北朝鮮の潜水艦ミサイル発射は合成写真? 韓国メディアが指摘…過去にも似たような事例が
韓国のMBNテレビは9日、北朝鮮が同日公開した潜水艦発射弾道ミサイルの写真について、合成の疑いが提起されていると報じた。
MBNによれば、写真のミサイルが噴出している煙の量が一般的なミサイル発射時と比べて絶対的に少なく、またミサイルの発射角度が写真ごとに少しずつ違うことなどから、専門家の間で合成の疑いが提起されているという。
9日付の北朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、ミサイルの発射場面を撮影した4枚の写真を掲載している。
それらを見ると確かに、海面から飛び出したミサイルの角度が少しずつ違って見える。
ただ、こうした見方は写真の分析にのみ依拠しており、北朝鮮が今後、映像を公開して反論を行う可能性も残されている。
いずれにせよ、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイルの開発を進めている事実は米韓の情報によりすでに確認されている。
それでも北朝鮮がこんな疑いを持たれてしまうのは、過去にもたびたび合成された写真を公開してきたからだ。
北朝鮮の金正恩氏は、4月18日に白頭山を登山し、頂上で兵士たちと記念撮影を行ったが、その写真に偽造の疑いが生じている。
写真に撮られた兵士たちの一部が、まるで宙を浮いているかのように見えるのだ。何かに寄りかからなければ維持できない姿勢なのだが、一番上の兵士の足下よりも下に白頭山の白い背景が見てとれる。理由はわからないが、支えのようなものを写真上から消した疑いがある。
こうした修正は、単に写真の“見栄え”を気にした上での、単なる演出かもしれない。諸外国のメディアがやったのなら許されないことではあるが、北朝鮮の場合は……まあ、良しとしよう。
しかし、中には悪質な例もあった。
2011年7月、米AP通信が配信した北朝鮮の大同江沿いの浸水被害の写真に、デジタル技術で変造された疑いが浮上し、同社が顧客に削除を要請した出来事があった。
疑いが持たれた写真は、北朝鮮の朝鮮中央通信が撮影し、契約関係にあるAPなどに送信したものだ。
写真は、大雨で大同江の周辺の道路が完全に浸水した状況で、この中を住民7人が歩いているもの。浸水は大人の膝上にまで達している。APは、この写真が細工されていると見た根拠として、浸水した道路を歩行している住民の足の部分が汚れておらず、ズボンに泥水が飛び散った跡がないという点を挙げている。
APの主張どおり写真が捏造されたとすれば、北朝鮮は国際社会から支援を受けるために水害の被害を誇張していた可能性がある。
仮に潜水艦からのミサイル発射実験の成功が事実だったとしても、こんなことを続けていれば、正恩氏が言うところの「脅威的な成果」のアピール度も半減してしまう。北朝鮮もいいかげん、事実を示す事の重要さを認識すべきだ。