【仙台市宮城野区】近づく13年目の3.11。「かえりびな」を眺め、これまでとこれからを考える
仙台市宮城野区・若林区を愛する号外NETライターの長谷川誠です。
今年もまた3.11が近づいてきています。皆さんは今年の3.11をどのように過ごされるご予定でしょうか。折しも曜日も巡り合わせの悪さから、今年の3.11は月曜日。普通にお仕事をされている方が多いかもしれません。しかし、皆さんそれぞれの想いを抱かれて過ごされることと思います。
個人的なことですが私は被災者の1人(非常にありがたいことに命を失うような被害は身内に降りかかりませんでしたが)として、例年3.11がめぐってくる度に、あまりにも非現実的過ぎたあの惨状を振り返り、気がつけば薄れてしまう防災意識を新たにしています。
<昨年の3.11記事リンク:【仙台市若林区】12年目の「3.11」忘れないこと、伝えていくことの大切さを震災遺構と共に考える>
先日、とある展示イベントを鑑賞する機会にめぐまれました。今回は皆さんが3.11を考える何かのキッカケになればと思い、その展示イベントをご紹介させていただきます。
その展示が行われているのは、仙台市宮城野区役所の隣りにある宮城野区文化センターの1階ビュッフェスペース。
展示されているのは、東日本大震災で犠牲になられた方々への鎮魂と、未だ行方不明の方々が一日でも早く家族のもとに帰ってほしいと願って「仙台かえりびなの会」のみなさんが作成した「かえりびな」。
ちなみに3.11の翌日となる2024年3月12日(火)までの期間、展示されています。
日頃から多くの市民の休憩スポットとして賑わっている場所に、飾られた吊るし桃飾りとかえりびな達。
ひな壇には「東日本大震災を忘れない、風化させないを伝えていく」「震災を忘れない」とのメッセージが。
様々な「想い」を込めて、丁寧に1つ1つ手作りされた「かえりびな」。同じものは1つとしてない、そんなお雛様達の中には「おかえりなさい」のメッセージもありました。
あの震災から13年目を迎える2024年。報道によれば、定期的な捜索活動は行われているものの、いまだ2500名以上の方が行方不明となっています。
「おかえりなさい」
普段何気なく使っているこの言葉に、どれほどの「想い」が込められているのだろうか…。いまだご家族の元へ帰ることができずにいる方々が東日本大震災の被災地にいる。
復興、再生。変わってしまった被災地の風景。新たな「当たり前の日常」を過ごしている現在。そんな行方不明者の事実に改めて気づかされ、震災当時のあの何とも表現しようのないモヤモヤとした不安な気持ちが思い出されるようです。嗚呼、どうか、どうか、1日でも早く、1人でも多くの方に「おかえりなさい」を言える日が来ることを願って…。
また、展示スペースには感想を書くノートが置いてあり、鑑賞された方の様々な「想い」も記されていました。
プライバシー配慮のため、メッセージやお名前が分かる写真は割愛させていただきますが、被災された方、被災されなかった方、老若男女問わず記された様々な「想い」。かえりびなに1つとして同じものがないように、「想い」も人の数だけあるんですね。
「かえりびな」の展示を鑑賞し、会場を見渡すと奥には刺繍(ししゅう)作品も飾られていました。
こちらの展示は、特定非営利活動法人イコールネット仙台さんが開催された講座に参加された女性の方々が制作された「わたしの物語」という刺繍作品たち。
東日本大震災という辛い記憶や経験を振り返り、記憶にある震災前・震災後の風景が刺繍で表現されていました。
東日本大震災という辛い記憶や経験を振り返り、記憶にある震災前・震災後の風景が刺繍で表現されていました。
いかがだったでしょうか。「かえりびな」、そして「刺繍作品」。どちらも3.11に対する「想い」が込められた展示。
改めて書きますが、皆さんは今年の3.11をどのように過ごされるご予定でしょうか。今回のこの、私のつたない記事が13年目の3.11を考える・行動する何かのキッカケになれば幸いです。3.11、あなたの「想い」が溢れる日になることを願って。
●仙台市宮城野区文化センター●
〒983-0842 宮城県仙台市宮城野区五輪2丁目12−70