Yahoo!ニュース

「ジョークでしかない!」 独立リーグ出身ドジャース左腕投手がMLBの改革案に反発

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLBの改革案に不満を爆発させたリッチ・ヒル投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【早くも選手がMLB改革案に反発】

 MLBが現地8日に、3年間の業務提携を結んだアトランティック・リーグで、将来的にMLBでの導入を検討している改革案7項目を試験導入することを発表した。すでに本欄でも報告させてもらったいるが、早くも選手から反発の声が挙がった。

 2015年にアトランティック・リーグに所属していたドジャースの左腕投手、リッチ・ヒル投手が異議を唱えた。地元紙の『Orange County Register』紙のJP・フーンストラ記者が同投手を直撃し、彼の意見を記事にまとめている。同記事によれば、リル投手は以下のように不満を述べている。

 「(MLBの改革案は)ジョークでしかない。正直言って、彼らがしようとしていることは悲しいことだ。自分は改革には賛成だ。ゲームを進行する上でもっと効果的な方策があるかと聞かれれば、自分はあると思っている。だが(MLBがしようとしていることは)ゲームが考案された道から逸出している。

 (マウンドの距離を伸ばすのは)本当に馬鹿げている。2フィート(約60センチ)は大きな差だ。これまで100年以上も続いていたものなのに。理由がわからない。本当に理解できない」

【サファテ投手らも異議を唱える】

 こうした不満はMLBの中だけに留まっていない。NPBに在籍する外国人選手からも声が挙がっている。まずソフトバンクのデニス・サファテ投手が以下のようなツイートを投稿し、マウンドの距離が伸びることで投手に故障者が続出すると危惧している。

 さらにDeNAのスペンサー・パットン投手もサファテ投手のツイートに返信し、「文字通り自分が知る限りで最も馬鹿げたルールだ」と一刀両断にしている。

【MLBの改革案はすべて投手に不利?】

 そもそも今回の改革案は、明らかに投手ばかりが負担を増すことになる。まずマウンドの距離が伸びることでより遠くへ投げなくてはならなくなるので、変化球の曲がり方も変わることになり、投球そのものを見直させばならなくなる。サファテ投手が指揮するように、故障のリスクはかなり高まることになるだろう。

 それだけではない。シフト守備が禁止されればアウトを奪う確率が下がってしまうし、もし乱調になった時もコーチや選手はマウンドに来られないで間を入れることもできない。さらにイニング間や投手交代時の制限時間が短縮されることで、投手の準備時間も制限されることになってしまうのだ。

 改革案7項目中のうち4項目が投手に悪影響をもらたしかねないとあっては、投手として見過ごすことはできないだろう。引き続穂の投手からも反発の声が挙がることになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事