日本人はたんぱく質不足!?手軽に補う方法を管理栄養士が解説
たんぱく質をもっととりたいと思いつつ、具体的な方法がわからない。毎日の食事で十分なたんぱく質を摂るのは難しそう…。そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、日本人のたんぱく質摂取の実態は意外なものかもしれません。また、効果的なたんぱく質摂取は、思ったほど難しくないのです。
この記事では管理栄養士の視点から、日本人のたんぱく質摂取の現状を解説するとともに、日々の食事で簡単に実践できるたんぱく質摂取の方法をご紹介します。具体的な目安を知ることで、あなたの食生活がぐっと楽になるはずです。
「日本人はたんぱく質不足」って本当?
そもそも、本当に日本人はたんぱく質の摂取が不足しているのでしょうか?
まずは、たんぱく質の必要量を把握しましょう。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(出典1)では、たんぱく質摂取の目標量が摂取エネルギー(カロリー)に対する割合として定められています。目標量は年齢によって異なり、18~49歳では摂取エネルギーの13~20%、50~64歳では14~20%、65歳以上では15~20%です。
たんぱく質は1gあたり4kcalのエネルギーがあることを考慮して計算すると、例えば18~49歳で1日2000kcalを摂取する人の場合、65~100gが1日の目標量となります。
それでは、実際の摂取量はどのようになっているでしょうか。
日本人の栄養素摂取量を調査した研究結果(出典2)では、たんぱく質の摂取量が目標量以下の人は以下の割合でした。
たんぱく質の摂取量が目標量以下の人の割合
【男性】
18~29歳:26.2%
30~49歳:23.0%
50~64歳:31.5%
65~74歳:40.6%
【女性】
18~29歳:14.8%
30~49歳:11.3%
50~64歳:18.2%
65~74歳:23.0%
年代によって差はありますが、10~40%前後の人にたんぱく質摂取不足の可能性があるといえます。
ただし摂取量の平均値はいずれも目標量の範囲内に収まっていることから、「日本人はたんぱく質が足りていない」と一般化するのは言いすぎでしょう。まずは自分の摂取量を把握し、対策が必要かどうか考えることが重要です。
たんぱく質量を簡単に把握するには
たんぱく質の量を簡単に把握するには、「手のひら」を目安にするのが便利です。
たんぱく質源となる肉・魚・卵・大豆製品を、1食あたり手のひらの大きさ分摂取することが推奨されます。
これらの食品に含まれるたんぱく質の量は以下のとおりです。
・肉1人分、魚1切れ(80~100g):15~20g
・卵(1個50g):5.7g
・絹ごし豆腐(150g):8.0g
・納豆(1パック50g):7.3g
これに加えて、意外とたんぱく質がとれるのが主食です。
ご飯なら握りこぶし1個分、パンや麺類は両手を広げて乗る量が1食分の目安になります。
・ご飯(1膳180g):3.6g
・食パン(6枚切り1枚):4.4g
・うどん(1玉200g):4.6g
また、乳製品からもたんぱく質がとれます。1日のどこかで、これらをどれか1つ取り入れると良いでしょう。
・牛乳(200g):6.0g
・ヨーグルト(100g):3.3g
・スライスチーズ(1枚20g):4.3g
ここに挙げた目安の量をとれているかどうか、日頃の食事を振り返ってみましょう。
「1日に必要なたんぱく質は卵10個分、お肉なら400g」などと例えられることがあります。こうした表現が「たんぱく質をとるのって大変そう」と感じさせる原因になっているように思います。
この計算自体は間違っていないのですが、だからといって本当に卵を10個やお肉を400g食べないといけないわけではありません。ここまでに紹介した食材を組み合わせることで、無理なくたんぱく質の摂取量を充足させることが可能です。
たんぱく質を手軽に「ちょい足し」できる買い置き食材
おにぎりやパン、麺類のみなど、炭水化物に偏った食事ではたんぱく質が不足しがちです。
その場合は、そのまま食べられるたんぱく質食材を「ちょい足し」するのがおすすめです。
【おすすめのたんぱく質食材】
・魚の缶詰(さば缶、ツナ缶など)
・魚肉ソーセージ
・サラダチキン
・豆腐バー、かまぼこバー
・ゆで卵
・牛乳、豆乳
・豆腐
・納豆
・ヨーグルト
・チーズ
買い置きしておく、またはコンビニで買い足すなどして、一品追加するのがおすすめです。また食事でとり切れない分は、間食として取り入れるのもよいでしょう。
これらを適宜活用し、バランスの取れたたんぱく質摂取を心がけましょう。
【出典】
1:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3:文部科学省「食品成分データベース」