長期金利が再び上昇、米国は2007年以来、日本は2013年以来の高水準に
18日の米10年債利回りは一時4.92%と2007年7月以来約16年ぶりの水準に上昇した。米2年債利回りも一時5.24%まで上昇し、2006年7月以来、約17年ぶりの高水準を付けた。
10月4日と6日に米長期金利は一時4.88%と2007年8月以来、約16年ぶりの水準に上昇し、ここが目先のピークとなったが、この水準を抜いてきた。
10月11日にイスラエルはイスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻に向けた準備を進めていると伝わり、戦闘激化への懸念も強まり、地政学リスクが一段と高まるとの警戒感から、米長期金利は4.55%まで低下した。
いわゆる質への逃避、リスク回避による安全資産への買いの動きとして米国債が買われた。その後再び米長期金利は上昇基調となって(価格は下落)、4.8%台を回復した。
ドイツの長期金利も19日に2.92%に上昇しており、10月初旬に付けた12年ぶりの高水準の3.02%に接近した。
これは市場の焦点が中東の地政学的リスクによるリスク回避から、再び経済や物価動向、そして中銀の政策に戻った格好となった。それに加え、今回の中東情勢次第では原油価格がさらなる上昇となる懸念もあり、これは物価を高止まりさせかねない。
この動きは日本にとっても他人事ではない。19日に日本の長期金利は0.820%に上昇していたが、これは2013年8月以来、10年2か月ぶりの高水準となる。
ここにきての原油価格の上昇もあり、日本でも今後金利上昇圧力がさらに強まる可能性は高いとみている。日銀は長期金利の1%までは距離があるとしているが、月末の決定会合までに1%に接近してくる可能性は十分にあろう。