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<ガンバU-23>二種登録のFW塚元大が『バースデー・ハットトリック』。3試合ぶりの白星。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ガイナーレ鳥取とのJ3リーグ13節。ここ数試合、立ち上がりの失点が続いていたガンバU-23だったが、今日は8分という早い時間にFW塚元大が先制点を奪う。1−0で迎えた後半も立ち上がりに再びFW塚元が2点目を決めて突き放すも、鳥取のFWフェルナンジーニョのプレーを受けに回ったことで押し込まれる時間帯も。その中で87分に1失点を喫して1点差に詰め寄られるが、GK田尻健の再三にわたる好セーブもあって耐え続けると、90分には相手のミスを拾ったFW塚元がGKとの1:1を制して『ハットトリック』を達成。3−1で勝利した。試合後のガンバU-23監督、選手のコメントをお届けする。

●森下仁志U-23監督

今日も天候が少し悪い中、たくさんのガンバのサポーターに来て頂いて感謝しています。試合に関しては、試合前に選手には、前回負けているのもありますし、ホームであることも含めて、自分たちはガンバ大阪ということをもっと強く意識して、イコール、絶対に負けちゃいけない試合は負けちゃいけないし、絶対に勝たなきゃいけない試合は勝たなきゃいけない、と。昔のガンバと違うので、そこのピッチに立とうと思うなら今日は絶対に勝たないといけないと言って送り出しました。結果的にいうと、よく勝ち切ったなと。田尻のおかげもありますが、よく勝ち切ったと思います。でも今も選手に伝えましたが、勝ってオーケーではなくて、勝ち方、内容をもっともっと追求してやっていかないと、3点目を決められるシーンはあったので、そこで3点、4点ととどめを刺してゲームを終わらせるくらいの力をつけていきたいと思います。

ーここ3試合、先制される展開が続いていた中で、今日は早い時間に先制点が生まれました。若いチームで先制点が生まれることの効果について、試合を進める上でどういう影響があったか聞かせてください。

今週は、自分たちのスタイルを再確認して、俺らは攻めるぞと。セットプレーもそうですが、あまり言いすぎるとトラウマになるということではないですが、逆にやばい、やばいという感じになって引き込むというのは良くないというか…もちろんそういうのも経験なんですけど。そういう意味では、前半立ち上がりから、素晴らしい得点で、今日は3点ともGKがいない状態までボールを持っていけているのでそれに関してはよかったのかなと思います。ただ1点を取った後に、ラインが…フェルナンジーニョを気にしすぎて、彼のコンディションもすごく良さそうというのもあって、ラインが下がって守備が少し間延びしたかな、と。そこをハーフタイムに修正して上手く入れて、またそのあと3点目を取れないので受けてしまった。フェルナンジーニョくらいの技術をもった相手はJ3にはなかなかいないので、うちはユースの選手が半分以上ということを考えてもいい経験になったんじゃないかと。ただ今日は本当に健(田尻)がよく防いでくれたと思っています。

ーあと、ハットトリックの塚本大選手ですが、今日はU-23では初先発の一戦で誕生日にハットトリックという結果を出しました。評価を聞かせてください。

大だけじゃなくて、ユースの選手はまだ、来年トップでやるかどうか決定していないと思うし、そういう難しい時期の中でもトレーニングからすごく一生懸命というか、プロ以上の意識でトレーニングをしていて、大は昨年、たくさんの時間を休んでいたようで、だいぶ戻って来ましたけど、もっともっと練習すれば…やっぱり、でもこういう状況で点が取れるのは才能だし、しかも3点取れるというのは、育成のスタッフが大の才能について言っていたことが最近僕もわかって来ました。期待しています。

ー才能についてももう少し教えていただけますか?

彼独特の間合いというのもあるし、もっと量は上げられると思いますが、質の部分で、抜け出す部分、受けの部分、受けた後の仕掛けの部分など…昨日、点を取った亮太郎がU-23からいなくなったので、彼の役割をできるようになってくれればチームはもっと勝てるんじゃないかと思います。

ー白井選手がベンチスタートになりましたが理由を教えてください。

大(塚元)の調子があがってきたのと、陽斗は…まだ今は、ユースの選手の方が気持ち的にやってやるぞというか、難しい壁にぶち当たっていない部分があるので、そこは陽斗にしても、蓮(芝本)にしてもそうですが、2年目の選手というのはすごく難しい時期で。今日は陽斗のためにも、外しました。彼もいま…ちょっと遅いんですが、自分と向き合って戦っている最中で、今週も何度かその話をして、この局面の壁を逃げないで超えてもらいたいと思っています。

でも今日はプレー的にはよかったと思います。ここ何試合かに比べたらすごくアグレッシブで良かったと思います。続けてもらいたいです。

●GK田尻健

(後半は特に危ないシーンも多かった中でたくさんのピンチを救うセーブがありました)今日はなんか結構、当たっていたというか…試合が終わってからも仁志さん(森下U-23監督)に「今日は健のおかげや」ってみんなの前でそれを言ってくれたので、今日は自分の中でもミスは多かったけど、手応えのある試合だったなと思いました。(早い時間帯に先制できた。先手を取られる試合が続いていた中で、若いチームだからこそ先制点が試合を落ち着かせたところもあったのでしょうか)やっぱりここ数試合、序盤で点を取られることが多かったし、それを試合前から仁志さんも言っていて、とにかく入りを大事に、っていうのを、自分の中でもそれをテーマに、開始15〜20分で絶対に失点しないということをテーマにして入ったので、それは達成できてよかったし、前半ああしてリードして、後半には入れたのも今日の勝ちの要因というか、試合が終わってみてそこがすごく効いていたなっていうのは思いました。(そこには序盤のああいう藤春選手の素晴らしい守備があったりもしました)あれはびっくりしました。本当にびっくりしました。あの速さに。「めっちゃピンチやん!」と思ったところで、間接視野にハルくん(藤春廣輝)がすごい勢いで入ってきて助けてくれました。(彼の経験値とか、試合を読む、危機を察する力が出たシーンだったと思います)まさしくそうですね。いつもは試合に出るとなると僕が一番上なので、みんながどう思ってくれているかはわからないですけど、ハルくんが入って、チームもガラッと変わるというか、今日もいつも以上に締まっていた感じはしたし、そういう展開に前半はできていたので、僕ももっともっとああいう安心感を与えられる選手になっていかないといけないなっていうのは今日やっていて思いました。あと、欲を言えば完封で終わりたかったです。自分たちのミスからの失点だったから余計に悔しいというか、あそこでもっと…その前に準備していたら防げた失点だったかもしれないし、やっぱり自分たちのミスで失点が一番もったいないので、後ろから見えたことをもっともっと伝えないといけないなっていうのは思いました。そこが甘いから完封で終われなかったというのは反省していかないといけない。すごい今日はいい場面もあったけど、悪い場面もあった試合で…勝ちで満足してはいけない試合だったと思います。そのことを試合が終わったあとのミーティングで仁志さんも言っていて、今日は勝つことができたけど、内容を考えたら3点目を取りに行ってた中でとれずに2−1にされて、その後、最後に3点目は取れたから勝てたけどあそこで2−1になってしまったのも自分たちのせいやから、2−0で試合を進められたのは収穫だけど、あそこで3、4点目を取って試合を終わらせるような展開にもっていかないとJ3レベルではよくても上のレベルでやるにはそこも意識していかないとあかん、っていうことを仁志さんも言っていたので。おっしゃる通りだなって思いました。

●FW塚元大

(誕生日にハットトリック、おめでとうございます。誕生日にゴールを決めた記憶は?)小学校の時から誕生日に負けて泣きたくないなっていうところから始まって特別モチベーションが高くていいプレーができているというのがあって。今日もそのジンクスというか、でも、まさかハットトリックを決められるとは…僕は貪欲になりすぎないっていうタイプで、自分ができることをやろうと思っていたんですけど、素直に嬉しかったです。(途中出場が続いていて、今日は初先発でした。少しずつJ3リーグのレベルに慣れて来ているところもありますか?)そうですね。コンディション的な部分で90分を走れる体力がおそらくまだついていないかなっていうのを感じていて、今日も出たのは出たんですけど80分以降は動きが少なくなっていたので。でも初めて出場した時に比べたら走れるようになってきたし、U-23のしんどい練習がちょっとずつ身についてきているのかなっていう実感はあります。(このステージでやることの意味というか、鍛えられるものは多いなと感じていますか?)やっぱりユースの選手はみんなここを目指しているので、常に上のカテゴリーとか、上のレベルでやりたいと思っている選手がほとんどだと思うので、そこで僕が点を決めたらおそらくユースの選手も「負けていられないな」っていう風になるというか、練習する場所は違ってもまたそこで競争というか、負けず嫌いが出てユースが強くなるっていうことにも繋がったらいいなって思います。

●MF川崎修平

(1点目のアシストについて)連くん(芝本)からいいボールがきて、GKが出ていたのが見えたので剥がして、あの場面でシュートを打てたんですけど、入るかな〜って思ったんで、一度切り返したら相手がいて、そこも抜け切ったところで奥に、大(塚元)が見えたので、大の方が確率が高いなって思って出したら決めてくれました。自分で行くか悩んだんですけど、大が決めてくれたのでよかったです。(先制できたのは気持ち的にも楽になりましたか)僕がJ3にきてずっと最初に点を取れていなかったので、今日は取れてよかったです。気持ちの部分でも全然違いました。ただ、あのあと早めにもう1点取らなければいけなかったけど、取れなかったので、僕が決められるように練習から決定力をあげていかないといけないと思いました。(2−1にされてからも危ないシーンが続いて、その中で最終的にもう1点盛り返せた流れはどう見ますか?)2−0になった場面でもあそこで僕が3点目を奪っていたらもっと楽な試合になったと思うので、3点目というところを取れるようにしたいです。(何回かチャンスがあっただけに、ですよね?)そうですね。ただそこまでいけているのは手応えだと思います。ドリブルは僕の持ち味なので。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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