1日20分歩いている?あと5分がんばって歩こう。その差が長生きにつながる【11万人データ】
1日「2000歩」に「500歩」足すだけで死亡リスクが低下
「健康のためには歩け」。耳にタコができているセリフだと思います。でもいったいどれほど歩けば良いのでしょう?最新の研究では「1日2500歩」が一つの目安だと分かりました。時間にすれば25分ほど。これで長生きできるというのです。
オランダ・ラドバウド大学医療センターのニールス・A・ステンス氏たちが「米国心臓病学会雑誌」(JACC [ジャック] )という学術誌で9月6日に報告しました [文末文献1]。JACCは心臓病研究の世界では3本の指に入る一流誌。掲載される論文はどれも、編集サイドのきびしいチェックに受かったものばかりです。
解析対象は11万人以上
さて今回ステンス氏たちが解析したのは、すでに出版されている論文です。「歩数」と「死亡リスク」の関係を検討した12本の論文をデータベースから洗い出すのに成功しました。12本の研究が調べた人たちの総数は11万1309人にも上りました。こういう調査は一般論として、調査数が多いほど真実に近寄れるとされています。その意味では信ぴょう性の高いデータと言えるでしょう。
歩数と死亡リスクの関係は次のようになっていました。
・1日「2,000歩」歩く人たちに比べ「2,517歩」歩く人たちは、死亡リスクが相対的に8%減少(0.92倍)。
・歩数が増えるほど死亡リスクは低くなるが、「8,763歩」で頭打ち。それ以上歩いても死亡リスクは減少しない。
700歩足せば脳卒中や心筋梗塞の危険性も低下
また心筋梗塞や脳卒中などの心臓血管系疾患の発生リスクも同様に、歩数が増えると減っていました。具体的には;
・1日「2,735歩」歩くと「2,000歩」に比べ相対的に11%減少(0.89倍)。
・こちらは1日「 7,126歩」で頭打ち。
ただし注意が必要です。「たくさん歩いたから死亡 / 心臓血管系疾患のリスクが低い」のか、それとも「そういうリスクが低い人は普段からたくさん歩ける」のか、この研究だけでは結論が出せません。
しかし上記の結果は、「歩数」以外で死亡 / 心臓血管系疾患に影響を与える因子の影響を、統計学を用いて除去して得られた数字です。なのでステンス氏たちは「たくさん歩くとリスクが減る」という立場をとっています。
そして1日たった「2,500歩」や「2,700歩」歩くくらいで「死亡」や「心臓血管系疾患」が減っていたのには驚いたようです。
5〜7分だけ余分に歩こう
「2,000歩」歩くのに普通は20分ほどかかると言われています。だとするとそこにあと5分弱の歩行を加えれば、死亡リスクが減るという計算になります。心臓血管系疾患を防ぎたいなら、20分歩いたあとにもう10分弱歩けば良いわけです。
仕事の往復で分けるなら、片道10分の歩行をほんの少し延ばすだけで達成可能な数字です。毎日の買い物を、天気が良ければ少し遠めの店まで出かけるのも良いでしょう。健康は何よりの財産です。
最後に
いかがでしたか?1日20分の歩行時間を数分延ばすだけで健康に長生きできる可能性があるという論文でした。生活習慣と健康については次のような論文紹介記事も書いています。こちらもぜひ、お読みください。ではまた!
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今回ご紹介した論文
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