2024年7月1日に福岡市城南区鳥飼にオープンした「与楽庵（よらくあん）」手打ちそばを中心に、そばガレットやそばピザなどの創作料理も楽しめるお店です。店主の森山さんが蕎麦作りに込めた思いや、店内の雰囲気の良さが魅力。そんなお店を特別に取材させていただきました。

与楽庵の店主の森山さんは、もともと広告会社を経営していました。しかし、50歳を迎えたとき「これからの人生で何をするか」を考え、経営を引退。そして、以前から関心のあった蕎麦業界に飛び込みました。それから20年、森山さんは蕎麦一筋で腕を磨き続けてきました。

「潰れるのが一番ダメ」という信念のもと、長く続けられる店作りを目指しています。食材の仕入れにおいては信頼できる農家と直接取引を行い、農家が困窮しないよう、値引き交渉をしないスタンスを貫いています。「良い食材がなければ、良い料理は作れない」と語る森山さんの言葉には、食材と向き合う真摯な姿勢が感じられます。

また、店内には「お客様との会話を楽しみたい」という思いからカウンター席を設置。さらに、そば打ちの様子が見えるような設計にすることで、訪れる人が蕎麦を味わうだけでなく、調理のライブ感を楽しめる空間を作り上げています。

与楽庵で味わえる手打ちそばには、戸隠産のそば粉を使用しています。筆者が食べた「ざるそば」（税込990円）は、打ち立てならではの香りと歯ごたえが特徴。そばつゆは赤酒を使って甘さを調整しており、甘すぎず程よいバランスがそばの風味を引き立てていました。

そばだけでなく、「お刺身こんにゃく」（税込550円）や「肉豆腐」（税込660円）といった一品料理も提供しています。「お刺身こんにゃく」は京都の特定の店から仕入れた希少な食材で、しっかりとした歯ごたえと臭みのなさが特徴です。そのほか、「そばガレット」（税込990円）や「そばピザ」（税込1,100円）など、創作蕎麦料理も揃い、そばをさまざまな形で楽しめるメニューが充実しています。

与楽庵の魅力は、料理だけではありません。森山さん夫妻との会話を楽しめる点も、このお店の大きな魅力の一つだと思います。森山さんの「物事をシンプルに、軽やかに生きる」という考え方は、料理や店作りにも反映されており、訪れる人を温かく迎え入れてくれます。

店内には写真が飾られており、まるで個展のような雰囲気で、落ち着いた空間でゆったりと食事を楽しめます。森山さん夫妻との会話を通じて新たな気づきや豊かさを感じられる、特別な時間を提供してくれるお店です。ぜひ一度訪れてみてください。