【福岡市】360度楽しめる3D博物館 スマホから無料で鑑賞しよう!
自由と平和を愛し、文化をすすめる日である11月3日の「文化の日」。福岡市博物館では、所蔵している7つの文化財を3D化し、「おうちDE楽しめる3D福岡市博物館!」として提供している。
スマホなどで専用ページにアクセスすると、360度の視点で文化財を楽しめる。しかも無料で利用でき、3Dを拡大縮小できるため、細部まで鑑賞できる。
福岡にゆかりのある人物といえば、豊臣秀吉の天下統一を支えた「黒田官兵衛」と、その息子で福岡藩の初代藩主「黒田長政」だ。長政は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人に仕えた貴重な存在でもある。
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」(2014年)や「どうする家康」(2023年)での登場や、人気ゲーム「信長の野望」「戦国無双」、ゲームを舞台化した「刀剣乱舞」でも黒田家の人物たちが登場する。
「おうちDE楽しめる3D福岡市博物館!」では、黒田家に伝わる兜や甲冑、徳川家康の木像、香炉の一種である宗七焼(そうしちやき)、名人による博多人形の文化財が3D化され、鑑賞できる。
3Dを巨大化すると細部を楽しめる
筆者が最も興味深かったのが、徳川家康の木像とも言える「木造東照権現坐像(もくぞう とうしょうごんげん ざぞう)」だ。
この名称は、徳川家康を神格化した称号が「東照権現」であり、その木造の坐像(座っている像)という意味である。
この像はかなり細かくデザインされている。スマホで見る小さい画像だとわかりにくいが、AR(拡張現実)機能を使い、巨大化するとデザインがわかりやすい。実際に巨大化してみたが、威厳があり恐れ多い気持ちになる。
徳川家康の下にあるのは「上げ畳」に当たる部分で、カラフルで奇麗な和柄になっている。また、徳川家康の袴にも何かデザインがあるように見える。
胸のあたりをよく見ると、うっすらと「三つ葉葵の紋」が見える。全く同じものかはわからないが、ドラマ「水戸黄門」の印籠に写っている紋とほぼ同じものではないだろうか?
上げ畳の上部にも色の付いた葵の紋らしきものがあり、こちらも威厳を感じるデザインである。
台座のところには、狛犬なのか狼なのか、四足歩行と思われる動物のデザインも発見した。
このような細かいデザインの文化財は、3D化してARで見る価値があると思う。直接実物に近づかなくても巨大化して細部を確認することができる。
3D化された文化財を360度楽しむ
「おうちDE楽しめる3D福岡市博物館!」を楽しむには、福岡市博物館のホームページから文化財の3Dページへアクセスすると、すぐに見ることができる。
指で360度動かせるため、博物館では見づらいであろう背面なども見ることができる。ただし、真下から見ると空洞で張りぼてのようになっているが、実物は底面があるそうだ。
これは、写真や3Dスキャナーから3D化する際に、底面が撮影できなかったためと思われる。しかし、内側からもデザインが確認できるため、これはこれで面白いと思う。
スマホ画面右上の「AR」ボタンを押すと、現実空間の中に3Dの文化財が表示される。机の上や床を認識して、その上に文化財が表示されるようになっている。
ARとは拡張現実を意味する「Augmented Reality」の略称で、現実世界にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術のことだ。なお、パソコンの画面の場合は3Dのみ表示でき、ARの機能は使えないようである。
スマホを持って歩くと側面や背面も見えて、まるでその場にあるかのような臨場感が味わえる。
また、スマホ画面に指を二本置き、開いたり閉じたりすると、拡大縮小される。つまり、巨大にもできるし、ミニチュアにもできる。
ちなみに、この3Dは黒田長政の兜である。ネットで検索すると、NHK大河ドラマ「どうする家康」でも同じ兜の画像を確認できた。
黒田家の文化財などを楽しめる
この他にも、黒田家に伝わる鬼瓦を型どったデザインの甲冑など、文化財の3Dを鑑賞できる。黒田家の赤い甲冑については、同じものを人気ゲームや舞台などの公式ページで見つけることができた。
今回、「おうちDE楽しめる福岡市博物館!」を実際に使ってみて、福岡市にまつわる文化財や歴史に触れる良いきっかけになった。
筆者は以前、福岡市博物館のミイラ展に行ったことがあるが、恐ろしくもなかなか面白かった。足を運んで初めて得られる魅力を感じることができた。
早良区にある福岡市博物館では、常設展示のほかにもユニークな企画展示が開催されている。3Dで興味を持った方は、福岡市博物館にも訪れ、文化財の魅力をじっくり楽しんでみてはいかがだろうか。
おうちDE楽しめる福岡市博物館!