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「ドローンで撮影された静岡県の水害」としてAI制作による偽画像のデマが拡散。見分けるポイントは?

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
拡散しているデマ画像。Twitterより

 「ドローンで撮影された静岡県の水害」だとしてたくさんの住宅が水に浸かっている画像が4,000件以上拡散していますが、こちらはAIで制作された偽画像です。ご注意ください。

「ドローンで撮影された静岡県の水害」の嘘

 問題の画像は9月26日午前4時にTwitterに投稿されたもので、「ドローンで撮影された静岡県の水害。マジで悲惨すぎる...」との本文とともに、3枚の写真が掲載されていました。

 いずれの写真もたくさんの住宅が床上浸水しているとわかるものであり、「こんな被害が出ているのか」と驚いてしまいそうになります。

 しかし、これらの写真はAIが制作した偽画像です。

AI制作の画像、見分けるポイントは?

 後に偽画像を投稿した本人が「偽物です」と認めるツイートをしていますが(ちなみに謝罪文のように見えますが、画像の後半で騙された人を煽っています。悪質な愉快犯だと思われます)、なぜこれらの写真が偽物と言えるのか、少し解説してみます。

投稿された画像1枚目。Twitterより。加工は筆者。
投稿された画像1枚目。Twitterより。加工は筆者。

 まず1枚目ですが、自然豊かな街が水に浸かっているように見えますが、写真の左下と中央で木と家が合体してしまっています。

 また、これだけ多くの家があるにもかかわらず、電柱がどこにもありません(これは3枚の写真全てに言えることです)。

 これらのことから、この画像は写真ではなく作られたものだと判断できます。

投稿された画像2枚目。Twitterより。加工は筆者。
投稿された画像2枚目。Twitterより。加工は筆者。

 続いて2枚目ですが、これも写真中央で木と家が謎の合体をしてしまっています。

 ただ、これよりもわかりやすいのが中央上部の川です。一般的な住宅しかないはずなのに、水にはビルらしきものが写り込んでいます。

 ここから、これも偽物だと判断できます。

投稿された画像3枚目。Twitterより。加工は筆者。
投稿された画像3枚目。Twitterより。加工は筆者。

 最後の3枚はもう明らかです。川の中に家が建っています。家が流された可能性も考えられなくはありませんが、そのような報道は出ていません(2021年の報道はありました)。

 また、水の流れもおかしいです。水が流れているところが多く描写されていますが、中央下部ではその流れをさえぎるようなものがないのに水面が急に穏やかになっています。

 さらに言えば、写真右上も街と街のあいだを森(林?)がさえぎっていますが、日本の平地の少なさを考えればこんな森による分断を許すとは考えづらく、そもそも言えばビルの形も不自然です。

 このようなことから、これら3枚の写真はAIで制作した偽画像だと判断できます。

AI制作の画像に騙されないためには?

 それでは、AIで制作された衝撃的な画像に騙されないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?

 驚きの画像をすぐにリツイートしない、というのはもちろんですが、今回のポイントで言えば画像のサイズが正方形なところに注目して欲しいです。

 じつはいま広く使われている画像制作AIは何も設定しなければ正方形の画像を作るようになっています。

 普通、写真を撮影すると画像は横長か縦長になります。それが正方形ということは「何か隠したいところがある」、または「写真を制作(撮影)したのはAIか人間かはわからないが、画像は加工されたものである」ことを示しています。

 AIによる画像制作のコストがグッと下がったいま、今後もこのような迷惑行為をする人物が現れることが予想されます。衝撃画像をすぐにリツイートせず、その写真が本物かどうか、落ち着いて確認するようにしてみてください。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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