食のうち2割にあたる30万食が処分された。国費を含む委託費は47億円。9億円以上が無駄になったことになる。パリ五輪でできたことが、なぜ東京五輪ではできなかったのだろうか。

ココがポイント

▼東京五輪は無観客開催が決まったものの、弁当の数は有観客を想定した数量で作り、減らさなかった。つまり、「廃棄前提」だった。

五輪弁当大量廃棄 改善を約束した組織委員会の具体的回答とは?食べられずに余ってしまった数量は何食分?(Yahoo!ニュースエキスパート井出留美、2021/7/28)

▼捨てるなら寄付してと6万筆以上署名が集まったが「夏の時期なので衛生上廃棄せざるを得なかった」。パリだって真夏の開催では?

弁当の「大量廃棄」だけではなかった…まだある東京五輪「環境への配慮」のお粗末さ(細川幸一、マネー現代)

▼組織委員会は「当日シフト変更で発注と実際に差が発生」「大会開催を取り巻く環境が流動的で発注量の見直しが不十分」と釈明
東京2020大会における飲食提供について(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)

▼有識者「『オリンピックだしこれくらい許される』という甘え」「国や東京都は各事業について費用対効果の検証を徹底すべき」

ムダ次々の東京五輪、弁当30万食・医療品500万円分廃棄…国立競技場の運営権売却も進まず(読売新聞)

エキスパートの補足・見解

AP通信の取材に対し、パリ五輪主催者は「私たちのためだけでなく、他のイベントのためにも大会の運営方法を変えようと努力してきた。食品ロス削減もその一つ」「食品ロス削減に関して、模範的であり、その方法を示し、可能であると示す上で、先導的であることが重要だと考えた」と答えている。

東京五輪の組織委員会にこのような考え方があっただろうか。滞りなく終えれば食料を捨てようが何しようが知ったことではないと思っていたのではないか。

「食」においては、食品安全や食品衛生と同じくらい、資源活用が重要だ。食料自給率が38%しかなく、60%以上を海外に依存している日本だからこそ、食料を貴重な資源、命の源として大切に扱ってほしい。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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