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台風17号 広範囲で強風に

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風17号の進路予想図(9月20日午後3時現在、ウェザーマップ作画)

 9月の台風は足が速く、昔から「韋駄天台風」と呼ばれる。広範囲で強い風が吹くのが特徴で、台風から離れた場所でも警戒が必要だ。

日本列島を南から北へ駆け抜ける

 大型の台風17号は20日(金)午後3時現在、沖縄の南海上をゆっくりとした速さで北西に進んでいます。台風は21日(土)に沖縄に近づいたあと、少しずつ速度を上げて東シナ海を北上するでしょう。22日(日)には九州に近づき、23日(月)は日本海を進む見通しです。

広範囲で強風に

 9月になると、日本の上空を強い西風が吹くようになり、台風はこの強い西風に乗って、速度を速めて北上します。昔から足の速い台風を「韋駄天(いだてん)台風」と呼び、広い範囲で強い風が吹くことが特徴です。

 過去、台風が日本海を通ったときの速度を調べてみたところ(9月中・下旬)、平均で時速50キロから60キロでした。台風は場所や季節によって、速度が変わり、沖縄付近で時速15キロから20キロ、本州付近で時速30キロから40キロです。先日の台風15号は関東地方を時速25キロで移動しました。

 台風の強い風に加えて、移動速度も加わるため、台風の中心に近いところだけでなく、離れた場所でも風が強まります。こちらは23日午後の風の予想(上空約1,500メートル)を見たものです。

風の強さを予想した図(9月23日午後3時、上空約1,500メートル付近、ウェザーマップ作画)
風の強さを予想した図(9月23日午後3時、上空約1,500メートル付近、ウェザーマップ作画)

 日本海にある台風の周辺はもちろんのこと、台風から離れた太平洋側(青点線)でも風が強く吹くでしょう。

 さらに、北日本でも風が非常に強く吹くおそれがあります。とくに秋田県、青森県、岩手県、北海道は警戒が必要です。

水温が高いと衰えない?

 台風は日本海で温帯低気圧に変わる予想です。しかし、台風から低気圧に変わっても、発達した雨雲が消えるわけでもなく、強い風が急に収まることもありません。低気圧は台風と比べて広い範囲で風が強く、低気圧に変わっても風への警戒は続くでしょう。

 さらにもうひとつ気がかりなことがあります。日本海の海面水温が高いのです。

 海面水温は日本海の中央まで25度くらいあり、平年と比べるとかなり高いことがわかります。

日本海の日別海面水温図(9月19日 左図:海面水温、右図:平年差、気象庁ホームページより)
日本海の日別海面水温図(9月19日 左図:海面水温、右図:平年差、気象庁ホームページより)

 台風の強さは海の暖かさで決まるため、台風が弱まらずに北海道に近づく、より発達した雨雲がかかる可能性もあります。過去、日本海を進んだ台風は各地に被害をもたらしました。さまざまな状況を考えて、早めの備えが必要です。

【参考資料】

気象庁:千葉県及び伊豆諸島における気象の見通しについて~台風第17号や前線による気象の見通し~、2019年9月20日

気象庁ホームページ:日別海面水温

デジタル台風

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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