インサイドで力強さを増しつつある永吉佑也は日本のチャールズ・バークレーになれるか?
今シーズンから京都ハンナリーズに在籍する永吉佑也選手のプレーが着実に変貌を遂げつつある。
昨シーズンまで所属していた川崎ブレイブサンダースでは出場機会に恵まれなかったが、特に帰化選手の外国人選手たちと渡り合えるインサイド(特にPF)を任せられる日本人選手として期待され、京都に移籍してきた永吉選手。シーズン開幕からここまで主力選手として毎試合重要な役割を担いながら経験を積んできた。特に昨年12月上旬にマーカス・ダブ選手が左足舟状骨疲労骨折のため長期離脱してからは、さらに外国人選手たちと競い合う機会が増えていき、徐々に実績ある外国人選手たちと勝負しながらもインサイドで渡り合える力強さを発揮し始めている。
1月20、21日にホームで行われたアルバルク東京戦でも、日本代表の竹内譲次選手や外国人選手とマッチアップし対等に渡り合うプレーを披露している。永吉選手自身は最近のプレーについてどのように分析しているのか尋ねてみた。
「(日本)代表活動の中で5番というより4番にシフトアップしていく方が自分は生きていけるのかなというふうに思って、そういうワークアウトを取り入れるようになりました。試合で失敗も多くしてきましたけど、最近はいい感じでやれていて自分の自信にも繋がっていて、京都ハンナリーズのバスケットをしっかり構築できているという感覚があるので、それは続けていきたいと思っています。最近は炎さん(浜口HC)から『もっとアグレッシブにやっていいよ』とも言われているので続けていきたいなと思ってます」
永吉選手は198センチ、115キロと、現在の日本人のフロントコート選手の中でも決して大きいとは言い難い。だが現在の日本代表は193センチのアイラ・ブラウン選手にリバウンドを託さなければならない事情を考えると、国際試合で外国人とフロントコートで互角に渡り合えるパワフルな選手を渇望している状況だ。力強さという面では永吉選手は希有な存在ではないだろうか。
その辺りについて京都の浜口HCは最近の永吉選手の変化をどう感じているのだろうか。
「今日(20日)もドライブで攻める場面が2回くらいありましたけど、パワーで持っていくことも積極的になってきましたし、ワイドオープンの3ポイントも自信を持って確実に決めていけるようになりました。今までみたいに完全に(オフェンスで)捨てられている感じがなくなってきましたので、非常に成長していると思います」
浜口HCが指摘するように、最近の永吉選手はインサイドが強くなってきただけでなく、アウトサイドでフリーになって3ポイント・シュートを決めきれるシュート力も開花し始めている。いろいろな意味で自然とオフェンスに絡める選手に成長し続けているということだ。そんなプレースタイルを見れば見るほど1990年代後半からNBAを取材してきた自分の視点からすると、チャールズ・バークレー選手とオーバーラップしてしまう。
NBAファンなら誰しもが聞き覚えのある名前だと思うが、NBAの黄金期を築き上げたマイケル・ジョーダン選手と同時期に活躍した選手で、2006年には殿堂入りも果たしているスター選手だ。フロントコート選手は200センチ以上が当たり前のNBAで、永吉選手とほぼ同じ198センチ、114キロでありながら、ペイントエリアをパワーで制圧し続けた。NBA3年目にはリバウンド王を獲得し、キャリア平均でも11.7を記録している強者でありながら、時折放つ3ポイント・シュートも得意にしており、まさに永吉選手が目指す理想郷ともいえる選手だ。
昨年の11月に続き、2月22、25日にFIBAワールドカップアジア地区1次予選のチャイニーズ・タイペイ戦、フィリピン戦を控え、1月18日から強化合宿を再開したバスケ日本代表。永吉選手も合宿に再度招集されている。前回の強化合宿では途中で振り落とされ最終12人には残れなかっただけに、今回はある意味永吉選手とってリベンジでもある。
「常に代表でプレーしたいという気持ちは持っていますし、その中でライバルとなる選手とプレーする時はいつも燃えます。ただ最終的に選ぶのはラモス(代表HC)だと思っているので、自分は自分で精一杯努力しラモスの助言をもらいながら、自分でちゃんと成長していければいいと思っています」
もちろん短期間で日本代表入りをものにできるほど簡単な世界ではない。だが永吉選手が京都で“日本のチャールズ・バークレー”のような存在になれた暁には、間違いなく日本代表でも必要不可欠な存在になっているはずだ。彼の更なる成長に期待したい。