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SDGs世界ランキング2021 日本の順位は?2020年にはスウェーデンが1位

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
スウェーデン・ゴットランド島の植物園とホテル(筆者撮影)

2021年6月14日、SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)と、ドイツのベルテルスマン財団は、Sustainable Development Report 2021を発表した(1)。この報告書は、毎年6月に発表されており、国ごとにSDGsの達成度を点数化してランキングを示したものである。2020年はスウェーデンが1位(2)、2019年にはデンマークが1位だった(3)。

1位フィンランド、2位スウェーデン、3位デンマーク、18位に日本

1位はフィンランド、2位はスウェーデン、3位はデンマークと、北欧諸国がベスト3を占めた。2020年には1位スウェーデン、2位デンマーク、3位フィンランドだったので、上位3位は、順位が入れ替わっただけで、国は変わっていないし、差も微々たるものだ。どの国も、2020年に比べて2021年のスコアは上がっている。

上位10ヶ国(Sustainable Development Report 2021より)
上位10ヶ国(Sustainable Development Report 2021より)

日本は2019年に15位、2020年に17位だったが、2021年は18位となった。

日本はスコア79.8で世界ランキング18位(Sustainable Development Report 2021より)
日本はスコア79.8で世界ランキング18位(Sustainable Development Report 2021より)

日本の成績表は?

この報告では、これまで同様、国ごとに、SDGsのゴールの進捗状況が報告されている。日本はどうなっているか(4)を示したのが下記の図である。ゴールが赤で示されているのが「大きな課題が残っている」ものだ。赤、オレンジ、黄色・・・の順に、残されている課題が大きいことを示している。赤は残された課題が最も大きく、黄色が最も小さい。緑は達成しているゴールを示す。

赤に注目してみると、5番のジェンダー平等や、13番の気候変動、14番の海の豊かさ、15番の森の豊かさ、17番のパートナーシップが挙げられる。

オレンジは、2番の飢餓、7番のエネルギー、10番の人や国の不平等、12番のつくる責任・つかう責任。

日本のSDGsの進捗状況(報告書より)
日本のSDGsの進捗状況(報告書より)

また、矢印の色のうち、赤で下向きになっているものは達成に向かっておらず、反対方向に向かっていることを示しており、15番のゴールに赤の下向きの矢印がついている。オレンジの矢印は停滞、黄色は中程度の改善、緑は達成に向けて順調もしくは維持していることを示している。

筆者のテーマとする食品ロス問題は、SDGsの17のゴールすべてに関与するが、中でも大きく関与するのが12番だ。これはオレンジで、かなり大きな課題が残されていることを示しており、矢印はないので、トレンドの情報が得られないことを示している。

コロナ禍により世界の平均スコアが初めて低下

では世界的に見てみると、どうだろう。このSDGsのスコアは、SDGsが国連サミットで採択された2015年からカウントされているが、コロナ禍により、初めて世界平均スコアが低下してしまった。要因は、世界的に貧困率と失業率が増加したためである(5)。

SDGs世界平均スコア 2015年からの推移(Executive Summary より)
SDGs世界平均スコア 2015年からの推移(Executive Summary より)

ただし、コロナ禍で国際統計のタイムラグにより複数の指標が入手できていないので、この低下自体も過小評価されている可能性があるという。

SDGsの「ウェディングケーキモデル」を見ると、SDGsの17のゴールは経済・社会・環境と3つの側面から成り立っているが、COVID-19のパンデミックは、そのすべてに影響を与えることとなった。

2015年以降、バングラデシュ・コートジボワール・アフガニスタンのスコアが向上

ただし、いい側面も報告されている。コロナ前には、世界の多くの地域でSDGsが進展しており、地域別に見てみると、特に東アジアと南アジアでは、世界のどの地域よりもスコアが進展していた。国レベルで見てみると、2015年以降、バングラデシュ、コートジボワール、アフガニスタンで、SDGs指数が最も向上している。

Executive Summaryより
Executive Summaryより

国民皆保険とデジタルインフラの必要性がコロナ禍で明らかに

報告書では、「今回のパンデミックにより、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(国民皆保険)と主要インフラ(特にデジタルインフラ)へのユニバーサル・アクセスに向けた進展を加速させる必要性が明らかになった」としている。なぜなら、国民皆保険制度とデジタルインフラが整っている国が、コロナ禍からの回復が速いと判断されたためである。

世界銀行(The World Bank)の定義によれば、絶対的貧困層とは、一日1.90USドル未満で暮らす人を指す(以前は一日あたり1.25USドルだった)。下記のグラフでみると、紫のナイジェリアではコロナ禍を経て40%を超える人が絶対的貧困層になっている(6)。国民のほぼ半数ということになる。

1日1.90USドル未満で暮らす絶対的貧困層の割合(Sustainable Development Report 2021)
1日1.90USドル未満で暮らす絶対的貧困層の割合(Sustainable Development Report 2021)

すべての政府の最優先事項は「パンデミックを抑制すること」

報告書は、「新型コロナウイルスが猛威をふるっている間は持続可能な開発や経済の回復は望めない」としており、すべての政府の最優先事項は、ワクチンの世界的アクセスなどを通して「パンデミックを抑制すること」としている。政府の動きを注視したい。

参考情報

1)Sustainable Development Report 2021

2)SDGs世界ランキングでスウェーデン1位返り咲き!17位日本との違いとは:SDGs世界レポ(28)(井出留美、2020.7.6)

3)SDGs世界ランキング1位デンマーク 企業と行政は何にどう取り組んでいるか:SDGs世界レポ(1)(井出留美、2020.2.5)

4)JAPAN(Executive Summary Report 2021)

5)Executive Summary Summary of findings and recommendations(Sustainable Development Report 2021)

6)Data Explorer(Executive Summary Report 2021)

SDGs達成度ランキング、日本は世界18位に後退(オルタナ、2021.6.15)

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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