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昨日の敵は…。少々奮発し、これまで散々打たれていたスラッガーと契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
カルロス・サンタナ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月8日、カンザスシティ・ロイヤルズは、カルロス・サンタナ――ウォーク・アップ・ソング(登場曲)は「ブラック・マジック・ウーマン」ではない――と2年1750万ドルの契約を交わした。

 サンタナは、10月にクリーブランド・インディアンズから1750万ドルのオプションを破棄された。50万ドルを支払われ、FAとなった。そのオプションと同額の2年契約なら、割安だと思うかもしれない。2020年も抜群の選球眼は変わらず、リーグ最多の47四球と2位の四球率18.4%を記録した。けれども、.199/.349/.350のスラッシュライン(打率/出塁率/長打率)はいずれもキャリア・ワーストを更新。スタットキャストによると、ハード・ヒット率やバレル率も下がっている。2020年は短縮シーズンだったとはいえ、サンタナは来年4月に35歳を迎える。こうしたことやロイヤルズの財政事情からすると、今回の契約は少し高い気がする。MLBトレード・ルーマーズのティム・ダーケスは、1年600万ドルでミルウォーキー・ブルワーズと予想していた。

 もっとも、こういう見方もできる。これまで、サンタナはロイヤルズと同地区のクリーブランド・インディアンズで長くプレーしてきた。通算11シーズンのうち、フィラデルフィア・フィリーズにいた2018年以外は、すべてインディアンズだ。そして、ロイヤルズの投手を打ち込んできた。151試合で31本のホームランと33本の二塁打を打ち、スラッシュラインは.288/.416/.537、OPSは.953を記録している。ロイヤルズが本拠地とするコーフマン・スタジアムに限ると、その数値はさらに上がる。74試合でホームランは18本、二塁打は21本、スラッシュラインは.327/.449/.628、OPSは1.077だ。

 一方、ほぼ同額を投じ、ロイヤルズはマイク・マイナーも迎え入れた。こちらは、2年1800万ドルだ。2019年は32先発で防御率3.59ながら、2020年は11先発と1救援で防御率5.56。スタットキャストによると、4シームの平均球速は約2マイル下がっている(92.5マイル→90.6マイル)。今月下旬、マイナーは33歳の誕生日を迎える。

 サンタナと同じく、マイナーもコーフマン・スタジアムで好成績を残している。55.1イニングを投げ、奪三振率と与四球率は9.43と1.63、K/BBは5.80、防御率は2.27だ。ただし、その大半はロイヤルズにいた2017年に記録したもの。このシーズンは、65登板のすべてがリリーフだった。今回、ロイヤルズがマイナーと契約したのは、ローテーションを担う先発投手の一人としてだ。ちなみに、マイナーがコーフマン・スタジアムの先発マウンドに上がったのは、2013年6月26日と2019年5月15日の2試合。サンプル数は極めて少ないが、それぞれ、6イニングで自責点3と5イニングで自責点1を記録している。

ドル―・ビューテラ(左)とマイク・マイナー
ドル―・ビューテラ(左)とマイク・マイナー写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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