第一報ではついに30億枚を割った年賀はがきの発行枚数
ピークは2003年の44.6億枚
先日日本郵便から2017年用の年賀葉書のデザインや発行部数が発表された。インターネットの普及浸透や人付き合いの様式の変化で、年賀葉書を利用した年賀状も減少を続けている。その実情を日本郵便の公開資料や日本郵政公社時代の公開値のキャッシュデータなどから探る。
日本の郵便行政における年賀葉書の発行は戦後、1949年発行・1950年用のものが初めて(年賀郵便用の年賀切手は戦前から発行されていた)。その当時の発行部数は1億8000万枚。以後日本の経済復興、人口の増加に伴い枚数を漸増させながら、1964年には10億枚、1973年には20億枚を超える。その動向をまとめたのが次のグラフ。直近の動きを分かりやすくするため、今世紀に限ったグラフも併記した。
直近2016年発行・2017年用のデータに関しては、2016年8月31日に発表された第一報の掲載値を用いている。それによれば現時点で発行する予定の年賀葉書の枚数は28億5329万6000枚。詳細は寄付金なしが27億5580万4000枚、寄付金付きが9749万2000枚となる。
ピークは2003年の44億5936万枚。それ以降は多少の起伏を見せながらも漸次枚数は減少。直近8年間は連続で前年比マイナスを記録しており、2016年発行・2017年用は、前年比でマイナス10.9%を示している(ただし来年頭に発表予定の確定報までには、概して第一報よりは上乗せされるので、前年比のマイナス度合いももう少し落ち着いたものになる)。前年比でプラスを示した最後の年である2008年は、「プリントゴッコ」のメーカー販売が終了した年であり、年賀葉書の今後の動向を象徴する出来事の一つであったかのように思えてくる。
なお現状では第一報ではあるものの、30億枚を割ったのは今世紀初、前世紀まで含めると1982年に29億9000万枚(確定報)を計上して以来のこととなる。
人口あたり枚数を算出すると
「人口は漸減状態にあるのだから、年賀葉書の需要が減るのも当然」との意見もある。そこで各年の人口を総務省統計局の人口推計から抽出し(各年10月。ただし直近2016年はまだ10月分の確定値が出ていないので最新値となる8月分暫定値を適用)、その人数で年賀葉書発行部数を割った値、つまり「日本人全員が年賀葉書を購入した場合、一人あたり何枚になるのか」を算出したのが次のグラフ。
もう少し起伏に富んだグラフを期待していたのだが、実際には年賀葉書の発行部数推移とほとんど変わらない形のものが形成された。これは人口推移そのものが短期間では急激な変化を示しているわけではないことに起因する。そしてピーク時も発行枚数と同じく2003年。平均枚数は約35枚。直近2016年発行・2017年用分は22.5枚となる。
この「人口」には年賀状を出せない乳児など、そして年賀状を出さない人も含まれている。年賀状を出す人に限れば、一人あたりの平均購入枚数はもう少し上乗せされるはずである。ただし企業などでまとめて出す場合も多々あるため、一般個人としての平均値は、やはり上記算出値程度になるのかもしれない。
インターネットの普及率が今後も上昇を続け、デジタルネイティブ世代が次々と成人化するに連れ、年賀葉書の需要は今後も減少し、発行枚数も減らさざるを得ない事態が続くものと考えられる。時代の成り行きとはいえ、寂しさを覚える人もいるだろう。
余談ではあるが2017年用の年賀葉書に関するお年玉賞品の具体的ラインアップは次の通り。
・1等(下6けた)…100万本に1本
セレクトギフト(1万点以上の商品・旅行・体験プラン等からの選択)又は現金10万円
・2等(下4けた)…1万本に1本
ふるさと小包など
・3等(下2けた)…100本に2本
お年玉切手シート
また、2017年用年賀葉書の販売は2016年11月1日から2017年1月6日まで(インターネット通販での予約・販売受付は2016年9月1日から12月25日)。年賀郵便の受付は2016年12月15日からとなる。
文房具店やコンビニなどでの年賀状の印刷受付はもう少し先になるが、印刷用ソフトやプリンターのメンテナンスも合わせ、今から手掛けられるところは手掛け、準備を整えておくにこしたことはなかろう。
■関連記事: