ワンオペ育児は無理であることを現役保育士が証明する「証拠6つ」
共働きの現役保育士です。
厚生労働省が定める保育士配置基準に基づき、現行の保育園は次の通りの職員数で運営されています。
保育する年齢:保育士の人数
0歳児クラス:3人につき一人
1~2歳児クラス:6人につき一人(2025年度以降5人につき一人に改定予定)
3歳児クラス:15人につき一人(※新基準)
4歳児クラス以上:25人につき一人(※新基準)
参考:こども未来戦略方針
「保育園の先生は、3人の0歳児を一人で、6人の1歳児を6人で保育しているのだから家庭でのワンオペ育児は無理なことではないでしょ」などという方がいるのであれば、大きな誤解です。
保育園と家庭での保育の仕方の違いを解説しながら、ワンオペ育児の大変さを証明したいと思います。
保育士は調理をしない
筆者は保育士ですが、家庭で料理をしながら子どもたちを安全に見守ることは非常に困難だといつも思います。
保育園では調理は栄養士・調理師が担当します。
さらに、家庭と比較して調理室は保育室とは隔離された場所にあるからこそ、保育士は子どもたちとの活動に専念できるわけです。
一般家屋の構造だと、キッチンとリビングが近接しており、子どもたちがいつでも火元に近寄れるので、調理と見守りの両立は非常に難しいですよね。
役割分担をしている
1~2歳児クラスは6人につき保育士が一人といっても、中大規模保育園になれば1クラスに子どもが10人~18人はいて、保育士も2-3人配置されているはずです。
この場合、保育士1人で5-6人ずつを保育するのではなく、クラス担任の中でリーダー・サブなどと役割分担がされています。
12人クラスの場合、リーダーが活動を動かしたり子どもの見守りを中心に担い、サブが活動に必要な準備や清掃などの仕事をします。
「役割分担できること」が多くの子どもを保育するときの鍵です。
いくら子どもの人数が少なくても一人でリーダーとサブの両方の仕事をすることは無理です。
家庭におけるワンオペ育児とはこの役割分担ができない状態なので、非常につらいと思います。
子どもたちが頑張っている
大人にもオンとオフがあるように、0歳児であってもお家と保育園での生活を切り替えています。
子どもたち自身が保育園とお家とは過ごし方が違うことを理解して、頑張って過ごしてくれるからこそ少ない保育士の人数で保育ができます。
日々の活動をルーティン化している
保育園では日々の活動をルーティン化しています。
遠足でもない限り、必ず朝の会を行い挨拶をする。
おやつや給食を食べる時間や準備の手順も毎日同じで、手を洗うタイミングから給食の歌や挨拶のセリフまで決まっています。
このようなルーティンを入園・進級直後の4月5月に覚えていくからこそ、保育園では多くの子どもがスムーズにおやつやおむつ替えなどの活動が進行できます。
家庭では用事やお出かけ、ママ・パパの体調など変化ごとが多いので、日々の活動をルーティン化するのはなかなか難しいです。
保育園における1日のスケジュールについては、次の記事も参考になります。
園児と保育士が体調良好な状態
病児保育でもない限り、保育園には基本的に体調が良好な状態でないと登園できません。
保育士もまた、現実は異なる部分もありますが、体調が良好でないと勤務できません。
よって、保育園には体調良好な子どもと保育士しか基本的にはいません。
家庭では子どもまたはママ・パパの体調が悪い場合も当然あるので、そのようなときのワンオペ育児は非常に辛いものとなりますね。
年中・年長組が助けてくれる
保育園の子どもたちは本当に優しいです。
4・5・6歳児ともなれば、小さい子のお世話を積極的に手伝ってくれる子もたくさんいます。
小さいクラスのお友達が園庭から保育室に戻るときに手を引いて連れてきてくれる姿は小さい先生のよう。
保育士たちは頼もしい小さい先生たちにいつも助けられているのでワンオペではありません。
少しだけでも役割分担できること、助けてもらえることが、家庭におけるワンオペ育児をつらいものにするかの分かれ目だといつも思います。
まとめ
保育園と家庭での保育の仕方の違いを解説しながら、ワンオペ育児の大変さを証明してきました。
ワンオペができないと嘆いているのであれば、そもそも無理なことであるとまず知って欲しいです。