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進路相談5・法曹志望なら東京・大阪の大学の方がいい?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問:親が地元国公立大の法学部に行けと勧めます。法曹業界に行くためにはやっぱり東京か大阪の大学の方がいいでしょうか?

法曹業界を目指すなら東京か大阪の大学進学をお勧めします。

司法試験ランキングや他のコラムなどでも書きましたが、地方大はどこも苦戦しています。

予備校などはどうしても東京・大阪に集中しているなどの事情があります。

それと地方大の場合、地元で公務員・教員を目指す学生が法学部でも多数を占め、法曹業界志望は少数派です。

そうした中で法曹への勉強のモチベーションを保てればいいのですが、ちょっと厳しいかな、と。

ただ、「東京・大阪」の大学のうち、近隣都市(千葉、横浜、京都、神戸)を含むかどうか、私立大も含むかどうか、となると微妙に変わります。

首都大学東京や大阪市立大、神戸大などの国公立大も志望校としては検討した方がいいでしょう。司法試験でも実績を残していますし。

一方、私立大の場合は早慶と中央以外はどこも大苦戦です。

上智や関関同立などの難関私大がどこも平均合格率割れ、という低迷に陥っています。

もしも、早慶・中央以外の私立大か地元か、ということであれば地元の方がいいかもしれません。

他でも書きましたが司法試験は多くの私立大よりも国公立大出身者の方が結果を出しています。

法曹業界志望者の少なさは気になりますが、まだいいかな、と。

早慶・中央ないし東京・大阪(正確には首都圏・関西圏)の国公立に現役での合格が難しい、ということであれば本来は浪人してでも目指すことをお勧めします。

どうしても現役合格で、ということであれば入れるところを目指すしかありません。

しかし、司法試験はかなり学力の高さを求められる試験です。

大学在学中から勉強して、追いつかないようであれば学部在学中に法曹業界はあきらめるしかないでしょう。

厳しいようですけど、入れそうな法科大学院に入って、それで修了5年後にも司法試験に受からない場合、「法務博士(専門)」という学位しか残りません。

その学位があったところで、就活などには役に立たず、20代後半(ないし30代前半)で社会経験なしの無職としか扱われないのです。

それを考えれば、どこかで判断せざるを得ない、厳しいようですけどそうした判断を下す勇気が求められます。

※『時間と学費をムダにしない大学選び 2016』(中央公論新社)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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