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総選挙版 全衆議院議員の三ツ星評価が完成

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

前回の総選挙からの全衆議院議員の活動データを三ツ星で評価

NPO法人「万年野党」では、前回の総選挙直後の特別国会である第182国会から、議会ごとに国会での議員による質問時間、質問回数、議員立法発議者数、質問主意書提出数といった議会活動のデータをまとめ、それぞれのカテゴリーごとの上位者に星をつけ、三ツ星で評価してきた。

先日、紹介したデータに、さらに最新の先月まで行われていた臨時国会である第187国会分のデータも加え、前回の総選挙後からこの総選挙までの各議員の活動データをまとめた。

NPO法人「万年野党」の公式ホームページでは、この182~187国会をまとめた「総選挙版」の星獲得議員一覧と、質問時間、質問回数、議員立法発議者数、質問主意書提出数の上位者のランキングを期間限定で一般公開を行っている。

是非、この総選挙で活用してもらえればと思う。

また、NPO法人 万年野党の会員専用ページには、さらに、この『総選挙版 国会議員三ツ星評価』の全議員に関するデータをすべて掲載した一覧も公開している。是非、それぞれのお住いの選挙区の国会議員が、国会でどれくらいの活動をしているのかを知ってもらいたいと思う。

総選挙では与党だ野党だでなく、改革派議員を送り出す必要がある

公示日である12月2日、NPO法人「万年野党」の理事である岸博幸氏、原英史氏、事務局長の高橋亮平、司会にフリージャーナリストの町亞聖氏を招き、ニコニコ生放送で『【万年野党】衆院選「三ツ星議員」で創るベストシナリオはこれだ!』を放送した。

その際にも、今回の総選挙は、大きな争点があるわけではないと言われるが、強い風のない選挙だからこそ、国民には、一人一人の候補者を見て判断してもらいたいとの意見とともに、むしろ選挙後にどの様に政策を実行させていくかが重要であるという事、また、与党にも野党にも改革派と守旧派がおり、改革を進めていくためには、与党も野党も改革派の議員を送り出す必要があるとの話が出た。

図表1 与野党の議員のイメージ図

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この総選挙の後には、税と社会保障の問題はじめ、この国の将来を大きく変えていくテーマが山積する。

与党議員の中には、こうした課題をしっかりと解決していくためにも、改革を進めていかなければいけないと考えている議員たちがいる。

こうした事を感じている有権者は、おそらく与党に投票する事になるのだろう。

しかし一方で、こうした改革を進めていこうという議員たちの足を引っ張ろうというのは、必ずしも野党だけではない。むしろ、与党の中に、改革に反対する勢力があり、野党以上に足を引っ張るというケースがある。

一方で、国会の報道などを見て、与党が進める改革にさえ、なんでも反対するのが野党という印象を持っている人もいるだろう。

しかし、野党の中には、与党の改革よりもさらに進んだ改革や、さらに効果的な改革を代案として提案する議員たちもいる。もちろん、野党にはそんな議員ばかりだというわけではない。

マスコミ報道を見ると、どの政党の支持率がどうだ、この政党が今回はこれぐらいの議席を取りそうだといった事が言われる。

しかし今回の選挙、与党を選ぶ、野党を選ぶ、ましてや野党に至っては、特定の政党を選んでも、今後どのように再編されていくのかすら分からない。こうした状況の中では、政党を選ぶ選挙ではなく、この国の将来のためにも、与党の中でも改革派の議員、野党の中でも改革派の議員をと選んでいくべきではないだろうか。

そのためにも、それぞれの議員、特に有権者の皆さんの地元の議員が、どういった活動を国会の中で行ってきたのかを有権者の皆さんに知ってもらう必要がある。

その際に是非、NPO法人「万年野党」の作成している『国会議員三ツ星評価』を見てもらいたいと思う。

その中で、単純に「量」が多い少ないだけでなく、それぞれが所属する党の中ではどうなのか、また、さらには、『国会議員三ツ星評価』をキッカケに、是非、ご自身の地域の現職の議員たちがどういう質問をしているのか、その内容についても『衆議院 TV』『議事録』なども一つでもいいので覗いてみてもらいたいと思う。

質問時間・質問回数・議員立法共に総数は、1位民主、2位維新、3位自民

図表2 政党別国会議員活動データ一覧〈182~187国会〉

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今回まとめた『総選挙版 国会議員三ツ星評価』については、是非ホームページから見てもらう事にして、ここでは、こうした『総選挙版 国会議員三ツ星評価』のデータを政党ごとに見ていきたい。

前回の総選挙直後の182国会から先月までの187国会の間、国会の中でなされた質問の総時間は、161,848分だった。

最も多かったのは、民主の48,321分、次いで維新の39,535分という中で、3位は自民の20,998分が入っている。以降、共産13,974分、次世代12,730分、公明12,303分、生活6,238分、社民1,165分、無所属6,584分となっている。

質問回数もほぼ同様で、総数は6,426回であったのに対して、1位は民主で1,654回、2位が維新1,449回、3位が自民1,025回、4位が共産647回、5位が公明576回、6位が次世代453回、7位が生活297回、8位が社民61回、無所属264回となっている。

国会質問というとどうしても野党が追及しているというイメージが強いが、実際にデータで見ると、与党の自民、公明もそれなりに質問をしているという事が分かる。

議員立法発議者数で見ると、総数は述べ665人、政党ごとの延べ人数が最も多かったのは民主で219人、次いで2位が維新の143人、3位が自民の130人、4位が公明の53人、5位が次世代の48人、6位が生活の27人、7位が社民の21人、8位共産の6人、無所属は18人となっており、質問と比較しても与党である自民、公明が検討している事が分かる。

一方で、文書による質問である質問主意書提出数については、総数が613件だったのに対し、自民0件、公明も1件しかなく、与党はあまり活用していない事が分かった。ちなみに1位は民主で452件と圧倒的だ。2位は維新の98回、3位は社民の20件、4位は共産の17件、5位は次世代の14件、生活は1件、無所属は10件となっている。

一人当たりで見ると、大政党は機会が少ない事も分かる

図表3 国会議員活動量の政党別割合<182~187国会>

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図表3を見てもらうと、わかりやすいだろう。

一番上のグラフが議員数の政党割合。60%以上を自民が占めた状況だ。

そこから上半分が総数で見たカテゴリー別の政党割合なのだが、質問時間、質問回数、議員立法発議者数については上記で説明した通りだが、多少の違いはありながら最も多い民主が30%前後を占め、次いで維新が20~25%代、自民が10~20%といった状況だ。質問主意書提出数については、70%が民主という極端な結果となった。

ただ、議員数で割って、一人当たりとして見ていくと状況がだいぶ異なる。

自民は質問時間、質問回数、議員立法発議者数ともに1%台に。公明も5%強と与党全体でも極めて少ない。ただ総数でトップだった民主も一人当たりでは10%前後、2位だった維新も10%強しかない。

逆に一人当たりにすると増えたのが、質問時間、質問回数では共産で25%強~30%弱まで増える。ただ、そんな共産も議員立法は3%、質問主意書でも10%弱しかない。意外かもしれないが、生活が質問時間、質問回数、議員立法発議者数ともに20%前後と安定した存在感を示している。

議員立法は、総数で70%を占めた民主は一人当たりでは大きく減るがそれでも30%を占めている。それを抜いて最も多くの割合を占めたのは、議員数2人の社民で40%以上を占めた。社民は議員立法においても2位のほぼ倍の35%強を占めトップとなった。

星獲得議員65名

図表4 政党別星獲得議員数(質問時間・質問回数・議員立法)

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今回の『総選挙版 国会議員三ツ星評価』での星の基準は、質問時間が1,030分で48位までの49人。質問回数が39回で47位までの49人。議員立法発議数が8回で15位までの16人。質問主意書提案数が12回で10位までの10人とした。

その結果、三ツ星議員は、12人。二ツ星議員は34人、一ツ星議員は19人となった。

通常の『国会議員三ツ星データブック』の際には、こうした質問時間、質問回数、議員立法発議数、質問主意書提出数の他に、大臣など政府の役職や、議長、委員長といった議会での役職者は、質問などし難い立場にある事から、役職にある事だけで星を付けてきた。

図表5 政党別星獲得議員

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しかし今回の場合、2012年12月から2014年11月と長い期間を対象にして全データをまとめたものであるため、一時期だけ役職についていたとしても、それ以外の際には質問など国会での議員活動ができるため、こうした役職によって星をつける事は分かりにくくなるためやめる事にした。

そのため、星がついていない議員の中には、構造的な問題で議会活動ができていない議員が含まれている事、また、こうした評価の違いもあり、今回の評価では、結果的に与党の星獲得議員が少なくなってしまっているという事もご理解いただきたい。

繰り返しになるが、NPO法人 万年野党で作成した『総選挙版 国会議員三ツ星評価』。星獲得議員の一覧やランキングは、NPO法人 万年野党のホームページで一般公開を行っている。

また、NPO法人 万年野党の会員になっていただければ、さらに全議員のデータについても、ホームページから見ていただけるので、是非、この機会に、会員としてNPO法人「万年野党」を支えていく事も検討していただければと思う。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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