ウクライナ軍、米国提供の攻撃ドローン「スイッチブレード」でロシア領土を初攻撃:ロシアは市民死亡と発表
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。
米国バイデン大統領はロシアに侵攻されているウクライナに対して支援を行っている。2022年3月にバイデン政権は、米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」を提供していた。4月には攻撃ドローンのスイッチブレードをさらに600台追加で提供。また同社では監視・偵察ドローンもウクライナ軍に提供している。
攻撃用スイッチブレードの「Switchblade300」と「Switchblade600」は上空から標的に突っ込んでいき、戦車などを破壊することができる。同社ではイメージ動画も公開している。ドローンが認識した標的を人間が判断して攻撃をしているので、軍事施設や戦車など軍事目標に攻撃できる。米国がウクライナに提供したの軍事ドローンは2010年にアフガニスタンへタリバン掃討のために派遣されたアメリカ軍部隊にも配置されていた。
ウクライナ軍は攻撃ドローン「Switchblade300」でロシア領のブリャンスクを攻撃した動画を公開した。「Switchblade300」でロシア国内を攻撃したのは初めてとのこと。ウクライナ軍はロシア連邦保安庁を標的に攻撃をした。ロシア軍の発表では1人の一般市民が死亡して、3人が負傷したとのことだが詳細は不明。
ロシア軍は一般市民が死亡したと発表しているが、武力紛争法(国際人道法)では「軍事目標主義」というのが掲げられており、攻撃の標的にしてよいのは軍事施設、軍人で一般市民(文民)を標的にすることは禁じられている。
▼ロシア領土を攻撃する「Switchblade300」
米国政府が提供した「スイッチブレード」はウクライナ東部での戦いで今まで多く利用されている。「Switchblade300」は地面に設置した発射台を兵士が足で押さえて、兵士が手にしたスイッチを押すと発射台から簡単に攻撃ドローンが上空に向けて発射される。発射台を上空に向ければ、どのような場所からでも発射できる。発射する動画をウクライナ軍は公開していたがタブレットで標的の位置を確認しているシーンも流れている。人間の軍人が目視で標的のロシア軍を探している様子が伝わってくる。
ロシア軍がウクライナに侵攻してから、両国ともに軍事ドローンによる上空からの攻撃が続いており、ロシア軍はロシア製の軍事ドローン「KUB-BLA」で攻撃を行っている。ウクライナ軍はこの「スイッチブレード」シリーズだけでなくトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」もよく使っている。軍事ドローンが上空から地上に突っ込んでくる攻撃は破壊力も甚大であることから両国にとって大きな脅威だ。搭載している爆弾により軍人が死亡してしまう場合もあるし、大怪我や負傷をすることもある。殺害されてしまうよりも大怪我を負ってしまう方が介護が必要になるので、稼働やコストなど軍への負担が大きい。
小型攻撃ドローンは上空から標的に向かって突っ込んでいき、爆撃することから「Kamikaze Drone(神風ドローン)」、「Suicide Drone(自爆型ドローン)」、「Kamikaze Strike(神風ストライク)」とも呼ばれている。標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。日本人にとってはこのような攻撃型ドローンが「神風」を名乗るのに嫌悪感を覚える人もいるだろうが「神風ドローン」は欧米や中東では一般名詞としてメディアでも軍事企業でも一般的によく使われている。
「スイッチブレード」はドローン自らが標的に向かって突っ込んでいき爆破する、いわゆる「神風ドローン」なので、「スイッチブレード」が報じられるときはよく耳にする。今回のウクライナ紛争で「神風ドローン」はウクライナでも一般名詞となり定着した。ウクライナ語では「Дрони-камікадзе」(神風ドローン)と表記されるが、ウクライナ紛争を報じる地元のニュースで耳にしたり目にしたりしない日はない。
▼「Switchblade300」発射シーンの動画
▼米国がウクライナ軍に提供している軍事ドローン「スイッチブレード」