新型コロナ第3波はすでに医療機関を逼迫させつつある
2週間前に「全国で新型コロナ患者が再増加の気配 欧州のような大流行を避けるためには」という第3波を警戒する記事を書いた後、新型コロナ新規患者数は急激に増加をはじめ、あっという間に全国での新規患者数は第2波のピークを超えました。
まだ第3波は始まったばかりですが、すでに医療機関は重症者の対応に追われ逼迫しつつあります。
第2波は重症者の比率が少なかった
国立国際医療研究センター(感染症で有名な病院)が発表した、全国の新型コロナ入院患者のレジストリCOVIREGI-JPの第1波と第2波の比較に関する報告では、第2波では第1波と比較して重症者の占める割合が少なかったことが示されています。
その理由として、第2波では第1波と比較して、
・検査体制が整備され、軽症者を含めて診断されるようになったことで、相対的に重症者が減った
・中等症・重症例ではレムデシビル・デキサメタゾンという治療が標準化された
・若い世代の占める割合が多かった
ことなどが挙げられます。
実際に第1波では高齢者の占める割合が高かったのに対し、第2波では20代・30代の占める割合が高くなっています。
重症化しやすいのは60代以上の高齢者ですので、第2波では重症化するリスクが高い患者層が少なかったことから、患者数自体は第2波よりも多かったものの、重症者は少なかったものと考えられます。
私の実感としても、第2波は、第1波と比較して患者数は多かったものの、医療機関の負担は第1波よりも少なかった印象です。
第3波では第2波よりも高齢者の占める割合が高い
第2波の特徴として、20代・30代から徐々にそれ以外の世代に感染が広がっていったことが挙げられます。
ただし、東京都では60代以上への高齢者層に感染が広がったのは第2波のピークを超えてからであったため、高齢者の患者数そのものは大きく増えることなく推移していました。
しかし、第3波が始まってからも高齢者の占める割合は変わることなく症例数が増加に転じたことから、高齢者の感染者の絶対数が増えてきている傾向にあります。
つまり、東京都における第3波は、
・高齢者の占める割合は第1波と第2波の間
・患者数の多さは第2波と同等、あるいは今後それを凌ぐ可能性がある
ということで、第1波と第2波の悪いところをかけ合わせたものと捉えることもできます。
すでに重症者数は第2波のピークと同等
第3波はまだ始まったばかりですが、すでに東京都における重症者数は第2波のピーク時と並んでいます(11/13時点で39人)。
私の職場でも緊張感が高まってきており、第1波の初期のような嫌な雰囲気を感じます。
都内では現在も患者は増加を続けており、また重症者は遅れて増加してくることから、第2波のピークを超えることは間違いないでしょう。
あまり急に増えているようには見えませんが、東京都の発表資料によると「重症患者の半数は今週新たに人工呼吸器を装着した患者である」とのことであり、重症者は急増しているものの、改善して人工呼吸器から離脱できた人や亡くなった人の分だけ減少しますので、総数としては微増となっているに過ぎないことが分かります。
高齢者が新型コロナに感染すると自宅療養・ホテル療養とはならず入院して経過を見ることが多いため、感染者のうち高齢者の占める割合が増えると、重症者数だけではなく入院患者数も増加し、医療機関を逼迫していくことが懸念されます。
今一度一人ひとりの感染対策を徹底しよう
これから全国的に寒くなり、屋内での換気が不十分になりやすくなる時期になります。
これまで以上に新型コロナへの警戒を強め、一人ひとりが
・屋内ではマスクを着ける
・3密を避ける(特に職場での休憩時間や会食)
・こまめに手洗いをする
といった、基本的な感染対策を徹底しましょう。
また人との接触をなるべく避けるために、テレワークできる方はテレワークへ移行するなど、ご自身のライフスタイルをもう一度見直しましょう。