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【家庭菜園】青いミニトマトを赤くするには?トマトの追熟方法は日なたよりビニール袋が効果的でした

racss食育インストラクター・調理師/菜園家

家庭菜園のミニトマトを青いまま収穫した場合、収穫してから追熟ができます。しかし完全に赤くなるまでには意外と時間がかかるんですよね。最も効率の良い方法って?

青いミニトマトの追熟方法はどれがいい?

ここでクイズです。以下の3つの方法のうち、どれが一番早く赤くなるでしょうか?

  1. 日なたに出しておく
  2. 鮮度保持袋に入れて冷蔵庫に入れておく
  3. 普通のビニール袋に入れて台所に放置する

正解は3番。「普通のビニール袋に入れて台所に放置する」です。一番避けたいのは2番です。
どうしてそうなるのかというと、「積算温度」と「エチレンガス」がキーワードなのです。少し解説しますね。よかったら最後までお付き合いください。

ミニトマトが赤くなるのには積算温度が重要

青いトマトを赤くするには?
青いトマトを赤くするには?

ミニトマトが赤く熟するのには「積算温度」が重要です。日なたに置いて太陽の光を当てることよりも温度が関係しているんです。だから日は当たるけれど寒い場所に並べていても駄目、冷蔵庫に入れるなんてもっと駄目!

積算温度とは、生育期間の平均気温を合計したものです。ミニトマトの場合、品種によりますが700度から1100度ほどの積算温度が必要です。つまり、受粉~開花から実になりそれが熟すまでの全期間の毎日の平均気温を足した合計が、最低でも700度必要ということになります。

積算温度が700度になるには、単純計算すると平均気温20度の日が35日続かなくてはなりません。秋になって平均気温が15度とか、10度近い日が増えてくると、ミニトマトが赤く熟すにはまだまだ日数がかかってしまうのですね。しかもこの積算温度には、ミニトマトの生育できない10度以下の温度は含められません。

そう考えると、秋が深まっても枯れないからもう少し粘ろうとミニトマトを畑に置いていても、「全然赤くならない・・・」という理由がわかりますね。

ミニトマトの追熟は温かい場所で行おう

追熟は窓辺ではなくても温かい場所ならOK
追熟は窓辺ではなくても温かい場所ならOK

採ってきた青いミニトマトを追熟させて赤くするには、「日の当たる窓辺」じゃなくても大丈夫。もちろん、日が入ってポカポカ暖かく室温が上がる、という状態なら窓辺がおすすめです。
しかし、「室温が上がる時間帯はわずかであとは窓のそばはひんやり」という環境であれば、室内の他の暖かい場所のほうが適しています。

例えば台所は調理によって周辺の温度が上がりやすいので向いています。冷蔵庫の上や棚の上に置いてもいいでしょう。

私の失敗例

上の写真は、わたしが青いまま収穫したミニトマトをベランダの風除室で追熟させようとしたときのものです。
このときはなかなか赤くならなくて困ったのですが、それは日が入っても風除室の室温があまり上がっていなかったからだったようです(寒冷地の北海道在住なもので・・・)。
さらに、こんな風に空気にさらしておくよりも、ビニール袋に入れるほうが良かったみたい。その理由は下記をご覧ください。

ミニトマトが赤くなるのにはエチレンガスが必要

他の果物や野菜と同じく、ミニトマトが熟するのにもエチレンガスが必要です。エチレンガスとは、野菜や果物が熟する過程で発生する成長ホルモンのこと。

青いミニトマトはリンゴと一緒に包むと追熟がスピードアップする
青いミニトマトはリンゴと一緒に包むと追熟がスピードアップする

青いミニトマトも徐々に熟す段階でエチレンガスを発しますので、早く熟させたいならビニール袋で包んでおきましょう。複数の実を一緒に入れておけばそれぞれの実からでるエチレンガスがお互いに作用して、徐々に全体が赤くなります。

さらに、エチレンガスの量が多いと言われるリンゴを一緒に入れておくと、追熟のスピードを少し上げることができます。ほかに梨やバナナなどもおすすめ。

「鮮度保持袋」に入れるのはNG
「鮮度保持袋」に入れるのはNG

ご注意:
このとき、野菜の保存に愛用している方も多い「鮮度保持袋」には入れないでください。鮮度保持袋は、エチレンガスを外に出すことによって野菜の鮮度を保つためのものだからです。
追熟させたいトマトを入れておくと、エチレンガスが作用せず、いつまで経っても青いままになってしまいます。

まとめ 青いミニトマトの追熟方法はビニール袋+室温が最適です

青いミニトマトは袋に入れ温かい場所で熟するのを待ちましょう
青いミニトマトは袋に入れ温かい場所で熟するのを待ちましょう

ミニトマトを赤くするのに必要な「積算温度」と「エチレンガス」について解説しました。このふたつを合わせて考えると、青いミニトマトを追熟させるのに最も効率の良い方法は「普通のビニール袋にリンゴと共に包み、温かい室内に置く」になります。

ただし、この方法でもおそらく1週間以上はかかりますので、気を長くして待ってくださいね。そして、ミニトマトを追熟させても、残念ながら糖度が増すことはほとんどありませんので、そのまま食べるより料理に使うほうが美味しく食べられます。

青いまま食べるレシピも別記事でご紹介しています。
「青いトマトは食べられる!秋の珍味レシピと注意点【家庭菜園】 」

最後までご覧いただきありがとうございました!参考になりましたら幸いです。

食育インストラクター・調理師/菜園家

癒やされる観葉植物にはまったのち、家庭菜園を初めて早15年。宿根草とハーブや野菜、野草、山菜系野菜や小果樹を庭で栽培しています。楽しみながら育て、味わい尽くす方法を、調理師・食育インストラクター(2級)の目線から発信していきます。 北海道での家庭菜園の様子はInstagramと公式サイト「racssblog (料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし)」にて公開中。

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