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渡辺明名人4連覇か、藤井聡太竜王最年少七冠達成か――第81期名人戦七番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
「最強の挑戦者」を迎え撃つ渡辺明名人(筆者撮影)

 渡辺明名人(38)に藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・棋王・王将・棋聖が挑戦する第81期名人戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)七番勝負は4月5日東京で開幕する。

 六冠を保持する藤井竜王は名人初挑戦。七番勝負の勝敗と展開を、データを基に予想してみた。

<第81期名人戦七番勝負日程>

第1局 4月5、6日 東京都文京区「ホテル椿山荘東京」

第2局 4月27、28日 静岡県静岡市「浮月楼」

第3局 5月13、14日 大阪府高槻市「高槻城公園芸術文化劇場」

第4局 5月21、22日 福岡県飯塚市「麻生大浦荘」

第5局 5月31、6月1日 長野県上高井郡「緑霞山宿 藤井荘」

第6局 6月13、14日 山梨県甲府市「常磐ホテル」

第7局 6月27、28日 山形県天童市「天童ホテル」

圧倒的な強さの藤井竜王に対する渡辺名人の戦略に注目

<渡辺名人の最近10局>(相手の肩書きは対局当時)

2月5日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局

対藤井竜王 ●

2月18日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第2局

対藤井竜王 ●

2月23日 朝日杯将棋オープン戦準決勝

対糸谷哲郎八段 ○

2月23日 朝日杯将棋オープン戦決勝

対藤井竜王 ●

2月28日 竜王戦1組出場者決定戦

対三枚堂達也七段 ○

3月5日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第3局

対藤井竜王 ○

3月10日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ白組

対岡部怜央四段 ○(千日手指し直し)

3月15日 ヒューリック杯棋聖戦本戦

対藤井猛九段 ○

3月19日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第4局

対藤井竜王 ●

4月1日 ヒューリック杯棋聖戦本戦

対羽生善治九段 ○

<藤井竜王の最近10局>(相手の肩書は対局当時)

2月13日 NHK杯決勝

対佐々木勇気七段 ○

2月18日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第2局

対渡辺棋王 ○

2月23日 朝日杯将棋オープン戦準決勝

対豊島将之九段 ○

2月23日 朝日杯将棋オープン戦決勝

対渡辺名人 ○

2月25、26日 ALSOK杯王将戦七番勝負第5局

対羽生九段 ○

3月2日 順位戦A級

対稲葉陽八段 ○

3月5日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第3局

対渡辺棋王 ●

3月8日 順位戦A級プレーオフ

対広瀬章人八段 ○

3月11、12日 ALSOK杯王将戦七番勝負第6局

対羽生九段 ○

3月19日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第4局

対渡辺棋王 ○

 渡辺名人の直近10局は6勝4敗だが黒星はすべて藤井竜王との対戦で調子は決して悪くない。藤井竜王は9勝1敗と「変わらず絶好調」である。

 直接対決は過去22戦して藤井竜王が19勝3敗と大きくリードしている。両者のタイトル戦番勝負もこれまで棋聖戦2回、王将戦、棋王戦と4回戦ってトータル13勝2敗で藤井竜王が圧倒している。

 だが、棋界きっての戦略家である渡辺名人は過去の経験をもとに作戦に工夫を凝らして臨むだろう。

 戦型は渡辺名人先手なら相掛かりを中心に角換わり、矢倉を織り交ぜるはずだ。直近の棋王戦五番勝負では先手角換わりを続けて採用したが結果に結びつかなかった。

 藤井竜王先手の場合は角換わりを目指すと思われるが、後手の渡辺名人が素直に追随せず雁木に変化する可能性も高い。

 データから藤井竜王優位は明らかだが、渡辺名人の知略で濃密な七番勝負になることを期待する。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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